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テーマパーク向けオールインワンヘッドセット「RideVR」発表

RideVR

テーマパーク向けのVRヘッドセット

HTC ViveやOculus RiftといったVRヘッドセットは汎用性が高く、一般家庭でVRゲームをするために使うだけでなく企業でエンジニアリングやシミュレーションに利用されることもある。VRアーケードでも、アーケード専用のデバイスを使わない場合はこうした家庭用のヘッドセットが利用される。

しかし、汎用的なVRヘッドセットだけでなく専門分野に特化したヘッドセットも開発されている。VR CoasterとSensicsが発表した「RideVR」は、テーマパークのVRアトラクションで利用することを想定したオールインワンのヘッドセットだ。

VRを導入するテーマパーク

VRヘッドセットとジェットコースター

VRヘッドセットとジェットコースター

テーマパークとVR

テーマパークのアトラクションにVRを導入する試みは、世界中の施設で行われている。その最大のメリットは、低コストで新しいアトラクションを追加できることだ。

遊園地に新しいアトラクションを作るには、コストがかかる。小規模なアトラクションならばコストを抑えることも可能だが、ジェットコースターのようなライド型アトラクションを増やすとなると建設費・建設期間ともに大きな負担となってしまう。既に多くの来場者がいる施設であれば大きな投資ができるが、来場者を増やすテコ入れのために新しいアトラクションがほしいと考えている施設にとっては厳しい出費だ。

その点、VRを使えばコストを抑えることが可能だ。VRデバイスが高価だと言っても、数億円という建設費に比べれば安いものである。

VRゲーム

ロケーションベースのVRは、それ単体で十分アトラクションとなる。パークの雰囲気と合うなら、アーケード施設で提供されるようなVRゲームをアトラクションの一つとして取り入れることも可能だ。

アメリカのナッツベリー・ファームには、VR空間でガンマンになれる「VR Showdown In Ghost Town」がある。入場料に加えて6ドルの利用料が必要だが、それでもアトラクションとして成り立っているのだ。

このアトラクションにかかったコストは17億円以下と言われている。テーマパークの世界では100億円単位の費用がかかる施設もあるため、かなりの低コストと言えるだろう。

VRコースター

さらに、既存の設備を再利用することもできる。古いジェットコースターであっても、コースに合わせたVR映像を作って組み合わせることで新しいアトラクションに生まれ変わる。

一度作ってしまえば映像だけを変えることでコストをかけずにリニューアルできるため、頻繁に内容を変更してリピーターの増加を狙うことも可能だ。

世界中のテーマパークでこうしたサービスを提供しているのが、VR CoasterやMack Rideといった企業である。既存のコースターを魅力的なアトラクションにすることができれば、大型アトラクションを追加する余裕がない施設でも集客力を高められる。

テーマパーク向けVRヘッドセット

VRstudiosのVRCade

アーケード施設用VRシステム

VR技術を導入するテーマパークのVRアトラクションではこれまで、家庭用やアーケード施設用のVRヘッドセットが使われてきた。VRコースターではGear VRのようにケーブルのないモバイルVRヘッドセットが使われており、ナッツベリー・ファームはVRstudiosのアーケード用システムVRcadeを導入した。

家庭用とテーマパーク用

Gear VRは優れたデバイスであり、テーマパークのアトラクションで使うこともできる。だが、テーマパークでの使用を想定してデザインされているわけではない。そのため、屋外で長時間連続して使われた場合の耐久性やメンテナンスの複雑さなどの不安要素も抱えている。

VR CoasterとSensicsが発表したRideVRは、そうした家庭用VRヘッドセットと一線を画する存在だ。テーマパークでの使用を念頭に設計された2層構造のヘッドセットには、複数の利点がある。

2層構造のメリット

一般的なVRヘッドセットは本体を分解することができないが、RideVRは直接顔に触れるフェイスパッド部分とディスプレイ部分を切り離せる方式となっている。

その結果、アトラクションの利用者に予めフェイスパッド部分を渡しておくことが可能だ。行列の途中でストラップを調節しておく時間が生まれるためスムーズに利用者を案内でき、回転率を上げることに繋がる。

さらに、メンテナンスも容易になる。VRヘッドセットのフェイスパッドは顔に密着するため、汗を吸ってしまう。真夏のジェットコースターで他人が使った直後のVRヘッドセットを使うのは気分の良いものではない。しかし、RideVRであればフェイスパッド部分を清掃済みのものと交換できるので清潔だ。

加熱防止

高性能なデバイスほど、利用し続けると本体の温度は高くなってしまう。VR映像の処理は負荷が大きいために熱が発生することに加えて、本体が小さいので排熱しにくいことも問題だ。

長時間家庭用のVRデバイスを利用し続ければ本体が危険なほど熱くなるだけでなく、過剰な熱によって処理に問題が起きることも考えられる。テーマパークでは毎日長時間VRデバイスが使われることになるため、寿命も短くなってしまうだろう。

RideVRはテーマパークでの連続使用を想定しているため、加熱を防ぐという。

高解像度

ディスプレイの解像度が高ければスクリーンドア効果が低減され、没入感が高まる。

RideVRは、2880×1600ピクセルの高い解像度によって大幅にスクリーンドア効果を改善しているという。この数字は、モバイルVRでありながらPCベースのHTC ViveやOculus Rift(2160×1200)どころか未発売のPimax 5K(2560×1440)すら上回るものだ。

リフレッシュレートやその他のスペックについては明らかになっていないが、かなりの高性能デバイスになっているとみられる。

 

VR Coasterは、世界40のテーマパークにVRコースターを提供している。2018年の早い時期にも、一部の施設ではRideVRヘッドセットが利用可能になるようだ。

 

参照元サイト:Road To VR

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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