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SnapがロケーションベースのSNSサービスを買収し続けるのは、「Spectacles 2」のAR機能実装への布石か?

2017/07/03 11:11

海外メディアIBTimesは、SnapのSNSサービス買収動向と「Spectalces 2」の関係についての考察記事を掲載した。

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ロケーションベースのSNS機能を強化するSnapchat

2017年3月2日、株式公開で大きな利益を得たARカメラアプリ「Snapchat」を展開するSnapは、最近になってロケーションベースのSNS機能に関して活発な動きを見せている。

「ロケーションベースのSNS機能」とは、ユーザーの位置情報と連動したソーシャル機能のことである。こうした機能として、2017年6月21日、同社はSnapchatの新機能「Snap Map」を発表した。同機能は、スマホのマップ上から友だち登録したユーザーの共有画像を閲覧できるというもの。以下に引用する解説動画を見るとすぐに理解できる。

実のところ、同機能は同社が全く新規に開発したわけではない、と噂されている。国内メディアTechCrunch日本版によると、同機能は同社が今年5月に買収したフランス・パリを拠点にしているスタートアップZenlyの地図アプリの機能と酷似していることを報じている。Zenly買収からSnap Mapリリースまで1ヶ月足らずという事実から推測されるのは、Snap MapはZenlyマップ機能の多くをそのまま流用したのではないか、ということである。

左の画像がZenlyのマップ機能。右がSnap Mapの画像。日本版TechCrunchの当該記事より引用

左の画像がZenlyのマップ機能。右がSnap Mapの画像。日本版TechCrunchの当該記事より引用

さらに海外メディアTechCrunchによると、Snap社はロケーションベースのメッセージ共有アプリを運営しているDrop社からメッセージ共有機能に関する特許を買収した。このメッセージ共有機能とは、特定の場所(例えばランドマーク的なモノがある場所)に行くと、ユーザーが残しておいたメッセージを閲覧できるというサービスだ(下の画像参照)。

メッセージ共有アプリ「Drop Messages」のアプリ画面。TEchCrunchの当該記事より引用

メッセージ共有アプリ「Drop Messages」のアプリ画面。TEchCrunchの当該記事より引用

以上のように、Snap社は株式公開で得た利益を元手として、ロケーションベースのSNS機能に関する買収を繰り返している。この動向が示唆するのは、第一に同社はSnapChatのソーシャル機能強化を重要視している、ということである。だが、ほかにも示唆していることがある。現在買収しているロケーションベースのSNS機能は、将来リリースされるであろう「Spaectacles 2」のAR機能として実装されるのではないか、ということである。

ロケーションベースのSNS機能とSpectaclesの相性

同社が2017年2月にリリースしたスマートグラス「Spectacles」は、サングラスにSnapchatと連動したカメラを実装したものである(トップ画像参照)。同デバイスの魅力は、スマホを取り出さなくても写真が撮影できることにある。逆に言えば、それだけである。「スマホを(ポケットやバックから)取り出す」という手間が苦痛でなければ、同デバイスでなくては体験できないことは特にない。

同デバイスはスマートグラスのデザインとしては、若者が好みそうなポップでクールであるという大きな魅力をもっているものも、体験の新規性という観点から見ると訴求力に乏しいという見方もできる。この「新規な体験の乏しさ」が、本メディアでも以前に報じたように、同デバイスが大ヒットとはほど遠いセールスに留まっている理由かも知れない。

だがしかし、もしも同デバイスのレンズ部分にSnap Mapやロケーションベースのメッセージが表示されるようになると、ユーザーはまさに「新規なAR体験」が可能となる。デバイスの形状がサングラスであるということの利点は、周囲への視野を確保しながら移動できることである。つまり、スマホでは「歩きスマホ」をしなくては(それゆえ禁止されている)実行できないタスクが実現するのだ。

ちなみに、こうしたロケーションベースのサービスとAR機能を組み合わせるアイデアは、最近ARKitを発表したAppleがすでに特許を取得している。本メディアが以前に報じたその特許は、iPhoneのカメラから撮影した街並みに地図情報をAR表示するものだ(下の画像参照)。この特許に関しても、実はスマホよりもARグラスのほうが相性がよいのは言うまでもないだろう。

図1:iPhoneの背面カメラの画像に地図情報をAR表示することを説明した図

図1:iPhoneの背面カメラの画像に地図情報をAR表示することを説明した図

以上に述べた「Spectacles 2」の開発も同デバイスにロケーションベースのAR機能が実装されることも、憶測の域を超えない。そうは言っても、もしSnap社がAR機能を実装したSpectacles 2をリリースすれば、同社が一挙にAR市場におけるプラットフォーマーになる可能性も否定できない。それゆえ、Snapの動向には注視する必要があろう。

SnapのSNSサービス買収動向と「Spectalces 2」の関係についての考察記事を掲載したIBTimesの記事
http://www.ibtimes.com/ar-enabled-snapchat-spectacles-2-works-company-acquires-augmented-reality-location-ip-2560146

「Snap Map」がZenlyの地図アプリの機能と酷似していることを報じているTechCrunch日本版の記事
http://jp.techcrunch.com/2017/06/22/20170621snapchat-buys-zenly/

Snap社がDrop社からメッセージ共有機能に関する特許を買収したTechCrunchの記事
https://techcrunch.com/2017/06/30/snapchat-drop/

吉本幸記


千葉県在住のフリーライター。ITエンジニアとしてスマホアプリの開発等に携わった後、 フリーライターとして独立。VRをはじめとした最新テクノロジーがもつ社会変革の可能性に注目している。 http://resume21century.blog.fc2.com

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