イタリアの空港がARスマートヘルメットを新型コロナの水際対策として採用
2020/05/16 18:00

新型コロナウィルスの世界的な感染拡大が続く中、感染者に見られる体温の上昇、発熱を素早く検知できるテクノロジーのニーズが急激に伸びています。
産業としても今年から来年にかけて10億ドル規模にまで成長するとの見方もあるようです。
このことを証明するように、イタリア・ローマにあるフィウミチーノ空港では新型コロナウィルスのスクリーニング検査に熱スキャンを搭載したスマートヘルメットを採用しました。
イタリアの空港で採用されたARスマートヘルメット
ヨーロッパで最初の国際空港として知られるフィウミチーノ空港には80ヶ所以上に旅行客の体温を調べるサーモスキャナーが設置されています。
しかし、水際対策としてのさらに実効性を上げるために、中国のテクノロジー企業Kuang-Chi Technologyによって開発されたKC N901スマートヘルメットを採用しました。
SFドラマ「ブルー・スワット」に出てくるようないかつい外見のヘルメットにはヘッドマウント熱スキャン技術が搭載されています。
ヘルメットを装着したスタッフがチェックすることで、固定センサーでは把握しきれなかった旅行者も体温をスキャンできるようになりました。
スキャン結果はバイザーの後ろ、右目の前にあるモニターにリアルタイムで表示されます。
Kuang-Chi TechnologyによるN901スマートヘルメットのプロモ動画
また、サーモスキャナーは約2.4〜4.5メートルの距離で体内温度を検出できるため、検疫スタッフは社会的距離を確保しながら旅行者の検温をすることが可能です
また、N901ヘルメットに表示されるARオーバーレイ画面は
個別に温度測定値を表示するシングルパーソンモード
多数の旅行者の最大温度測定値を同時に表示するリアルタイムヒートマップを表示する「大群衆」モード
の2つのモードに切り替えることができます。
そのため、空港に降り立った旅行者の数が多数になっても、列を観察するだけで新型コロナ感染の疑いがある人を見つけ出すことが可能です。
また、N901ヘルメットはQRコードやバーコードを読み取ることもできる拡張現実デバイスであるため、パンデミック収束後には通常の空港業務でも活用が期待されています。
現在、フィウミチーノ空港は3台のN901ヘルメットを使って旅行者の検温を行っており、航空便が復旧した場合はさらに数を増やすことを検討しているとのことです。
急成長するウェアラブル熱スキャン技術
新型コロナウィルスの世界的な感染拡大に伴い、パンデミック対策ツールとして体温の上昇を捉える熱スキャン技術の重要性が高まっています。
今回取り上げたN901ヘルメットはフィウミチーノ空港の他にもアラブ首長国連邦の警察も採用し、市中感染の拡大防止に活用しています。
ウェアラブル熱スキャンデバイスはN901ヘルメットにも開発が進んでいます。
中国のRokid社は自社のARデバイス「Rokid Glass」に取り付けて熱スキャンデバイスとするサーモセンサーを発表しました。
A perfect solution to non contact body temperature measurement for entry and exit screening against #coronavirus! Incorporating infrared thermal camera fever screening, Rokid Glass can efficiently identify individuals with high body temperature.#TechForGood #AR #MR #tech pic.twitter.com/2tEag4U7X9
— Rokid (@RokidInc) March 10, 2020
このように、熱スキャンテクノロジーの市場は、年間を通じて劇的に上昇しています。
今後、より多くの企業が業務の中でこのテクノロジーを採用し始めるにつれて、2021年にかけて成長すると予想されています。
まとめ
新型コロナウィルスの感染拡大によって、今回紹介した熱スキャン技術の急成長などテクノロジーの世界も大きく変わりそうです。
とはいえ、熱スキャン技術もパンデミックと戦うためのテクノロジーの一つでしかなく、例えばマスクの未着用者を探すための人工知能とカメラを使った技術なども開発されているようです。
パンデミックの影響の大きさを改めて実感しますね。
参考:Italian Airport Using Terrifying Thermal Scanning AR Headsets Amid COVID-19 Outbreak[VR Scout]

筋トレとVRを愛するライター。VRでマッスルを実現できないか現在思案中。