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海外も注目のファッションVRショッピングサービス「STYLY」の変遷と今 - VR Inside

海外も注目のファッションVRショッピングサービス「STYLY」の変遷と今

        2017/09/12

立ち上がり間もない新市場の変化は早いと言われているが、VRもまさにその通りで、たった1年で劇的な変化を起している。

ハード・ソフト両面をとっても1年前とは比べ物にならないほどのクオリティになっているし、参入企業も倍以上に増加。ロケーションベースのVRビジネスも増えており、その結果、徐々にではあるがエンドユーザへの認知度も広がり、右肩上がりの成長を感じる。

劇的な変化はなにも市場全体でしか見えないわけではなく、VR市場へ参入している1社の動きを見ても、よくわかる。

本記事では、VR InsideのOPENから今日まで、筆者が特に注目している次世代ファッションVRショッピングサービス「STYLY」を開発する株式会社Psychic VR Labを例に挙げ、ここ1年の動きを見てみよう。

STYLY(スタイリー)

STYLY(スタイリー)

 

Psychic VR Labの変遷

Psychic VR Lab社は、VR Insideが最初に取材させていただいた2016年4月時点では、前身であるオズミックコーポレーション社のVR技術に関する研究部門という位置付けで、VRの持つ可能性に多角的にアプローチしていた。

スポーツ分野において赤外線センサーを用いて、バッティングフォームをトラッキングし、フォームの動きをデジタル化することで、フォーム改善につなげる「Psychic Bodycam」を開発したり、心理的なアプローチとしては、VRHMDを装着しながら歯科治療を行うことで、恐怖心を取り除くプロダクトを歯科医院・大学教授などと合同で、事業化に向け、製品開発を行っていた。

そんな実験的なアプローチを繰り返している中、生まれたのがファッションVRショッピングサービス「STYLY」だ。

2015年末に伊勢丹新宿にて開催された、NORIKO NAKAZATOのデザイナー「中里 周子」さんがセレクトした商品を3DスキャンでVRへ取り込み、宇宙空間を舞台にしたバーチャル世界でのショッピング体験ができる企画展「ようこそISETAN宇宙支店へ」が非常に好評で、「ファッション×ショッピング×VR」に可能性を感じた同社 代表の山口氏は、事業を「STYLY」にフォーカスする方向に舵を切った。

その後、Psychic VR Labは法人化。ITの一時代を創って来た元光通信キャピタル株式会社 代表取締役社長の「中村 匡」氏や元電通国際情報サービス執行役員でSecond Lifeを日本で大流行させた仕掛け人の一人「渡邊 信彦」氏、電子書籍大手イーブックイニシアティブジャパン元常務取締役「高嶋 晃」氏、そして当時多額の債務を抱えていた日本交通の経営再建に尽力された京都大学客員准教授・エンジェル投資家の「瀧本 哲史」氏を含む計6名にエンジェル・関係者ラウンドで出資を受け、さらにColopl VR Fund他を引受先とする第三者割当増資の実施を行い、来たるVR時代に向け、本格的に事業を推進している、というのが同社のここ1年の変遷だ。

余談だが、同社では頻繁に社内ハッカソンを行っており、その中でメディアアーティストであるゴッドスコーピオン氏が制作したトルソーにMRで洋服を着させるツイートがMicrosoft Hololensの公式ツイッターにリツイートされ、話題となっていた。

 

ファッションVRショッピングサービス「STYLY」とは?

ここからはPsychic VR Lab社の方々にここ1年、大きく変化したことについて、お伺いしたことを紹介する予定だが、その前にファッションVRショッピングサービス「STYLY」を知らない方のために簡単にご紹介。

同サービスはブランドコンセプトをバーチャル空間で表現・作成し、配信を行うことができるプラットフォーム。

独自の高精細3Dスキャン技術を用いて撮影されたファッションアイテムとバーチャルリアリティ技術によりブランドの持つ魅力を最大限に伝えることが可能できる、そんなサービスだ。

世界中のクリエーターが技術障壁で実現しにくかったものを、VRを使って簡単に自己表現可能にするソリューションこそ、「STYLY」である。

 

ファッションVRの認知度向上など、全てが変わった1年

--- ここ1年、どのような変化がありましたか?

山口氏:大きく3点あります。

1点目は事業を伸ばしていく上で、体制を強化しました。

特に1月からCTOとしてジョインしてくれたAFJK( @afjk )は、「Japan VR Hackathon」の優勝エンジニアだったのですが、それまでVRを趣味でやっていたようだったので、"VRに人生の時間を使いませんか?"と口説いて、参画してもらいました。

趣味と言っても、Oculus Riftはもちろん、FOVE・HTC VIVE・VIVEトラッカー・モーションキャプチャーに至るまで、個人で保有しているので、本気度が違う。趣味の範囲を大きく逸脱したVR愛溢れる方です。

 

--- AFJKさんはいつ頃から趣味でVRに取り組まれていたのでしょうか?

