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VRは人間の潜在能力を引き出す━サイキックVRラボのこれまでのVR技術を応用したビジネス展開と今後

2017/10/19 14:22

渋谷にあるITクリエイターたちが集うコミュニティスペースTECH LAB PAAK、こちら日夜VR技術を応用したサービスを構築しているPsychic VR Lab(以下サイキックVRラボ)がアツい。

サイキックVRラボチームメンバー

サイキックVRラボチームメンバー

サイキックVRラボはオズミックコーポレーション株式会社による国内でも有数のVR研究開発チーム。

2014年から活動を始め、Unityを用いたOculus対応のアプリ開発やスマホバーチャル・リアリティ(VR)アプリの開発、そのほか360°全天球での撮影が可能なTHETAを応用したプログラミングなど、VR元年(2016年)と言われる前から積極的にVRを応用した取り組みをしている。

今回はそんなVR開発のパイオニア的存在のサイキックVRラボさんに取材を敢行。代表の山口征浩氏のお話をお伺いしました。

VRを使って人間の持つ潜在能力を引き出したい

━━まず、VRに関する取り組み始めたきっかけは何ですか?
山口氏:一番は自分たちの能力以上の力を引き出せるんじゃないかと思ったからです。

VRを使えば人間の表現力や創造力、集中力や感覚など人間のもつ能力をもっと引き出すことができるんじゃないかと。VRは「潜在能力を引き出す」ことができる可能性をもっていると気づき、その可能性を模索することから始めました。

サイキック山口氏

━━これまで取り組んだプロジェクトを教えていただけますでしょうか?
山口氏:はい。基本的には専用の視聴デバイス(当ラボではOculus DK2を使用しています)を頭に装着していただき、体験者にVR経験をしていただくのですが、当ラボではVRの持つ可能性について多角的にアプローチしてきました。

まず、スポーツ分野において、リアルタイムに自分の体の動きを多角的に確認できるシステムをトレーニングスタジオとともに開発しました。

鏡に映して見ることができない角度からの確認が可能

鏡に映して見ることができない角度からの確認が可能

詳しく説明しますと、検証者の前方に赤外線センサーを設置し、自分のフォームや動きを前後左右あらゆる方向から確認できるようにデジタル化することで、普段なら見落としがちな動きを見せることに成功しました。

これにより、鏡に映して見ることすらできない真後ろから見た動きなども確認できるようになりました。

また、別のプロジェクトでは心理的なアプローチも行っています。

━━心理的アプローチとはどういったことでしょうか?
山口氏:子供向け歯科医院の経営を行う先生から相談があり、歯の治療時の子どもたちの恐怖心をVRを用いて和らげる取り組みを始めました。

子どもたちにVR視聴デバイスを装着してもらいながら歯の治療を行うわけです。

プロトタイプでのテストの結果、我々の想像以上の効果があったため、現在、歯科医院、大学の先生方とともに事業化に向けて製品開発を行っているところです。

VRを使った試験的な治療の風景

VRを使った試験的な治療の風景

 

━━なるほどですね。たしかに心理的に恐怖心を取り除こうという取り組みですね。
山口氏:そうですね。また、味覚へのアプローチも行いました。

カップの色などの視覚情報によりココアやワインなどの味の感じ方が変わるというバレンシア工科大学とオックスフォード大学の研究を見て、VRを用いても味覚に影響をあたえることができるかを試してみたんです。

コーヒーを飲むシーンをTHETAを使って360度動画で撮影し、視界にコーヒーを飲む映像を見せながら実際に水を飲んでもらうことで、水がどれくらいコーヒーの味に感じるかを実験してみました。

 

VRで味覚を騙す取り組み

VRで味覚を騙す取り組み

一部で「コーヒーに感じた」という人もいれば、多くは「水です」という回答でした。

VRで味覚を騙すのはなかなか難しいようです(笑)。ただ、同時にVRが人の感覚に与える影響の大きさを改めて感じた実験でした。

身ぶり手ぶり伝える山口氏

━━面白い取り組みですね、この実験を喫茶店でやったら雰囲気でコーヒーを飲んだ感じになりそうです(笑)
他にも取り組みはございますでしょうか?
山口氏:はい。あとはVRとDJの融合で音楽分野にアプローチした「Spatial Jockey」というものがあります。

