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実銃の操作感をVRでリアルに再現!軍用向けに開発が進む

ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を着けることで別世界に丸ごと没入できるVRは、軍事・防衛分野でも活用が進んでいます。

おもに兵士の訓練やシミュレーションなどを目的にしており、実戦の環境をよりリアルに再現する技術の開発が進んでいます。

米国で新たに開発されたハプティック(触覚)デバイスは、実際に機銃を発射した際のリコイル(反動)を、実銃とほぼ同じレベルで再現可能で、軍での活用が見込まれています。


実銃の反動をリアルに再現するハプティクス技術、軍用向けに開発

米国のHapTechという企業はハプティクス技術を開発していますが、同社はこれまでに実銃を撃った時のリコイルを再現するガンコントローラー「StrikerVR」をゲーム用途で開発しています。

StrikerVR

そして、同社はこれまでに培ってきた技術をエンターテイメント以外の分野でも活かそうと、兵士の訓練で使用するための触覚デバイスを開発しています。

重機関銃の操作感をVRでリアルに再現

HapTechが開発したのは、米軍で80年以上にもわたって使用されてきた重機関銃「ブローニングM2」の操作感をリアルに再現するシステムです。

このシステムのプロトタイプは2018年12月初めに開催されたInterservice/Industry Training, Simulation and Education Conference(I/ITSEC)にて実機デモが展示されました。

デモにはHapTechによる触覚デバイスの他、OptiTrackのモーショントラッカーを搭載しており、実寸大のM2重機関銃とユーザーの動きを正確にトラッキングします。

ユーザーはHTC Vive Proを着けてVR空間内で標的を狙って機関銃を発射しますが、その際のリコイルをリアルに再現し、まるで実際に機銃を操作しているような感覚を生み出します。

M2重機関銃は50口径(12.7mm)もの強力な弾丸を発射し、おもに航空機や装甲車両の破壊などを目的にしているので、発射した時のリコイルもかなり大きなものになります。

ですがHapTechによると、このシステムで再現できるM2重機関銃の操作感は「実際のリコイルにかなり近い」とのことで、実際にM2重機関銃を操作したことのある兵士もそのリアルさを認めています。



兵士の訓練での使用を想定

このシステムは実際に軍での使用を想定して開発されており、現在もM2重機関銃を採用している米軍にとっては兵士の訓練にうってつけです。

空気圧を使用しているため、実際の弾丸や空砲を用いて射撃訓練を行うよりも低コストでの運用が可能であり、HapTechの共同設立者のMartin Holly氏は海外VRメディアのRoad to VRに対して、

より低コストで、メンテナンスも少なく、よりリアルなリコイルを再現できる。

と述べており、VRや触覚デバイスの活用によって従来の兵士の訓練をより効率的に行える点を指摘しています。

様々なタイプの銃器に適応可能

またHolly氏によると、この触覚デバイスは様々な種類の銃器に使用できるとのことで、ゆくゆくはハンドガンなどの小型武器に搭載することも可能になるとのこと。

HapTechは現在、米陸軍や海兵隊で使用されているM4自動小銃のリコイルを再現するためのデバイスを開発中とのことで、同様に訓練での使用を想定しています。

VR空間で実際に銃を撃つ感覚を再現するデバイスはゲーム向けに既にいくつか発売されており、PSVR用のシューティングコントローラーや、HTC Vive向けのガンコントローラーなどが挙げられます。

HTC Vive用のガンコントローラー

こうしたデバイスを使用したVR体験は、より実戦のリアルな環境を再現することに適しており、したがって実際の軍事訓練でも活用できそうです。

民間技術であるVRを軍事目的に転用することに対しては批判の声も出ていますが、軍事・防衛分野でのVR/AR活用は日進月歩で進んでおり、英国海軍によるAR戦闘システムや、軍事分野でのVR/AR市場は2025年までに約2,000億円もの規模になるとの予測も出ています。

いずれにしても、VR/ARが防衛・軍事分野でも大きなコスト削減や効率化をもたらすことは間違いありません。こうした分野で、今後VR/ARがどのように実用されていくのか注目されます。

まとめ

防衛・軍事分野でもVR/ARの活用が進んでおり、特に兵士の訓練やシミュレーションで大きな効果が見込まれています。

先日登場した新技術は、米軍で実際に使用されている重機関銃の操作感をかなりリアルに再現することが可能で、VRや触覚デバイスを併用することで訓練にかかるコストや効率化が可能になるとのことです。

まるでゲームのような話ですが、HMDを被って銃型のコントローラーを持ち、VR空間の戦場で兵士が訓練を行うという未来は、そう遠くないうちに実現しそうです。

参考サイト:Road to VR









Daisuke


フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

 

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