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軍用目的での活用進むVR!バズーカの操作をリアルに再現するシミュレーターが登場

VR/ARは軍事・防衛分野でも活用が進んでいます。

おもに兵士の訓練でVRはメリットをもたらす技術で、より実戦に近い環境をVRで再現する技術は日進月歩で開発が進んでいます。


実物の兵器をVR空間で操作、兵士向けの訓練システムが開発中

VR空間で実際の戦闘を疑似的に体験できる技術は、他の様々な技術と組み合わさってより高度化しつつあります。

先日は実物の対戦車ロケットをVR空間の中で操作して、実際の兵器の操作感覚を体験的に訓練できるシステムが登場しました。

対戦車兵器をVR空間内で操作

このシステムを発表したのはスウェーデンの軍需企業のサーブ(Saab)で、同社が開発した無反動対戦車ロケット砲「カール・グスタフ」とVRを組み合わせたものです。

カール・グスタフは1948年から使用されているロングセラーの対戦車兵器で、現在では日本を含めて世界30ヵ国以上で正式採用されています。

「Far Cry」や「コールオブデューティ」などのゲーム作品にも登場するのでご存知の方もいると思いますが、このカール・グスタフの実物を背負って、VRヘッドセットを装着して実戦に近い環境で操作を学ぶことが出来ます。

実物を用いての「VR訓練」

このシステムの開発を担当したのは、フィリピンに拠点を置くVR/ARエージェンシーのVoblingです。

同機関は2017年にカール・グスタフのVRシミュレーターを開発しており、同年にロンドンで開催されたDefense Security Equipment Internationalカンファレンスではサーブによって出展が行われています。

使用するのは実物のカール・グスタフとHTC Viveで、ロケット砲にはVive Trackerを装着して位置や動きをVR空間内に反映、使用者は実際の兵器の重さや形を身をもって体感しながら、VR空間で様々な種類のターゲットを狙って撃ちます。

無反動砲であるためか武器のリコイルを再現するハプティクス(触覚)は搭載していないとのことですが、最近では重機関銃のリコイルをリアルに再現するVRシミュレーターも開発されており、同様に軍用での活用が見込まれています。

軍用VRシミュレーターは市場となるか

サーブはこのようなVRシミュレーターを「重要な要素」と判断しており、同社はVoblingをしてこのようなシミュレーターの開発を更に進める意向とのことです。

同社のMarketing Communication ManagerであるPatrick Mollbrink氏は、

このVR体験はわが社のショールームでとても人気です。将来的には(シミュレーターの)リアルさを追求すると共に、様々なシナリオを顧客向けに構築していく積りです。

と述べており、VRを用いた軍事シミュレーターに大きなニーズがあることに言及しています。

また今後の予定としては、HTC Viveよりも解像度の高いVive Proや、超高解像度の映像表示が可能なVRヘッドセット「Varjo」を使用する計画もあるとのことです。

このプロジェクトは現在既に開発が進んでおり、2019年第1四半期(4~6月)以内での完成を目指しているとのことです。

最も、現時点ではこのVRシミュレーターが実際に軍に採用される目途は立っていないとのことですが、リアルな訓練シナリオを提供できる本システムが、各国の軍に採用される日はそう遠くないように思えます。



軍事分野で活用が進むVR/AR

エンターテイメント、医療、建築、デザインなど様々な分野で用途が見出されているVR/ARですが、軍事分野も重要な分野の一つです。

現在、各国の軍隊や企業がVR/ARを用いた軍事目的のシステムを開発しており、この勢いは今後更に加速していきそうです。

陸軍用のARヘッドセットをマイクロソフトが開発

例えば、先日マイクロソフトと米国陸軍が契約を交わし、軍事目的に特化したARデバイスを10万台以上軍に納入する予定が明らかになっています。

同社は陸軍の兵士が使用する「ARシステム用のプロトタイプ」を開発・提供するとのことで、兵士の訓練や実戦での使用を想定したデバイスになるとのことです。

画像はイメージです。

このARデバイスには軍事利用に特化した様々な特徴があり、ナイトビジョン(夜間暗視)やサーマル(熱感知)、呼吸などの生体情報を取得できるなどの特殊機能が搭載されるとのことです。

英国軍によるAR戦闘システム

また、英国海軍ではARを活用した戦闘システムを導入する計画で、主に艦船のブリッジでの指揮系統に用いられるとのことです。

大量の情報を一度に把握して短時間で決断を下す監視官が、ARによってより迅速な情報収集が可能になり、レーダーやソナーの情報や、乗組員同士の指示伝達をより迅速・効率化することを目的としています。

この他、VR/ARは各国の軍が様々な用途で活用を試みており、軍事分野におけるVR/AR市場は2025年までに約2,000億円規模もの市場に成長するとの予測も出ています。

まとめ

VR/ARの普及は軍事・防衛分野でも今後進んでいきそうです。

先日はスウェーデンの軍需企業により、対戦車兵器の操作感覚を体験できるシミュレーターが登場しました。

このようなVRシミュレーターは複数開発されており、今後各国の軍によって採用されると考えられます。

民間技術のVR/ARの軍事利用には倫理的な反対意見も出ていますが、軍事分野がVR/AR普及の大きなカギの一つであることは間違いないようです。

参考サイト:Road to VR









Daisuke


フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

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