VR Inside

VR/AR/MRの未来を創るビジネスニュースメディア

AIキャラとのやり取りで対人スキルUP!企業向けソリューションが米国で開発

2019/03/10 22:00

疑似的な体験をまるで現実のように再現できるVRは、医療や教育などの様々な分野で活用されていますが、一般企業でのコミュニケーションスキルの改善にも役立ちます。

米国では、VR空間の中でAI(人工知能)によって動作する「バーチャルヒューマン」とのやり取りを通して、ビジネス上での様々な場面への対応力をより実践的に学べるソリューションが登場しています。


VR体験を通して対人スキルを学べる、企業向けソリューション

米国ロサンゼルスに拠点を置くソフトウェア企業のTalespinは、VR/AR、AI(人工知能)を活用した企業向けソリューションを開発しています。

同社が先日発表した企業向けツールは、VR空間に再現されたオフィス内でリアルなキャラクターとのコミュニケーションを行い、それによって実際のビジネス現場で起こり得る様々な状況を疑似的に体験できます。

ビジネス上の様々な状況をリアルに再現

VR空間内でやり取りを行うバーチャルヒューマンには、ユーザーが発した言葉を認識する音声認識や、自然言語生成などのAI(人工知能)技術の他、"Narrative Branching"というVR技術を取り入れています。

Narrative Branchingとは、おもにVR映画で活用されている手法で、プレイヤーの選択によって物語をいくつもの展開に「枝分かれ(Branching)」させることが可能で、「Raising A Rukus」などのVR映画で採用されています。

Talespinのソリューションではこうした最新技術を組み合わせて、まるで実際のオフィスでリアルの人間と会話しているかのような体験を生成します。それによってリアルな会話や、ボディーランゲージなどの身体動作など、オフィスで実際に体験し得る様々な状況をシミュレートします。

このようなリアルなバーチャルヒューマンとのやり取りを、様々な状況設定で行うことが可能で、これを社員教育に応用すれば、例えば交渉などのコミュニケーションや、利害の不一致などのタフな状況を疑似的に再現することができます。

ストレスフルな状況をバーチャルで再現

同社は本ソリューションのデモを制作しており、内容は従業員の一人を解雇するというものです。

登場するのは"Barry"というバーチャルヒューマンで、プレイヤーは人事課のマネージャーという設定でBarryに解雇通知を告げなければなりません。

上掲のビデオにも登場しますが、Barryはプレイヤーに向かって激しく反論し、通知を拒否しようとしますが、このような状況を実際に体験するのは非常にストレスがかかります。

ですが、VRの体験であればあくまで疑似的なので、このような状況をVRで繰り返し体験することで、プレイヤーの対人スキルや対応力をより実践的に磨くことが出来ます。

プレイヤーのスキルをフィードバック

上記の解雇通知を告げる際など、プレイヤーは相手に対して共感を示しながら意思表示をする必要がありますが、このようなスキルは実際に経験してみないと中々身に着きにくいものですが、VRであればこうした状況を現実であるかのように体験できます。

このような、実際のビジネス現場で直面し得るストレスフルな状況や、また感情的になりがちな状況をVR体験を通して慣れることで、対人スキルの向上に役立てるという仕組みです。

また、シミュレーション中のプレイヤーのやり取りはソフトウェアがトラッキングし、スコア形式でフィードバックをしてくれるので、ゲーム感覚でプレイできるという点も実用的です。

このソリューションを既に導入している企業は幾つかあり、フォーチュン100にランクする複数の企業が活用しているとのことです。具体的な企業名は現時点では未公表ですが、2019年内には明らかにする予定とのことです。



VRはコミュニケーションスキルの改善にも役立つ

上記で取り上げたのは企業向けのVRソリューションでしたが、VRは対人スキルの改善につながるツールとして効果的であることが分かっており、最近では社会不安障害の克服にVRを活用するケースが登場しました。

Limbixという企業が開発するアプリでは、不安障害を抱える人がVRで他者との接触を疑似的に体験して、その際に起こる不安感情のマネジメント能力を養うことを目的にしています。

アプリでは様々なシナリオが登場し、例えば就職面接や、知らない人が大勢いる集会に参加する場面などが体験可能で、プレイヤーは徐々に不安レベルの高い環境へと移行していく過程を通して治療を行います。

この他にも、児童教育にARを活用してコミュニケーションを活性化するツールが日本でも導入されており、コミュニケーションツールとしてのVR/ARは今後様々な分野で活用が進みそうです。

まとめ

VRで対人スキルを磨くソリューションが米国で開発され、現在複数の企業で導入が進んでいます。

これはVR空間内でリアルなバーチャルヒューマンとのやり取りを通じて、交渉能力やタフな状況への対応力をより実践的に養うことが目的で、疑似的な体験を現実のように体験できるVRの特質を活用しています。

バーチャルヒューマンはAI(人工知能)で動作して、プレイヤーの発話を認識できるとのことです。最近では「バーチャルビーイング」なる言葉がネット上でも賑わいましたが、このような仮想的なキャラクターと接するきっかけの一つですね。

参考サイト:VRScout









Daisuke


フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

最新ニュースを読む