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サムスンが曲面ディスプレイを用いた広視野角HMD技術の特許を申請!

現在市販されているヘッドマウントディスプレイ(HMD)が解決すべき課題の一つが、視野角の狭さです。

HMDを着けると視野の周囲がディスプレイ部分で黒く埋まってしまうため、より広い視野角を備えたデバイスが求められています。

韓国大手家電メーカーのサムスンも同様の技術開発に取り組んでおり、同社による広視野角HMD技術の特許が公開されました。


サムスン、曲面ディスプレイを使用した広視野角HMDの特許を申請

同社が申請した特許は2019年1月24日に米国特許商標庁から公開されたものです。

特許は2017年1月に申請されたもので、曲面ディスプレイを使用した広視野角HMDの技術について記載しています。

市販のHMDを大きく上回る視野角

Oculus RiftやHTC Viveなど、現在市販されているHMDの視野角は90度~110度でほぼ共通していますが、人間の眼球の視野角は約200度であることを考えると、十分な大きさとは言えません。

ですが、特許に記載しているHMD技術では180度という広い視野角が可能で、デバイスの存在を感じにくいワイドな映像が表示可能であることが分かります。

2種類のレンズを使用

このHMD技術のユニークな点として、180度という視野角を実現するために2枚のレンズをそれぞれのディスプレイに使用することが挙げられます。

ディスプレイには広角レンズと視野角120度のフレネルレンズを使用しており、この2つを組み合わせることで180度の視野角を実現する仕組みです。

フレネルレンズとは表面にギザギザ状の溝を細かく刻んだレンズで、片目で4K程度の映像が再生可能といいます。ですがフレネルレンズのみでは実現可能な視野角に限界が生じてしまうため、はみ出た部分の映像を広角レンズで補います。

曲面ディスプレイを採用

ですが、広視野角を備えたHMDとなると、ディスプレイのサイズが大きくなるためにHMD自体が巨大化してしまいます。

例えば、「StarVR One」は210度もの視野角を備えた高性能HMDですが、実際のデバイスのサイズはかなり大きなものです。また、デバイスの巨大化によって重量が増えてしまうなどの問題もあります。

こうした問題を解決するため、特許では曲面ディスプレイを採用することでデバイスのコンパクト化を図っており、それによって解像度を拡げつつデバイスのサイズ・重量ともに抑える工夫をしています。

また、ディスプレイにはOLED(有機発光ダイオード)を使用していますが、OLEDを使用した曲面ディスプレイはサムスンのGalaxy S8シリーズのスマートフォンに既に採用されており、サムスン独自の技術を活かしていると言えます。



VR/MRを中核事業に据えるサムスン

ですが、今回公表された技術は特許申請の段階であり、将来的にサムスンの製品に使用されるかどうか、現時点では分かりません。

同社はこれまでにもVR事業に積極的に参入してきた実績があり、今後もVR/MRを主力事業に据える姿勢を見せている点を見ても、独自の画期的なデバイスが開発される可能性は大いにあるでしょう。

「VR元年」と言われた2016年には、サムスンはOculusとの共同開発でスマホVRゴーグル「Gear VR」をいち早く発表しており、VR機器が現在より高額なものであった当時にスマートフォンを差し込むだけで手軽に使用できる、高品質で安価な本デバイスは画期的なものでした。

また、2017年にはWindows MRデバイス「Odyssey」を発表しており、他のメーカーから発売されたWin MRデバイスよりも高解像度の映像が表示できるなど、Win MRの上位モデルとして位置づけられています。

そして2018年にはOdysseyの改良版となる「Odyssey+」を発表、VR酔いの原因となる「スクリーンドア効果」を低減する新技術や、装着感の向上などの様々な改善が行われています。(Odyssey+は2019年1月時点で日本では未発売です)

Odysseyシリーズの解像度は2880 x 1660と、HTC Vive Proのそれと同じであり、かつVive Proよりも低価格である点もメリットでしょう。また、トラッキングセンサーを内蔵しているためにセットアップが簡単である点なども含めて、Viveのサブユース目的などに適しています。

VRハードウェアメーカーとしての地位を築きつつあるサムスンの、今後の動向に注目されます。

まとめ

サムスンが独自のHMD技術の特許を申請したことが明らかになりました。

このHMD技術では、市販のそれよりもより広い視野角を実現可能とのことで、180度という広さを備えています。

また、広視野角のためにディスプレイサイズが大きくなってデバイスが巨大化しないように、曲面ディスプレイを採用している点もユニークな特徴です。

サムスンはこれまでにGear VRやOdysseyなどのVR機器を投入してきた実績があるだけに、同社独自の技術を使用した画期的なデバイスが発表される可能性があります。

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Daisuke


フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

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