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ドローンをコントロールするためのジャケット型デバイス

2017/06/15 16:32

ドローンの制御は難しい。VRヘッドセットとセンサーを埋め込んだジャケット型デバイスによって操縦を簡単にするシステムの開発が行われている。このシステムを使うことで操縦技術の習得が早くなり、経験が少なくても難しい操作が可能になるという。

身体を動かしてドローンをコントロールする

飛行ドローンは技術の発展に伴って進化しているデバイスであり、空を飛べることを活かして農薬の散布や他の方法では難しい視点からの動画撮影に活用されている。また、遠隔操作できるドローンは人間が入れない危険な場所での作業にも最適だ。

最近では価格が安いものも登場しており、実用目的ではない玩具としても注目されている。だが、人間は普段地上を歩いている。空中を飛ぶドローンは上下にも移動できるので、ドローンを自在に操作するためには少々練習が必要だ。

スイス連邦工科大学(EPFL)では、VRヘッドセットと特殊なジャケット型デバイスを活用してドローンを操縦する方法が研究されている。このデバイスを使う方法ならば、これまでよりも簡単にドローンの操縦を行うことができるという。

VRヘッドセットとジャケット型デバイス

Oculus Riftと周辺機器

New Scientistに掲載された画像を見ると、このドローン制御システムで使用されているVRヘッドセットはOculus Riftだ。システムはOculus Riftと、上半身に取り付ける複数のセンサーからなる。

VRヘッドセット

このシステムにおけるVRヘッドセットの役割はシンプルなものだ。ヘッドセットがドローンに搭載したカメラの映像をパイロットに見せることで、パイロットはドローン周辺の状況を知ることができる。

ドローンを目視する必要はないので、視界に入らないほど離れた場所からドローンを操作したり、室内から屋外の映像を確認したりすることが可能だ。

また、ヘッドホンからは耳元を吹き抜ける風の音が聞こえるという。映像と違ってコントロールに必須ではないが、使用目的によってはドローンのマイクで音声を拾うこともできるだろう。

EPFLのDario Floreanoは、このシステムの目的を次のように語る。

「目標は、地面から離れることなく人間を飛ばすことです」

VRヘッドセットからの映像と音声は、パイロット自身がドローンに乗って飛んでいるような感覚を作り出すために活用されている。

ジャケット型デバイス

システムの肝となるのがジャケット型のデバイスだ。このデバイスには、パイロットの動きをドローンを操縦するための信号に変換するために複数のセンサーが搭載されている。

着用者は飛行機ごっごをする子供のように腕を上げていなければならないため、肘を支えるための金属の支柱も用意されている。この状態で左右に身体を傾けると、その傾きがそのままドローンへの指示になる。

コントローラーのアナログスティックやハンドルを使うよりも直感的に操作できるため、簡単にドローンの操縦を始めることが可能だ。また、Floreanoは手を使った細かな操作に気を取られないので同時に他のことができるのも利点だと考えている。

災害救助の現場や軍での作戦行動中に、ドローンを操作して情報収集しながら地上班とやり取りするのも容易になるはずだ。

操作システムの優位性

ドローンのコントローラー

ドローンを操縦する方法として一般的に使われているのが、アナログスティックを搭載したコントローラーだ。アナログスティックならば微妙な力加減をドローンに伝えることができるので、ベテランパイロットならば非常に繊細な制御も可能となる。

学習スピード

しかし、スティックを倒す量とドローンの反応をきちんと把握していなければ細かな操作は不可能だ。前後左右への移動は人間の感覚で理解しやすいが、上下への移動は特に分かりにくい。

従来のコントローラーを使う方法でも正確な操作は可能だが、そのためには練習を積む必要がある。

開発チームが行ったテストでは、ジャケット型デバイスを使ってドローンを制御する方が操縦を学習するのにかかる時間が短いという結果が出ている。長い練習をしなくても、すぐに使えるというのはメリットだ。

難しい状況への対応

広い空間でただドローンを飛ばすだけであれば、練習量もさほど必要ない。少し触ってみれば感覚が掴めるだろう。

だが、玩具ではなく道具としてドローンを活用する場合には難しい状況で飛ばさなければならないことも考えられる。テストでは、建物の狭い隙間を抜けるような場面でコントローラーよりもジャケットの方が優れていたという。

フィードバックの追加

現在のジャケットはドローンに命令するためのセンサーを搭載しているだけだが、次期バージョンではドローンからパイロットへのフィードバックも追加されるという。締めたり緩めたりすることのできるケーブルを使って、気流の感覚をパイロットに伝える予定だ。

さらに、AIのコパイロットがケーブルを操作して理想的な飛行経路を取るように誘導も行えるようになる。

このデバイスが完成すれば、経験の浅いドローンパイロットでも難しい現場でドローンを適切に扱えるようになるはずだ。

 

参照元サイト名:New Scientist
URL:https://www.newscientist.com/article/2134264-smart-jacket-and-vr-headset-let-you-pilot-a-drone-with-your-body/

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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