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VRをがん治療に活用!患者の腫瘍の状態をより正確に把握

2019/01/14 22:00

がん治療の技術は日々進化しており、AIなどを用いてがんの早期発見や病状の把握などがより正確・迅速化しつつあります。

そして、VRをがん治療に活用することで、従来では不可能だった高い精度での調査が可能になり、より効果的な治療策の提示につながります。


VRをがん治療に活用、腫瘍の状態を正確に調査

英国のバイオメディカル研究チャリティ機関であるキャンサー・リサーチ・UK(The Cancer Research UK:CRUK)では、現在VRを活用したがんの調査システムの開発が行われています。

これはがんの腫瘍を3Dモデル化してVRで閲覧することで、腫瘍の内側も含めた細部まで把握できるようにするもので、従来のがん治療の精度が飛躍的に高まると期待されています。

がん腫瘍をスキャンして3Dモデル化

システムの開発にあたって、CRUKの研究者らはサンプルとなるがん腫瘍の組織の生体検査を行い、腫瘍を薄くスライスしてマーカーで染色しました。

ここまでは顕微鏡を用いた通常の腫瘍の調査でも行われるプロセスですが、次にスライスした腫瘍をスキャンして、腫瘍全体の3Dモデルを作成します。

この腫瘍の3Dモデルは極めて正確に再現されており、腫瘍の分子やDNAの特徴までも確認できます。

VRで腫瘍の内部まで調査

こうして作成した腫瘍の3Dモデルは、VRから閲覧することができます。

従来の調査では腫瘍の内側を覗くことは不可能でしたが、3DモデルとVRの立体表示によって、腫瘍の内側まで閲覧できるようになります。

こうして、腫瘍の細部を確認できるだけでなく、腫瘍の内側も閲覧可能になることで、調査の精度が大きく向上します。



より効果的な治療が可能に

腫瘍の状態をより正確に把握することは、治療において極めて重要になります。

CRUKの主要研究者であるGreg Hannon氏は、VRを用いた新たながん調査の手法に関して、

これまで、がん腫瘍の状態の調査をこのレベルで行うことは不可能でした。(中略)これは全く新しいがん調査の方法です。

と、述べています。

精巧な3Dモデルを使うことで、腫瘍に関するより多くのデータを得られるようになります。

また、収集したデータは世界中の医師が共有して、同時に閲覧することができます。

こうして、調査の精度が向上すると共に様々な知見を集めやすくなることで、より効果的な治療策を提示しやすくなります。

データの量が効果的な治療のカギに

治療においては、患者の容態に関するデータをより多く集めることが重要だと、Hannon氏は指摘しています。

カギとなるのは情報です。現在の技術では、人間による理解や分析を行うのは難しく、大量のデータを扱うための新たな手法の開発が必要です。そのための第一歩となるのは、まず大量のデータセットをコンピューターで作成し、次にそれらをVRに落とし込むことです。

と、述べています。また、CRUKのチーフサイエンティストであるKaren Vousden氏は、

新たな治療策を提示するためには、(患者の)がん細胞が互いに、そして健康な組織とどのように相互作用するかを理解することが最重要です。(中略)この新たなVRシステムを使うことで、従来の2Dベースの静的ながん腫瘍の調査が、遥かに動的なものになります。

と、VRががん腫瘍の調査にブレイクスルーをもたらす技術になり得ると述べています。

Hannon氏らが開発するこのVR調査システムは大きな注目を集め、開発チームはCRUKから2,000万ドル(約22億円)の助成金を受けています。

実用化に向けて開発中

開発チームには現在、Hannon氏らを含む16人の研究者らが携わっており、これまでに初期段階の乳がん腫瘍の3Dモデルのコンセプトを制作しており、複数のユーザーがVRで同時閲覧することができます。

将来的には実際の患者の腫瘍データを用いて治療に活かすことを目指しており、研究者や医者、また医学生や患者など、幅広いユーザーが使用できるものにしたいとのことです。

実用化にはまだ数年を要する技術ですが、より効果的ながん治療のための画期的なツールになり得る技術です。

VRが医療にもたらすメリットを示す好例として、注目すべきVRの活用例ですね。

まとめ

英国では、VRをがんの治療に役立てるための取り組みが行われています。

がん患者の腫瘍を3Dモデル化して、それをVRから立体で閲覧することで、腫瘍の状態をあらゆる角度から調べることができます。

従来は不可能だった、腫瘍の内側も閲覧することが可能で、それによって調査の精度を飛躍的に向上させられるとのことです。

がん治療では、患者の容態に関する正確なデータをできるだけ多く集めることが、より効果的な治療策の提示につながります。

この点においてVRは大きな効果を発揮する技術で、正確なデータを直感的な操作で閲覧できるので、がん治療に大きく役立つツールになりそうです。

参考サイト:VRScout









Daisuke


フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

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