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VRでがん患者のピアサポートを!「VRがんピアサポート」実証実験開始へ

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時空間・人間拡張技術を開発するカディンチェ株式会社は2020年7月2日(木)、VR技術を用いたがん患者向けピアサポート・遠隔フィットネスシステム「VRがんピアサポート」の実証実験を開始することを発表しました。

実験では、「VRがんピアサポート」の効率性が検証されます。


「VRがんピアサポート」とは

「VRがんピアサポート」は、VR技術を使用したがん患者向けのピアサポート・遠隔フィットネスシステムで、医療現場で広まりつつある「ピアサポート」をVR体験で補助する役割をします。

「ピアサポート」とは、医療現場において同じ病気を経験する患者同士が悩みや不安を共有し、その後の人生を前向きに送る知恵や情報を共有しながらお互いに支え合うというもので、特にがん患者を中心に広がっています。

通常は患者会や医療機関による会合という形での実施が中心だった「ピアサポート」ですが、昨今のコロナ禍の影響で対面機会を設けることが困難になっているのが現状です。

そのため

SNS

チャット

などインターネット上での実施が増えていますが、対面型に比べて患者同士の交流が希薄になりがちで、ヨガや体操などの体験型プログラムは実施できないという問題点が指摘されています。

このことから、VR技術を活用することで遠隔的な参加でありながらあたかも対面しているかのような錯覚を与えつつ、匿名性を担保した交流が可能になると考えられており、運動体験まで可能な仮想空間の開発が進められています。

2つの機能で医師・患者同士の交流をサポート

「VRがんピアサポート」には主に

・遠隔にいる人(実験協力者)と会話や手の動きを通して交流できる機能

・フィットネス(上肢運動)を仮想空間(3D CG)上で実施できる機能

の2つの機能があり、両方とも同じ仮想空間内で実行可能なため、「会話や手の動きを共有しながらフィットネスをする」といったことも可能です。

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また、フィットネスは“日替わり”となっており、「ストレッチ」「ボクササイズ」「体幹」といったそれぞれのフィットネスに応じた3D CG空間が用意されています。

フィットネス中に表示されるトレーナーの模範体操は、モーショントラッキングで計測した動きが再現されています。

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東大付属病院の協力で実証実験

「VRがんピアサポート」の効率性を検証するため、開発段階から監修している東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部・部長の住谷昌彦准教授協力のもと、同病院で実証実験が開始されます。

実施にあたっては、同病院受診中のがん患者数名が参加しており、貸与されたHMDを使って自宅から、仮想空間内に用意された運動プログラムへの参加と参加者同士の交流機会への参加を求めることで、実験前との変化について検証が行われる予定です。

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今後は患者のニーズに合った機能の開発を

実証実験での検証結果をもとに、今後はより患者のニーズに合った機能の実装が進められていく予定で、その先の実用化を目指しているということです。

また今回のがん患者向けの取り組みを一つのロールモデルとして、将来的にはその他の疾患や怪我・シニア層の介護予防領域への応用展開も考えられています。

実証実験にあたってのコメント

また今回の実験にあたって、協力・監修の住谷昌彦准教授からコメントが寄せられています。

日本を含め欧米先進国では、がん(癌)を患う患者さんが年々増加しており、日本では2人に1人ががんを経験します。医学の進歩によりがんの治療成績自体は向上していますが、がんを患ったことによって生じる様々な不安や生活上の困り事は病院や診療所などの医療者だけでは解決できないこともあります。さらに、がん治療を無事に終えられた患者さん達でも、体の不調や不安が長引くことが少なくありません。

私たちは、緩和ケア・支持療法の専門医として患者さんが抱える様々な問題の診療を担当し、がん治療医と協力して一人一人の患者さんにとって最適ながん治療を無理なく続けられることを目標に診療しています。また、がん治療終了後の患者さんに対しても治療介入を行っています。
このような私たち医療現場での診療とは別に、がん患者さん同士がお互いに支え合うピアサポート(がん体験者による相談)が、医療では埋めきれない患者さんのがんに関わる悩みへの支援として広がってきています。国内でも多くのピアサポート活動が普及してきましたが、まだまだ「遠方で通えない」、「直接、他の患者さんと交流するのは気恥ずかしい」、「まずは少しだけ覗いてみたい」といった患者さんの声をうかがうことが少なくありません。
そこで私たちは、がんの患者さん達にもっとピアサポート活動に参加していただけるようなVR(バーチャルリアリティー=仮想現実)がんピアサポートを共同開発しました。VRにより物理的な移動距離は解消されて、患者さんが自分の好きな場所で参加することができます。またアバター(ヒト型モデル人形)を用いることで、直接対面での気恥ずかしさはなく、間接的であっても活き活きとしたコミュニケーションをとることができます。

さらに、私たちがVRがんピアサポートを通じてがん患者さんに提供するのが「フィットネス」プログラムです。日常生活での運動習慣は、がんの発症や再発リスクを軽減できることや、がん治療に伴う副作用の軽減効果があることが分かっていますが、「運動が良いのは分かっているけれども始める切っ掛けがない」、あるいは「始めたけれど3日坊主だった」ということもまた真実であろうと思います。がん緩和ケア・支持療法の専門医の立場からはがん患者さんには少しでも良いので毎日運動していただきたいとの思いを持ち続けており、それをVRがんピアサポートで実現したいと考えています。

患者さんが、がんを抱えながらも、そして、がんを卒業後にも、溌剌とした生活を過ごして頂くために、患者さんご自身でできる健康マネジメントに是非取り組んで頂きたいと思います。

引用:「VRがんピアサポート」プレスリリース

まとめ

VR技術を使ったがん患者向けピアサポート・遠隔フィットネスシステム「VRがんピアサポート」の実証実験が行われます。

このシステムは、患者同士や医師との交流をVR空間上で行えるもので、患者同士の会合やちょっとした運動が、自宅など遠隔地からでも参加できます。

実験は、このシステムを使った時の効率性が検証されるもので、病み上がり後のケアに対する効果が期待できます。

実験の結果をもとに"がん"以外の病気やケガ・介護分野にも展開することを目指しているとのことで、さまざまな分野で活用されることになるかもしれません。

これからのVR技術の発展にも、注目が集まります。

ソース:「VRがんピアサポート」プレスリリース[PR TIMES]








VRInside編集部


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