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VR酔いも軽減!画期的なディスプレイ技術をARMが発表

「Oculus Quest」「HTC Vive Focus」などの一体型VRヘッドセットの登場によって、ケーブル接続が必要ない自由度の高いVR体験が普及しつつあります。

ですが、こうした一体型VRヘッドセットは「Oculus Rift」などのPCVRデバイスに比べて、画像処理能力の面などで劣ります。現行のワイヤレスVRが抱えるこうした課題を解決するための、新たなディスプレイ技術が登場しました。


ワイヤレスVRで3K画質?ARMのディスプレイ新技術

英国の半導体開発メーカーのARMはスマートフォン用のチップ開発などで知られており、同社は2016年にソフトバンクが買収したことでも話題になりました。

同社は2019年5月15日、VR用の新型ディスプレイプロセッサ「Arm Mali D-77」を発表。より高画質な映像表示を低負荷で実現するなど、主に一体型VRデバイスでの使用を想定して開発されました。

VRの主流はワイヤレスに

近年、様々なPCVR機器の登場によってVR体験のパフォーマンスは向上していますが、ケーブル接続が必要になるため動ける範囲が限られたり、ケーブルが足に絡まって没入感を削がれることは往々にしてあります。

このため、将来はケーブルレスの一体型VRデバイスが主流になると言われていますが、その為にはデバイスの軽量化や解像度、映像処理能力などハード・ソフト両面での改善が必要になります。

VR性能向上のカギはディスプレイ

こうした、現行の一体型VRデバイスの性能を改善するために最も重要なのがディスプレイ技術だと、ARMは公式サイトにて述べています。

Mali D-77はこうした思想に基づいて開発されており、VR映像のクオリティから遅延度まで、高品質なVR体験に必要な要素を底上げするとしています。

デバイスへの負担を減らして性能を向上!VR酔いも軽減

Mali D-77では新たに採用したDPU(Display Processing Unit)によって、従来はGPUが一括して行っていた処理を肩代わりすることで、GPUへの負荷を減らします。

VRアプリは動作時に大規模な処理を必要とするためPCやデバイスに大きな負荷を与えますが、Mali D-77ではデバイスへの負担を軽減することで、映像の処理落ちやVR酔いなどを防ぎます。

この他、Mali D-77が実現するメリットとして、

・VR酔いを軽減する一方でデバイスのパフォーマンスを向上し、3K画質、フレームレート120fpsの映像表示を実現。

・システム帯域幅を40%削減し、VR使用中の電力消費を12%カット。

・小型、軽量、使いやすい一体型VRデバイスを実現し、通常のモバイルディスプレイにも応用可能。

といった点を挙げています。

より自然な映像表示を可能にするために

上記でも述べましたが、Mali D-77では特定の計算処理をDPUに移行するためデバイス全体の負荷が低減しますが、この他にもユーザーがVR体験を自然かつスムーズに感じるための処理機能を備えています。

・レンズ歪み補正(LDC):レンズの歪み補正を事前に行うことで、VRヘッドセットのレンズを通して見た際に、より適切で歪みの無い映像を表示します。

・色収差補正(CAC):事前にカラーチャンネルを逆方向に分離することで、VRヘッドセットのレンズ色収差によるにじみを抑えます。

・非同期タイムワープ(ATW):ユーザーの頭部の姿勢と、VRヘッドセットの位置の最新状態を把握して、よりスムーズなVR体験を実現。

の、3つを挙げています。また、VRヘッドセットだけでなくLCD/OLEDパネルを搭載したスクリーンにも応用可能で、4K HDR画質を表示できるとのことです。





2020年には2K画質のVRが普通に?

今回登場したMali D-77ディスプレイチップは、従来のワイヤレスVRが抱えていた課題を解決する技術として、様々な企業が注目しています。

中国の大手電子機器メーカーBOE Technology GroupのPhilip Yuan氏は、

VRヘッドセット用のパネルは、2020年までに片目2K x 2Kの解像度、フレームレート90Hzでの映像表示が可能になると言われています。(中略)Arm Mali D-77が実現する解像度やフレームレート、映像クオリティは、こうしたゴールを実現する原動力になり得ます。

と述べており、同チップが今後のVR技術の発展に大きな役割を果たすと述べています。

次世代のVRの主流として進化を続けるワイヤレスVR、様々な関連技術の登場には今後も注目です。

まとめ

一体型VRヘッドセットで、より高品質な映像表示を可能にするディスプレイチップをARMが発表しました。

Mali D-77は主にワイヤレスVR用に開発されたチップで、VR映像のレンダリング時にかかる高い負荷を軽減して、VR酔いなどを防ぎます。

また、ワイヤレスVRで3K画質の映像表示を可能にするなど、今後VRの主流になるとされるワイヤレスVR技術の発展に大きく寄与しそうです。

【参考サイト】
ARM 公式サイト
プレスリリース









Daisuke


フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

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