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コンシューマ向けVRヘッドセットで外科手術訓練が可能に 「Scalpel VR」の開発が進行中

Scalpel VRのデモ動画より
外科手術のシミュレーション訓練を受けることができるVRソフトウェア「Scalpel VR」のデモ動画が公開中だ。

このアプリケーションは、VRソフトウェアさえ用意できれば、誰でも手術の訓練が受けられる環境を整えようとして制作されたもの。現在、インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究員、Przemyslaw Korzeniowskの手によって開発されているようだ。

ハンドコントローラーをメスに見立てて使いながら、人体を切開する手術などを体験できる。動画を見る限り、皮膚や体内の器官を切開したり、触れた時の様子がリアルに表現された内容となっているようだ。

Scalpel VRとは?

コンシューマー向けVRヘッドセットに対応


開発者はインペリアル・カレッジ・ロンドンのSurgery and Cancer部門に在籍中の研究員、Przemyslaw Korzeniowsk氏だ。Korzeniowsk氏の専門分野は、VRメディカルシミュレーション制作とのこと。

Scalpel VRの特徴は、コンシューマー向けVRプラットフォームを用意するだけで、誰でも手術シミュレーションを体験できるように設計されている点だ。複雑で精密な専用器具などを揃えなくても、訓練を受けられるのだ。

対応しているプラットフォームは、Oculus Rift、HTC Vive、そして、Windows MR。これに加えて、ぞれぞれのプラットフォームに対応したモーションコントローラーが必要となる。

多数のデータに基づいた正確な人体表現

正確にデザインされた人体の3Dモデルと、リアルな手術表現も、Scalpel VRの大きな特徴のひとつだ。

CTデータとRGBデータはThe Visible Human Projectから、セグメンテーションデータはVoxelManからそれぞれデータセットを入手している。これにより、訓練のシチュエーションに合わせて多様な表現を取ることが可能となった。

たとえば、胃の中に水が溜まっている場合、臓器の色は、その部分だけ青色で分かりやすく表示されることになる。

また、体験者の動作に合わせて、リアルタイムでのCGレンダリングが実行されている。これにより、CGに触れると、すぐにフィードバックが反映されるため、高い没入感の体験を得られるようになるのだ。

Scalpel VRは人体だけでなく、マウスのような動物の手術シミュレーションにも対応している。

Korzeniowsk氏は現在、マウスの手術シミュレーションのデモ動画も公開中だ。下記に掲載するが、やや刺激の強い、動画内容であるため、自己責任のもと閲覧をお願いしたい。

医療用VRを紹介!

Scalpel VRは医療現場での活用が期待される、唯一のVRシミュレーターというわけではない。

以下では、これまでにリリースされている医療用VRを紹介していこう。

米教育省から高評価を受けた「Osso VR」


「Osso VR」は、アメリカ合衆国教育省が主催した「EdSim Challenge」で大賞を受賞した、手術用プラットフォームだ。

ヘッドセットを装着した医師が、Oculus Riftのハンドコントローラーを、固定具やメス、ドリルなどの器具として使いながら手術訓練をおこなう。

あらゆる外科手術のシチュエーションの再現に対応している。

また、人体の3Dモデルも、実際の外科医監修のもとで制作されたので、CGの正確性についても申し分ないようだ。

専門分野を問わずあらゆる医師をサポートする「True 3D」


「True 3D」は、Intelなどから850万ドルにも及ぶ多額の投資を受けた、EchoPixelが開発したソフトウェアソリューションだ。

CTスキャンで得られた患者の臓器についての2次元データを、AR空間上で3Dモデルとしてビジュアライジングして表示できる。

医師は3Dモデルにタッチして、自由に回転させながら観察をおこなうことが可能。

また、3Dモデルは実物大で表示されるので、臓器の実際のサイズ感、あるいは、臓器同士の位置関係についての空間情報もいっぺんに把握することができるという。

救命トレーニングの訓練!カナダの事例

VRを体験する救急救命士
医療用VRが訓練対象とするのは、手術室にいる医師だけではない。VRは、事故現場で活躍する救急救命士の訓練にも役立てることができるのだ。

2017年4月、カナダのオンタリオ州で実施された救急救命士による競技会で、VRを用いて事故シーンを再現し、現場での救急スキルを競うというコンペが開催された。

この取り組みに対して、現役の救急隊員は

「VRを使ったトレーニングが実践でないと伸ばしにくい技術を伝える助けになる」

というコメントを残していたようだ。

事故現場に潜んでいる危険にいち早く気付けるようになったり、事故の当事者が抱える不安を解消する手段を、効率よく学習できる、と期待が集まっている。

参考URL:
UPLOAD VR, Twitter

池谷 翼


大学では社会学を専攻してました。先端情報技術と社会の関わり合いに興味があり、個人的に調べています。

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