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実戦の状況をリアルに再現!米海軍がMagic Leap Oneを用いた訓練システムを導入

VR/ARは軍事分野でも活用が進んでおり、おもに兵士の訓練を目的として導入されています。

先日、米国海軍はARヘッドセット「Magic Leap One」を用いた兵士用訓練システムを導入し、従来はコストのかかっていた様々な訓練シナリオを、ARで手軽に再現できます。


米海軍がMagic Leap Oneを活用した訓練システムを導入

この訓練システムはMagic Leapが開発したもので、兵士はヘッドセットを装着して、実戦を想定した様々なシナリオを体験します。

それぞれのシナリオはルームサイズ規模の本格的なもので、海上での任務中の実戦を想定した動きをARで学習します。

民間技術を転用した訓練システム

このシステムはTRACER(Tactically Reconfigurable Artificial Combat Enhanced Reality:戦術的に再構成可能な人工的戦闘の拡張現実)という名称で、同システムには様々な技術が活用されています。

TRACERを使用する兵士はMagic Leap Oneを装着する他、バックパックPCを背負います。またStrikerVR製のハプティックデバイスを装着した模擬ライフルを携行し、銃のリコイルまで正確に再現します。

従来は不可能だった訓練が可能に

TRACERは元々、米国陸軍が進めるプロジェクト「ARDST(Augmented Reality Dismounted Soldier Training)」の一環として開発されましたが、同プロジェクトに目を付けたのが米海軍です。

同システムはその後海軍の兵士向けに採用されましたが、米海軍で兵士向けのシステム開発を行うDr. Patrick Mead氏はTRACERの紹介ビデオの中で、

海軍の訓練システムを見てみると、我々は未だに多くの訓練プロセスを従来の伝統的な手段に頼っていますが、兵士に必要な訓練を施すための時間は限られています。(中略)AR/VR技術、その他の周辺デバイスによって可能になる様々なことによって、これまで不可能だった訓練シナリオを実現できます。

と述べており、VR/AR技術によってより効率的かつコストを削減した効果的なトレーニングが可能になる、と述べています。



米軍で活用進むVR/AR

VR/ARは海軍だけでなく陸軍でも既に導入が始まっており、2018年12月にはMicrosoftが米国陸軍と契約し、兵士が訓練・実戦両方で使える戦闘用ARシステムを10万台提供する契約を結んだことで話題になりました。

このシステムは「IVAS(Integrated Visual Augmentation System)」というプロジェクトの元開発が進められており、ベースとなるのはMRヘッドセット「HoloLens」になるとのことです。

ウクライナ軍のHoloLens付きヘルメット

陸軍向けに改良されたARデバイスでは、例えばナイトビジョン(夜間暗視)やサーマル(熱感知)、呼吸や身体状態などの生体情報、また振動モニターやイヤープロテクターなどの実装が要件になっており、より軍事目的に特化したARデバイスになりそうです。

民間技術の軍事転用には反対の声も

同時に、Microsoft社内では、同社が開発する技術は民間向けのものであって、これを軍事転用することに対して不服を述べる社員も多く、2018年10月には同社の従業員がブログにて、

Microsoftの従業員の多くは、我々が作るものが戦争に利用されることを望まないと考えている。

との声明を発表しており、多額の資金を用いて軍事分野と協力することを批判しています。

一方で、Microsoftの経営陣は同社が今後も軍事分野と密接に協力する姿勢を貫いており、同社の決定に不服のある従業員は他の部署に配置するなどの対策を講じています。

HoloLens同様、Magic Leap Oneも民間向けに開発されたARヘッドセットであるため、こうした民間技術の軍事転用に対する反対意見が出ることも考えられます。

VR/ARやドローン、AI(人工知能)などの先端技術は軍事分野でも大きなメリットをもたらすため、軍需産業に参入する企業には今後より強力なコンプライアンスが求められそうです。

まとめ

米国海軍がMagic Leap Oneを活用した訓練システムを導入しました。

この「TRACER」という訓練システムはARヘッドセットを通して、様々な実戦のシナリオをルームスケールで再現することが可能です。

米軍はVR/ARを積極的に取り入れていることで知られており、米国陸軍は訓練・実戦両方で使えるARヘッドセットの開発をMicrosoftと進めています。

兵士がヘッドマウントディスプレイを着けて戦闘に参加する姿は、まるでSF映画を彷彿とさせますが、同時にこれらの技術開発を行う企業は今後、より活発な倫理的な議論も必要になりそうです。

参考サイト:VRScout









Daisuke


フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

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