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ドローン x ARで消火活動を効率化!米国の消防局の取り組み

2018/12/23 22:00

現実世界にデジタルデータを重ね合わせて表示できるAR技術は、ゲームや建築、医療などの様々な分野で活用されています。

また、災害対策においてもARは導入されており、米国では消防士向けのソリューションとしてARを活用、スマートグラスとドローンを組み合わせて火災現場をより正確に把握、消火活動を効率化しています。


ARとドローンを消火活動に投入

この取り組みを行っているのはカリフォルニア州メンロパーク消防局で、同局の消防隊員は実際の火災現場でドローンとARグラスを活用しています。

使用するのは大手ドローンメーカーDJI製のドローンと、エプソンのARスマートグラス「MOVERIO」です。

ドローンのカメラ映像をスマートグラス上にAR表示することで、火災現場の状況を把握します。

現場の状況を手軽に把握

火災現場に到着した消防士は直ちにスマートグラスを着けて、ドローンを飛ばすことで火災現場の様子を上空から俯瞰できます。

ARグラスを使用することで使用者の視界も確保されるので、ドローンが飛行する高度や位置などを視認することもできます。

ドローンの映像をVRゴーグルに伝送することも出来ますが、人や車両が慌ただしく動く火災現場では、視界を完全にシャットアウトするVRゴーグルを使用するのは危険が伴います。

ですが、ARグラスであれば周囲の様子を確認しながらドローンを操縦できるので、緊急事態の現場での使用に向いていると言えます。

効率的な消火活動が可能に

火災の規模を把握する際、従来のような地上からの観測のみでは視認できる領域が限られ、またヘリコプターを飛ばして上空から観測すると燃料代などのコストが発生します。

しかし、ドローンであれば導入が手軽でコストを削減できるほか、人が搭乗したヘリコプターよりも安全かつ操縦の自由度も高いので、よりリスクを抑えて火災現場の詳細を調べることが出来ます。

これによって、最も出火の激しい部分を特定して、優先的に消火活動を行うべき箇所を素早く特定できます。従来の消火活動に必要だったリスクやコストを減らしたうえで、より効率的な消火活動が可能になります。

エプソンのスマートグラス「MOVERIO」を使用

メンロパークの消防隊員たちが使用するスマートグラスは、日本メーカーのエプソンが開発したスマートグラス「MOVERIO」です。

エプソンはスマートグラス開発において長い歴史があり、2016年に初代「BT-300」を発表して以来様々なバリエーションが発売されています。

建設現場などのハードユース向けの「BT-2000/2200」や、装着性・耐久性を向上した「BT-350」、またDJIのドローンの映像を受信できる専用アプリも登場しており、米国の消防局ではこのアプリを使用しているものと考えられます。

また、MOVERIOは様々な目的で実用化されており、映画館で聴覚障碍者向けに字幕を表示したり、観光客向けにARアトラクションを提供したり、遠隔地にいる人とドローンレースができるゲームなど様々です。

スマートグラスというとグーグルグラスが真っ先に思いつきますが、MOVERIOシリーズもグローバルに活躍しており、見逃せないデバイスですね。



防災・災害対策で活躍するVR/AR活用例

今回取り上げた事例以外にも、VR/ARは防災や事故・災害対策において活用されています。

おもな例としては、実際の事故や災害の状況を疑似的に体験することで、体験者をトレーニングしたり防災意識を高めることを目的にしており、こうしたアプリやソリューションが数多く登場しています。

当メディアでもこうした事例を複数取り上げており、いくつかをご紹介します。

VRで救急隊員のトレーニング、体験的な学習が可能に

自然災害や事故現場に真っ先に駆け付ける救急隊員には、現場での迅速な判断力が求められます。こうした実用的なスキルや知識をVRで体験的に学習できます。

オーストラリアの大学が開発中のVRトレーニングアプリでは、VR内で実際の事故現場を再現して、HMDを着けることで実際の状況に近い環境を体験できます。

トレーニングにVRを活用することで、座学よりも実践的な学習ができるだけでなく、実際の物理的なシミュレーションよりも低コスト・かつ手軽に運用できるというメリットがあります。

ARで実寸大の洪水を再現

また日本では、ARで実際の洪水を疑似的に再現することで、防災意識を向上する取り組みが行われています。

愛知工科大学が開発した「DisasterScope」というARアプリでは、洪水の濁流が押し寄せてくる様子を実寸大でAR表示します。水かさが自分の身長よりも高くなる様子や、木材や破片などが濁流に混じって流れてくる様子もリアルに再現。

紙製のゴーグルにスマートフォンを差し込むだけで手軽に体験できるので、現在では小中学校の避難訓練用のツールとして活用されています。

まとめ

火災が発生した際、上空にドローンを飛ばしてそのカメラ映像をAR表示するいうソリューションが米国の消防局で導入されています。

ドローンの映像によって火災現場を俯瞰的に把握できるので、出火の激しい部分や火災の規模などをより正確に把握できます。これによって、消火を優先的に行うべき部分を素早く把握でき、消火活動を効率化することができます。

また、ドローンは手軽に導入できて、かつ操縦も手軽であるために、こうしたソリューションは今後多くの消防現場に取り入れられていきそうです。

参考サイト:VRFocus









Daisuke


フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

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