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未来のAR体験に必要な空間マッピング技術、英の開発企業が9億円を調達

2019/01/27 22:00

「ポケモンGO」を始めとする様々なARアプリの登場によって、一般ユーザーがARを使用する機会が増えつつあります。

将来的には、複数のユーザーが同じARコンテンツを様々な場所で共有可能になると考えられていますが、そこで重要になるのが空間情報のマッピングです。

スマートフォンやスマートグラスなど、複数のデバイス同士で広大な空間情報を共有してARを使用するための画期的なマッピング技術が開発中です。


複数のデバイスで広大な空間情報を共有するためのマッピング技術とは

現在、まだARはユーザー単独で使うアプリが大半ですが、将来的には複数のユーザー同士で、現実空間に表示されたARコンテンツを共有するのが一般的になると予測されています。

たとえば街角にAR表示された広告や道路標識、もしくはマルチプレイのARゲームで複数人が遊ぶ、といった使い方などが考えられます。

これが実現すれば、まさにSF映画のような光景が実現し得るわけですが、現行のAR技術では実現が難しいのが現状で、その原因として「広大な空間情報を共有できない」ことが挙げられます。

街中を3Dマップ化して、クラウド上で共有する技術が開発中

ですが、ロンドンに拠点を置く企業Scape Technologiesは、こうした課題を解決するための空間マッピング技術を開発しています。

同社が開発するVPS技術(Visual Positioning System=位置特定技術)では、都市スケールの広大な空間をセンチメートル単位でマッピング可能で、それをクラウド上から様々なデバイスで共有することができます。

デバイス単位でのトラッキングには限界がある

HoloLensやMagic Leap Oneなど、現在市販されているARデバイスでは、内蔵したトラッキングセンサーによってミリ単位の精度で周囲の空間情報をマッピングできます。

それによって床や壁の高さ、角度などを正確に計測することで、3Dモデルやデータがまるで現実世界に存在しているかのような実感のある表示が可能になります。

ですが、こうしたデバイス単体のマッピングの難点として、デバイスが計測可能な範囲外の空間を認識できないことが挙げられます。

したがって、認識可能範囲を超えた場所にはARオブジェクトを表示できず、例えば50~100メートル先といった遠距離に対応することができません。

GPSを使えば、広大なエリアをマッピングできるが・・・

こうした問題の解決策の一つに、GPSが挙げられます。ですがGPSを用いたトラッキングにも難点があり、トラッキング精度に最大で4メートルもの大きな誤差が生じてしまいます。

GPSの地図アプリなどで、たまに現在地からかなり離れた位置に自分のアイコンが表示されてしまうことがありますが、ARの空間マッピングでも同じことが起こります。

また、GPSでは人工衛星の信号を利用するので、周囲に木や建物などの遮蔽物があると信号が妨害され、さらにマッピング精度が落ちてしまうこともあります。



広大なエリアを正確にマッピングする新技術

こうした課題を解決するために、Scape TechnologiesのVPS技術では画像データから新たに3Dマップを構築するという新たなアプローチを採用しています。

同社によると、「Scape VPS」と独自のフレームワークによって広大な空間をマッピングすることが可能で、かつ環境内にある物理オブジェクトを正確に認識し、周辺にあるデバイスとも連携できるとのことです。

こうして作成した高解像度の3Dマップはクラウドを通して複数のユーザーが共有可能で、マップへのアクセスにはカメラを搭載したデバイスであれば可能といいます。

つまり、トラッキングセンサーを内蔵していないスマートフォンやARデバイスからでも、正確な空間情報を基にした高品質なARを使用できるということですね。

ロンドンでテスト中、ゆくゆくは各都市に展開

Scape Technologiesは先日シード段階での資金調達を行っており、Mosaic VenturesやLocalGlobe、Entrepreneur Firstなどのベンチャーキャピタルから800万ドル(約9億円)の資金調達を受けています。

同社は資金を基にScape VPSの開発を拡大していくとのことで、既に同技術のパイロット版はロンドン市内で試験運用が行われています。

今後は他の様々な都市でも3Dマップを利用可能にしていく予定で、また2019年第1四半期には開発者用のSDK(ソフトウェア開発者キット)も提供するとのことです。

同社によるVPS技術は、ARだけでなく自動運転やロボティクスなどの様々な分野で活用できる技術なので、今後どのように普及していくかに注目されます。

まとめ

英国のScape Technologiesという企業が、約9億円の資金調達を行いました。

同社が開発するVPSという技術は、都市スケールの広大な空間を正確にマッピングする画期的な技術です。

これは複数人でAR体験を共有したり、より実用的なARアプリの開発には欠かせない基礎技術で、現在ロンドンで試験運用が行われています。

また、スマートフォンやARデバイスなどの様々な媒体でアクセスできるのもメリットで、SF映画のような「街中にホログラムが溢れる」光景の実現には欠かせない重要技術です。

参考サイト:Road to VR









Daisuke


フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

 

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