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VRとARをシームレスに統合!「XR-1」が産業向けデバイスとして登場

2019/06/12 22:00

VRディスプレイ技術の進化に伴い、より現実と見分けのつかない高解像度の映像表示が可能になりつつあります。

同時に、VRとARをシームレスに統合するMR(複合現実)の実用化も進んでいます。MRに対応した「XR-1」は、まさに現実レベルのMRを実現するデバイスとして登場しました。


本格的なMRを可能にする「XR-1」ヘッドセットが登場

XR-1の開発企業は、フィンランドのVRハードウェアメーカーのVarjoです。同社は2019年2月に超高解像度のVRヘッドセット「VR-1」を発売しています。(日本では未発売)

そして、同社のラインナップの第二弾として登場したのが「XR-1」で、これはVR-1のアップデート版という位置づけです。

高精度なARに対応

XR-1はVR-1同様、エンタープライズ分野向けに開発されたデバイスです。おもにエンジニアやデザイナーの使用を想定しており、下記で説明しますが大手自動車メーカーのボルボでは、既にXR-1を試験的に導入しています。

デバイス前面には12メガピクセルのカメラを2つ搭載し、これによって周囲の環境の情報を取得します。そして内蔵した深度測定センサーによって、空間の奥行や高さなどを把握し、現実世界をマッピングします。

この仕組みによるAR表示の精度は極めて高く、同社のWebサイトでは「バーチャルと現実をシームレスに統合する」と紹介しています。

影や光なども生成可能に

従来のARでは、3Dオブジェクトを現実世界に表示するのみで、オブジェクトに影や光を加えることは不可能でしたが、こうしたグラフィック面においてもXR-1では改善されています。

XR-1では、物体のオクルージョン(物体の前後関係)の把握や、ARオブジェクトの色具合、影や光具合などもフォトリアルに表示し、遅延は15ミリ/秒以下と、殆ど気にならないレベルで実現するとのことです。

また、「20/20」という独自のトラッキング技術によって、ユーザーがMR体験中に特にどの箇所に最も注意を払ったかを測定できます。

VRとARをシームレスに統合

こうした、大幅に精度を向上したAR技術を、Varjoは「Hard AR」と呼んでおり、デバイスの使用中にVRとAR両方を切り替えることができます。

同社の共同設立者、Chief Product OfficerであるUrho Konttori氏は、

XR-1は、現実レベルの解像度による複合現実に対応しており、これはビデオパススルー技術によって始めて可能になります。こうした極めてリアルな複合現実は、例えばHoloLensのようなオプティカルシースルーのシステムでは不可能でした。

と述べています。ビデオパススルーとは、VRヘッドセットのように頭部を丸ごと覆うデバイスを装着し、デバイス内蔵のカメラを通してAR表示する仕組みです。これは先日発売された「Oculus Quest」にも搭載しています。

一方のオプティカルシースルーとは、「HoloLens」「Magic Leap One」などのARヘッドセットに使用されている技術です。つまり、目で直接見ている光景の上に、透明なディスプレイを通してCGを重ね合わせる技術であり、したがって表示できるのはARのみとなります。

ボルボでは既に活用進む

XR-1は登場して間もないデバイスですが、既にスウェーデンの自動車企業ボルボでは、同デバイスを活用した実証実験がスタートしています。

同社で使用しているのはXR-1のプロトタイプで、2018年夏から導入を開始しているとのこと。インテリアデザインなど、多岐にわたる分野で活用しているとのことです。

また、MRを駆使したドライビング体験の開発にも注力しており、例えば運転中に、路上にバーチャルな鹿が現れ、これによってドライバーに速度低下を促したり、注意力を喚起するといったユニークなシステムです。

ボルボのChief Technology OfficerであるHenrik Green氏は、

従来の製品開発やアイデア練りに用いていた方法を代替するものとして、(XR-1)では様々なコンセプトをすぐに試せます。こうしたアプローチは、デザインや開発の初期段階において発生する、様々なボトルネックを解消し、著しいコスト削減をもたらします。

と、自動車開発においてVRやMRがもたらすメリットについて言及しています。



2019年半ばごろにリリース

XR-1の価格は現時点で未公表ですが、Varjoによると2019年中頃の発売を予定しているとのこと。

既に発売中のVR-1は、エンタープライズ向けの機器だけあって6,000ドル(約66万円)と高額で、加えてデバイスのライセンス料として1,000ドル(約11万円)が発生します。

XR-1はARにも対応しているため、価格はVR-1よりも上昇すると思われますが、本格的なMRデバイスの登場は、製造業やデザインなどの分野に大きな変革をもたらしそうです。

まとめ

VRとARの両方に対応した「XR-1」が登場しました。

XR-1はエンタープライズ向けのデバイスで、デザイナーやエンジニア向けに開発されました。既にボルボでは同デバイスを用いた実証実験もスタートしています。

日本での発売予定は不明ですが、本格的なMRデバイスの登場によって、バーチャル技術が日進月歩で進化している様子が伺えますね。

参考サイト:VRScout









Daisuke


フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

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