AFJK氏:元々、2年前にハコスコが始まった頃から、VRに注目し始めていて、自分でハコスコ用に360°映像を作り始めました。

それまではVRはもちろん、Unityなどを使った開発も全くしたことがなかったので、TwitterでVR関連の情報を発信している方をフォローしながら、独学で勉強してきました。完全にプライベートの時間はVR開発に注ぎ込んでいましたね。

そんな中、山口と出会い、Psychic VR Labが作っているサービスを聞いた時、"自分自身が作りたいけど、作れなかったもの"を既に形にしている、技術が進んでいると感じ、自分もそんな場所で働きたいと思ったのがキッカケですね。

新オフィス3Fに開設された中里 周子さんにプロデュースの応接間"POWER∞SPOT"

新オフィス3Fに開設されたクリエイティブスタジオNEWPARADISEプロデュースの応接間"POWER∞SPOT"

 

海外や大手百貨店も注目のファッションVR

八幡氏:2点目は、ファッションVRの認知度が上がってきたという点ですね。

2015年末に伊勢丹で開催された「ISETAN宇宙支店」を皮切りに、デジタルハリウッド大学大学院と三越伊勢丹の産学連携プロジェクト「PITTI IMMAGINE UOMO at ISETAN MEN’S」でFlashBack Memoriesという VR空間内に高精細に立体再現された衣服を「触る」と、衣服の生まれた場所や生産者に関する記憶を映像で体験することができるバーチャルリアリティーブランディング作品の店頭体験などをやっていく中で、ファッションVRの認知が広がり、ビジネス的に意味がある、という点を周りが感じ始めている状況に変化してきていると思います。

実際に企画が単発で終わるのではなく、最近ではパルコと伊勢丹、TOKYO解放区が共同開催するポップアップショップ「2037年トーキョーcollection - TOKYO解放区 × PARCO -」にファッションVRプラットフォームSTYLYを活用した、実店舗とVRの連動したサービスを提供し、新たなショッピングが体験できる企画を実施したりと、継続的にお取組させていただいています。

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VRの企画といえば、単発で終えてしまうものが多いように感じますが、こうしてPARCO・伊勢丹という日本を代表する企業と継続して取り組みを実施しているのは、集客や顧客のロイアリティ向上につながっており、一定以上の成果が出ているためだと感じています。

今後もファッションxVRをテーマに、大手百貨店様はもちろん、様々な企業と連携しながら、新たな取り組みを実施していく予定です。

※補足:同社は株式会社パルコと共同で「デザイナーズモール・オブ・トーキョー in the FUTURE」を米テキサス州オースティンで開催された大規模イベント「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」に出展。VR市場として先行している海外でもファッションVRという分野で、ソリューションを提供していく企業は少なく、引き合いが強かったようだ。

 

クリエーターのポテンシャルを引き出す橋渡し

styly3

八幡氏:3点目は、今我々が力を入れているVR空間の制作ツール「STYLY Suite」の開発です。

STYLY Suite」はVR空間を制作するツール一式を提供しており、

  • ウェブブラウザだけでVRの空間を制作していけるツール
  • 洋服をバーチャルに取り込むためのスキャナー
  • 配信するためのプラットフォーム

これらが含まれたソリューションの総称です。

既に準備されている3Dデータがあるので、クリエーターでなくても組み合わせるだけで簡単にVR空間を作り出すことができますし、CGクリエーターの方が別途3Dデータをインポートしていただくことで、よりハイクオリティな空間作りも可能と、幅広い制作に対応しています。

現在は、β版のエントリーを開始しています。

styly1

styly2

 

山口氏:「STYLY Suite」は、CGやファッション、空間デザインなど本当にクリエイティブな事に向き合っている人達がVRがあることで、さらなる自分達の可能性・ポテンシャルを引き出す橋渡しになるツールだと思っています。

クリエーターやデザイナーが、今までは物理的な制約で表現できなかった部分を、「STYLY Suite」を通じて壁を取っ払い、クリエイティビティの高い方が輝けるよう支援していきたいと思っています。

VRを使って表現する文化の創造、そしてVRを使ってファッションを伝える、楽しむ文化の創造を目指しています。

 

VR事業に携わる1社の動向を観察しても、ここまで大きな動きが見られる。

そもそも1年前とは全く違うプロダクト開発を行っている訳だ。ただ、これこそが新市場特有の動きであり、まだまだ答えが出ていない中、一つの可能性を見つけ出し、その可能性を信じて事業をフォーカスし、来たるVR時代でNo.1を取るために推し進めている。

答えが出ていない市場だからこそ、今後もまだまだ大きな変遷を遂げていくことだろう。

ただ、今後変わりゆくVR市場の中で、これは筆者の個人的な見解だが「ファッションxVR」は間違いなく伸びる分野になると感じている。

同社に関する様々な記事も公開しているので、もしご興味を持たれたらぜひ見てほしい。

Psychic VR Lab社はまだまだこれから、ぜひその動向に注目して欲しいと思う。

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Ryohei Watanabe

Writer: 2012年よりスマホゲーム専門メディア「アプリ★ゲット」で記事執筆・編集・メディア運用・アライアンスなどを担当。