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韓国発のハプティックスーツ「bHaptics」は、87ヶ所のハプティック・ポイントでVRゲームをよりリアルにする

2017/07/03 16:36

海外メディアEngadgetは、ハプティックスーツ「bHaptics」を紹介した。

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87ヶ所のハプティック・ポイントをもつ「bHaptics」

同メディアによると、先月中国・上海で開催されたVIVEを活用したスタートアップのプレゼン・イベント「HTC Vive X demo day in Shanghai」において、韓国のスタートアップTactSuitは、ハプティックスーツ「bHaptics」のデモを公開した。

同スーツはVIVEを使ったVR体験に連動して、スーツに実装されたモーターが駆動することでバーチャルな触覚を再現するものである。こうした物理的なモーターを使ってバーチャルな触覚を再現するというアイデア自体は、さして珍しいものではない。同スーツを特徴づけているのは、触覚を再現する原理ではなく触覚を再現するモーターの数である。同スーツには、触覚をバーチャルに再現するモーターが何と87ヶ所実装されているのだ(下の画像参照)。

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同スーツの触覚再現モーターの分布は、次の通りである。まず頭部に着用するマスクに7ヵ所、胴体部分を覆うベストの全面と背面にそれぞれ20ヶ所、左右の手首に巻くスリーブにそれぞれ20ヶ所の合計87ヶ所である。この左右の手首に着用するスリーブは、例えば銃を使うVRガン・シューティングゲームにおいて、発砲による反動(リコイルと呼ばれる)をリアルに再現するのに活用される。

同スーツを体験したEngadgetのライターによると、スーツの重量はあまり気になるほどではなく、ハプティック・ポイントが多いことでリアルな触覚的体験が可能になっている、とのこと。とくにVRガン・シューティングゲームのリコイルは、非常にリアルなようだ。以下に開発したTactSuit社が公開しているデモ動画を引用する。

同スーツは、実のところ、韓国の有名なアミューズメントパーク「ロッテワールド」ですでに稼働している。同スーツを着用してプレイする「Zombie Attack」は、今年3月から稼働が開始し、平均プレイ時間が約3分に対して一日約500人がプレイしていた、という。

なお、豊富な稼働実績のある同スーツは一般消費者ではなく、主としてゲームセンターでの稼働を検討している企業に対して販売する予定だ。一着あたりの価格は$549(約¥62,000)より安くなるという。業務用VRスーツとしては破格である。

「バーチャルな触覚」を実現する様々な試み

「バーチャルな触覚」の再現を目指すハプティック・スーツに関しては、本メディアでも多数紹介してきた。

Hardlight VR

以上に紹介した「bHaptics」に非常によく似たハプティック・スーツには、「Hardlight VR」がある。

バーチャルな触覚を再現するモーターが(bHapticsと比べると少なめな)16ヶ所実装した同スーツは、2017年2月22日にKickstarterで出資を募ったところ、初日で目標額の8万ドルの半分以上に相当する6万ドルを調達し、最終的に約15万ドルの資金調達に成功した。

同スーツに関するクラウドファンディングが大成功したのは、VRゲーマーがバーチャルな触覚を渇望していることが背景にあるのかも知れない。

電気刺激で再現する

バーチャルな触覚を物理的なモーターの駆動ではなく、電気刺激で再現する試みもある。

人間とコンピュータのインタラクションを研究するPedro Lopesが開発したシステムでは、ユーザの動作に合わせて装置が筋肉を電気的に刺激する。ちょうど低周波治療器のようなパッドが腕に取り付けられており、対応する部位の筋肉を刺激することで抵抗感を生み出すというわけだ。

このシステムの優れた点は、外骨格スーツのように巨大デバイスを必要とせずコンパクトなところだ。身体の各部にパッドを装着する必要はあるが、現在の8箇所よりも多くの筋肉に対応させることも可能だろう。

AxonVR

バーチャルな触覚の再現というミッションにおいては、AxonVRがもっとも野心的な(それゆえまだデバイスがないのだが)アイデアを発表している。

同社は、全身の触覚を再現するシステム「HaptX」に関する特許を今年6月に取得した(下の画像参照)。

AxonVRの特許から

AxonVRは活き活きとした触覚フィードバックのための特許を取得した

AxonVRの図

HaptXプラットフォームは全身でVRを感じられる

同システムの中心となるのが軽量外骨格のHaptX Skeletonだ。ユーザの全身を覆うフレームが、ユーザの身体を押すことで物理的な刺激を加え、逆にユーザの動きを認識してVRへの入力として使用する。HaptX Skeleton以上に細かな動きを担当するのがHaptX Skinと呼ばれる素材だ。この2つが組み合わさってユーザをVRに没入させる。

同社は以上のようなフルボティ・ハプティック・スーツに関する取り組みが評価されて、現在までに少なくとも900万ドルの出資を受けている。

ハイエンド型VRヘッドセットのワイヤレス通信機能が技術的に実用段階に達した現在、VRテクノロジー開発の次なる激戦区はハンド・コントローラーを含めたハプティック・テクノロジーとみて間違いないだろう。

ハプティックスーツ「bHaptics」を紹介したEngadgetの記事
https://www.engadget.com/2017/07/02/bhaptics-tactsuit-vr-haptic-feedback-htc-vive-x-demo-day/

吉本幸記


千葉県在住のフリーライター。ITエンジニアとしてスマホアプリの開発等に携わった後、 フリーライターとして独立。VRをはじめとした最新テクノロジーがもつ社会変革の可能性に注目している。 http://resume21century.blog.fc2.com

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