GoogleとLGがVR/ARディスプレイ開発中!「人間の視覚レベルの映像」が表示可能に!

様々なVRデバイスの普及に伴い、より解像度の高い映像を表示できて且つ視野角の広いディスプレイが求められています。
グーグルとLGが開発中のVR/AR用のディスプレイでは、人間の視覚レベルのきわめて高解像度の映像が表示可能になります。
GoogleとLGが開発するVR/AR用ディスプレイの詳細が公開!

画像はイメージ
GoogleとLGの両社が開発するディスプレイ技術は、2018年3月にその存在が公表されました。
先日公開された論文では、このVR/ARディスプレイに関する詳細が明らかになっています。
論文によると、このディスプレイはカラーフィルターを用いたOLEDを採用しており、高濃度のモザイク効果や、現行のスマホに使用されているディスプレイよりも高い反応速度を実現するとのことです。
一体型VR/ARデバイスに最適
ディスプレイの開発を行う研究者によると、このディスプレイは
「仮想現実、拡張現実アプリに最適で、特にモバイル型デバイスに向いている」
とのこと。
Oculus GoやVive Focus、2019年に発売予定のOculus Questなど様々な一体型VRデバイスが登場していますが、今後一体型デバイスでより高解像度・広視野角の映像を表示できるようになれば、ワイヤレスのVR体験がより臨場感のあるものになります。
人間の眼球レベルの映像を表示可能に
論文によると、このVR/ARディスプレイはHVS(Human Visual System=人間視覚システム、人間がものを見る際の構造を基に研究、開発されたシステム)に基づいているとのことです。
ディスプレイの視野角は水平160度、垂直150度とかなり広く(HTC Viveは110度)、ピクセル密度は660PPD、これによって片目9,600 x 9,000の解像度の映像が表示できます。
つまり、より人間が眼球を通して見える映像に近いものを表示可能になります。
より自然に見える映像を表示
また、論文ではより自然な映像表示をVRにもたらすための技術「フォービエイテッド・レンダリング(Foveated Rendering)」の必要性についても言及しています。
フォービエイテッド・レンダリングとは視線追跡を使用した映像表示技術で、ユーザーの視線の焦点が当たっている箇所だけを鮮明に表示して、焦点の外側に行くに従って徐々にぼかして表示する手法です。
この手法は人間の視覚構造に基づいているので、VR内の映像をより自然に見せることができます。また、鮮明に表示すべき箇所をディスプレイの一部分のみに抑えられるため、PVCRに比べるとスペックがそれほど高くない一体型VRデバイスでも使用できます。
このため、研究者はフォービエイテッド・レンダリングが、一体型デバイスにおいて「きわめて重要な要素」になると述べています。
VR体験がより自然で、鮮明なものになる時代
また、論文では上記の技術を用いて表示した映像を、パネルで表示した様子の写真が紹介されています。
画像のみでは実際の映像の鮮明さが伝わり切らない部分もありますが、それでも、写真のディテールなどが詳細に表示されている様子が確認できます。
これらの映像には、映像のカクついた部分をぼかして表示するアンチエイリアス処理は施されていないとのことで、「スクリーンドア効果(ディスプレイに網目模様が見えること)はなく、広視野角のHMDを通して見ても高い品質だ」と述べています。
グーグルとLGはこの技術が一体型デバイスに最適であると述べていることからも、今後登場する一体型VR/ARデバイスでは、より広視野角、かつ高解像度の映像が実現することが伺えます。
ちなみに、今回発表されたディスプレイ技術は、2019年3月にカリフォルニアにて開催されるSID Display Weekにて更なる詳細が公開される予定です。
VR/ARディスプレイのスペック
論文に記載されているディスプレイのスペックは以下の通りです。
サイズ | 4.3″ |
---|---|
サブピクセル値 | 3840×2(RG、BG両方)×4800 |
画素ピッチ | 17.6 µm (1443 ppi) |
明度 | 150 cd/m2 @ 20% duty |
コントラスト | >15,000:1 |
色深度 | 10ビット |
視野角 | 30°(H), 15° (V) |
リフレッシュレート | 120Hz |
まとめ
グーグルとLGが共同開発を行っているディスプレイ技術の詳細が公表されました。
この技術はおもに一体型VR/ARデバイス向けに最適とされており、ワイヤレスの手軽なVR体験を、より美しい映像で楽しめるようにするものです。
現行のVRデバイスよりも視野角が広く、かつ人間の視覚の仕組みに応じた映像表示技術を採用しているため、より臨場感と立体感を感じることができます。
このディスプレイ技術は現在まだ開発段階ですが、誰もが手に入れられるデバイスに実装されるのは、そう遠くない先の話だと思われます。
VR/AR技術は日々進化を続けています。これからが楽しみになりますね。
参考サイト:Road to VR

フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。
Twitter: https://twitter.com/dsiwmr