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精神疾患の治療にVRを!米国企業が治療用コンテンツを開発

2019/01/07 13:00

医療でもVRの活用が進んでいますが、精神疾患の治療においてもVRは役立ちます。

うつ病や不安障害、依存症などの治療にVRが活用されており、Limbxという企業はこうしたメンタルヘルス専門のVRコンテンツを開発しています。


精神疾患の治療にも役立つVR。ある米国企業の取り組み

VRを病気の治療に役立てようとする取り組みは様々なものがあり、最近ではAIとVRを活用したバーチャルセラピーで、患者の不安を緩和するアプリも登場しています。

カリフォルニアに拠点を置くLimbixは、精神疾患の治療にVRを活用しており、これまでに様々な症状の緩和を目的にしたVR体験を開発しています。

VRで精神疾患を治療

同社のVR体験は、おもに精神疾患の治療に当たるセラピスト向けに制作されており、実際の治療で行われる暴露療法やマインドフルネス、経験学習やスキルトレーニングまで幅広い目的です。

これらは、著名な研究機関や研究者らと協力して開発を行っており、同社は先日、シード段階の資金調達で300万ドル(約3億円)の出資をセコイア・キャピタルから得ています。

1年以上に及ぶ研究とインタビューによって、私たちはVRに対する関心だけでなく、この技術が様々な方法によってセラピーや患者の治療に役立つことを発見してきました。

そう語るのは、現在はLimbixのプログラムマネージャーで、元スタンフォード大学のVirtual Human Interaction Labに勤めていたElise Ogle氏です。

彼女によると、現在のメンタルヘルス分野には様々な問題があり、治療を受けるべき人たちに必要な治療が行き届かない状況になっているとのこと。

このような状況の改善にはVRが役立つと考えており、VRは患者が喜んで使うツールであり、またヘルスケアに携わる人々にとっても有効だと述べています。



VRはうつ病の治療に役立つか

同社が現在開発中のコンテンツの一例として、青春期のうつ病をVRで治療するソリューションが挙げられます。

これはハーバード大学で実施した研究で、青春期のうつ病の治療にはウェブの活用が有効であるという立証に基づくものです。

ここにVRを取り入れることで治療効果が上がるかを確かめるために、Limbixはハーバード大学で若年層のメンタルヘルスを研究するラボと提携、その他様々な大学と連携して開発を進めています。

この取り組みの目的は、VRによる一連のセッションを被験者が体験して、うつ状態を克服するための成長志向を植え付けることとのこと。

現在、コンテンツはほぼ完成しており、IRB(研究倫理審査委員会)による承認も下り、2019年初旬からは臨床試験を開始するとのことです。

この取り組みに関してOgle氏は、

このVR体験の目的は、単にうつ病を調査するだけではなく、青春期の人が治療を行う際に自分が独りでないことや、様々な感情や課題をどのように克服すべきかを知ってもらうことです。

と述べており、メンタルヘルスの治療でVRが役立つ可能性について言及しています。

VRを不安障害の克服に役立てる

また、同時期に開始する臨床試験には、VRによって社交不安障害を治療するものがあります。

こちらはスタンフォードなどの大学と提携しており、VRによってメンタルヘルス問題の解決を研究する専門家らと協力して開発を進めています。

Ogle氏によると、このプログラムでは2つのシナリオを用意しており、不安障害を抱える人が現実で直面するシチュエーションをVRで疑似的に体験すると言う内容。

これらのシナリオでは、ユーザーはVR空間で他者と接することを学び、その際に起こる不安の感情マネジメント能力を養うことが目的です。

不安をランク付け

とはいえ、VRはリアルな体験をもたらすので、いきなり人が大勢いる場所に没入すると被験者がパニックになるかもしれません。

こうしたケースに対応すべく、それぞれのシナリオでは被験者の「不安のランク付け」をします。つまり、最も不安レベルが低い環境からVR体験をスタートし、段階的に不安レベルの高い環境へと移っていく、というもの。

被験者はVRで、就職の面接を再現した体験と、知らない人が大勢いる集会に参加するシナリオを体験します。それぞれのシナリオでは、研究者らが制作した複数のシチュエーションが用意されており、被験者はこれらを体験しながら治療を行います。

メンタルヘルス用のVRは市場になるか

このようなソリューションは使用者に治療効果をもたらすだけでなく、様々な症状を抱える患者に役立つためニーズも高く、メンタルヘルス用のVRコンテンツは市場になる可能性もあります。

このようなコンテンツはVRゴーグルのみで体験できるので、精神治療センターやクリニック、ダルクなどの依存症回復施設や学校など、様々な場所で導入できます。

Limbixは既にコンテンツの販売も行っており、ユーザーのフィードバックを得ながら改善を行い、より多くのケースで使用できるコンテンツを開発していくとのことです。

まとめ

VRはメンタルヘルス分野でも活用できる技術で、様々な精神疾患の治療に役立てるための研究・開発が行われています。

Limbixという米国企業は、様々な大学や専門家らと協力して、治療用のVRコンテンツを開発しています。

また、こうしたメンタルヘルス向けのVRは簡単に使用できて、かつ導入も容易なので様々な場所でのニーズがあり、こうした治療用VRコンテンツは今後市場化して大きく普及する可能性があります。

参考サイト:VRScout









Daisuke


フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

 

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