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VRで救命スキルを素早く習得!オーストラリアで活用進む

事故や病気などで心臓が停止した際、救急車が到着するまでの間に亡くなってしまう方が少なくありません。こうした状況では心臓マッサージなどの応急手当が有効ですが、こうしたスキルは習得するためのトレーニングが必要になります。

ここにVRを活用することで、応急手当のスキルを手早く学べるソリューションが登場し、オーストラリアでは実用化が進んでいます。


応急手当のスキルをVRで学ぶソリューションが登場

このソリューションは「SJx」という名称で、おもに心臓が停止した患者の応急手当に必要なスキルを、VRで短時間で学べます。

SJxはオーストラリアの慈善医療団体、St John Ambulance Victoria向けに開発されたものですが、持ち運びが可能であるため、企業や学校などの様々な場所で活用できます。

多人数が一度に応急手当のスキルを学べる

SJxを開発したのは、オーストラリアのVRコンテンツスタジオのStart VRです。同社はこれまでにVR映画「Awake」や、戦争を題材にしたVR体験「Battle of Hamel」等の制作で知られています。

同社が開発したSJxは、一体型VRヘッドセットを用いることで場所を選ばずに運用が可能で、一度に最大で20人が、VRを用いた講習を受けることが出来ます。

Oculus Goを使用したトレーニング

VRを用いた医療用トレーニングには様々な例がありますが、それらの多くがPCVR機器を使うので、設置するための場所や機材が大掛かりになり、使用できる場所が限られます。

ですが、SJxでは一体型VRヘッドセットのOculus Goを使い、必要な機材をカバンに入れて持ち運べます。

SJxを用いた講習では、実際に患者を応急手当する際の環境をVRで再現し、様々な状況を想定したCPR(Cardio Pulmonary Resuscitation=心肺蘇生法の総称)のトレーニングが行えます。

受講者は、VR空間の中で危険物を認識したり、素早い判断など実際の状況で必要になるスキルを体験的に学ぶことが可能で、講習後は応急処置の資格を取得できます。

従来よりも短時間でのトレーニングが可能

Start VRによると、VRを活用したトレーニングによって、従来の講習でかかっていた時間を75%も削減可能になり、わずか1時間の講習を受けるだけで資格取得できるとのことです。

同社のCEOであるKain Tietzel氏は、

この救命用トレーニングは、様々なビジネス分野において、従業員の実地教育が行えます。(それによって生産性が向上します)また、遠隔地や多忙なコミュニティなど、従来ではトレーニングを受けるのが難しかった人々にも、提供することが出来ます。

と述べており、VR教育のメリットだけでなく、高い携帯性についても言及しています。



VRトレーニングは患者の死亡率低下につながるか

SJxで学べるのは、心臓マッサージなどを通じて心肺停止した人を簡易的に延命するスキルですが、こうしたソリューションは実際にどの程度役立つのでしょうか。

まだ実用化が始まったばかりなので具体的な効果は挙げられませんが、オーストラリアでは毎年数千人が心肺停止で亡くなっているといいます。

こうしたケースの中には、救急車が到着する前に致命傷に至るケースも多いと考えられます。こうした理由から、応急処置のスキルを持つ人のニーズは高く、また同スキルを学べる環境によりアクセスし易くすることも重要と言えます。

また、こうしたスキルを短時間で習得できることも重要で、モバイルVRを用いたSJxのようなソリューションは、医療施設以外にも、学校や企業での研修などでも手軽に導入できます。

St John Ambulance Victoriaの代表であるGordon Botwright氏は、

オーストラリアで、こうした応急措置のための新たなトレーニング手段が登場したことは素晴らしいことです。これによって、心肺停止した人へのレスポンス時間が改善され、生存率が高まるでしょう。

と述べており、VRトレーニングが効果的な救命手段になると期待を寄せています。

SJxでの講習を修了すると、一般向けのCPRスキルの認可証であるProvide Cardiopulmonary Resuscitationが発行され、正式な救命スキルの持ち主であると認められます。

VRの普及によって、こうした救命用スキルを持つ人が増えれば、より社会レベルでの安全性の向上につながりそうです。

まとめ

オーストラリアでは、救命用スキルの習得にVRを活用したソリューションが開発されています。

SJxという名のソリューションは、心臓マッサージなどの救命スキルを、VRを通して短時間で効率的に学ぶことが出来ます。

また、Oculus Goを使うため持ち運びが簡単で、一度に20名が講習を受けられる携帯性もあるので、学校や企業などでも手軽に導入できます。

VRの普及が進むにつれて、企業の研修や学校の授業などでは、VRを用いた講習が当たり前になる日もそう遠くなさそうですね。

参考サイト:VRFocus









Daisuke


フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

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