━━音楽とVRの融合ですか。Spatial Jockey、具体的に教えていただけますでしょうか?
山口氏:これはSJと呼ばれるプレイヤーが、ダンスホールにいるVR視聴デバイスを頭につけた観衆の視聴するVR映像を音楽に合わせてリアルタイムに作り出していく新しいコンセプトです。世界初の試みだと思います。

SpatialJockey2

SJが音楽のイメージから創造した世界をVR映像として観衆に見せる試みでして、VRを使った「バーチャルクラブ」の可能性を探ったものです。

イベント事にDJに合わせた世界観をVRで作り出すことで、来場者の皆様には毎回好評いただいています。

━━なるほどですね。DJのようなクリエイターにとっては魅力的なツールですし、観衆はPVの世界に入り込んだようになりそうですね。
今後は音楽分野でのVRを活用した取り組みに力を入れていくのでしょうか?

山口氏:そうですね。

引き続きイベントで多くの人に体験してもらいたいと思っています。

いま一番力を入れていこうと思っているのは「STYLY」というファッション分野にVRを取り入れたサービスです。

━━詳しく教えていただけますでしょうか?
山口氏:2015年末に伊勢丹新宿にて「ようこそISETAN宇宙支店へ」という企画展を開催しました。VRを使って伊勢丹を宇宙に出店したんです。

NORIKONAKAZATOのデザイナー中里周子さんがセレクトした商品を3DスキャンでVRへ取り込み、宇宙空間を舞台にしたバーチャル世界でのショッピング体験を可能にしました。

とても好評だったため、もっと多くの人にVRでのショッピングを楽しんでもらおうと、現在プラットフォームの開発を行っています。

━━VRでのショッピングではどういったメリットが得られるのでしょうか?
山口氏:まず商品を購入するユーザ様は、通常のオンラインショップで購入するよりも「実際に手にとってみた」感覚で質感やサイズなども確かめて購入ができます。

また、販売者様はブランドのコンセプトをVR内の空間を使って表現することが大きな特徴です。現実では実現できないような店舗も低コストで実現することができます。

いまプロトタイプとして開発しているバーチャルのショールームは海上にショップがあり、イルカの群れが飛び交うようなクリエイティビティー全開の店舗となっております(笑)

 STYLY内のファッションブランドchlomaのショップ

STYLY内のファッションブランドchlomaのショップ

━━それは面白いですね!バーチャル空間で実際に着用できる服を購入できる、バーチャル世界と現実世界の融合ですね。
山口氏:そうですね、まるで魔法の世界のようですが、そういった世界を作るためサイキックVRラボは存在していると考えています。

サイキックVRラボという名前は超能力(サイキック)・魔法が使える世界を実現したいという想いから名付けたものなんです。

それから、ラボのロゴマークを見ていただきたいのですが、白と黒、丸と四角が陰陽のように交わっているデザインです。

サイキックVRのロゴ

サイキックVRのロゴ

これは対極にあるように思われる「リアルとバーチャル」「生命と機械」「生と死」「自分と他人」などの概念がテクノロジーの進歩によりなくなっていく未来をイメージしています。

VRを用いた空間は誰もが魔法にかかった状態で楽しめる、今までになかった表現の拡張ができる世界だと思います。今後もココを追求していきたいと思います。

━━ありがとうございました。

サイキックVRラボのこれから

VR技術を応用したさまざまな展開を模索してきたサイキックVRラボ。
今後はVRの持つ拡張性を生かし「ファッション×ショッピング×VR」の可能性を追求していくようだ。

「人間の潜在能力を引き出したい」

サイキックVRの社内の様子

サイキックVRの社内の様子

このテーマをもとに、これまで以上にクリエイティブで楽しい未来をサイキックVRラボはVRとともに切り開いていく。

VR空間でショッピングが楽しめる「STYLY」のプロトタイプも体験させてもらったので後日記事にまとめたいと思います。

サイキックVRラボ公式サイト
http://psychic-vr-lab.com/

トモ


何十年も前からあるVRがようやく一般で広まりつつあるなか、課題は「ハード」と「体験」の2軸と思っています。これからリリースされる新しいVR機器を余すことなく紹介すること、そして体験したVRの良さを少しでも伝えることでVR市場の成長に貢献します。

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