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念じるだけでVRを操作するためのアプローチ

脳波でVRを操作する
脳波でVRを操作するためのデバイス

脳波でVRを操作するためのデバイス

特殊なセンサーの付いたヘッドセットを装着して脳波を測定すれば、VRゲームを操作する方法として脳波が使えるようになる。

念じるだけでVRゲームを操作できる方法を作ろうとしている企業は、いくつもある。コントローラーすら使わない操作は単に未来的であるだけでなく、実用上のメリットもあるかもしれない。

脳波を使う方法ならば手が不自由でコントローラーを握ることができない人でもゲームができ、キーボードをタイプするよりも速く思考の速度で文章を書くこともできるようになる。

考えるだけで動く

Neurableのプロトタイプを試す

Neurableのプロトタイプを試す

VRInsideでも過去に紹介したことのあるNeurableは、エンジニアで神経科学者でもあるRamses Alcaideが立ち上げたスタートアップだ。

このNeurableの開発したVRゲームの中では、コントローラーもボイスコマンドも使うことなく「心の中のマウス」とでも呼ぶべき道具によってアイテムを選ぶことができる。ただ考えるだけで良い。

技術的制約

そうは言っても、脳波を読み取ることのできるセンサーが付いたVRゴーグルはまだプロトタイプの段階だ。これが製品になって市場に流通するようになるまでには、数年かかるだろう。

デバイスがプロトタイプであるだけでなく、性能も制限されたものだ。現時点では、脳波によってできることは多くない。

多くの候補アイテムがある中から任意のものを選び出すことはできないので、まずは候補となるアイテムの数を減らして絞り込まなくてはならない。

SFを現実へ

念じるだけで操作できる機械は、かつてSF作品に登場する空想上の産物でしかなかった。現在でもまだいくつかの点で想像の域を出ていないとも言える。

だが、Neurableのプロトタイプはきちんと動作する。これは、エンジニアや科学者がSFを現実のものにしようと広範な取り組みを続けてきた努力が実を結び始めた結果だ。

同時に投資の成果だと言うこともできるだろう。アメリカ政府や、テクノロジー関連を中心とする多くの企業が思考によって機械を操作するシステムに投資してきた。VRの世界でも大きな影響力を持つFacebookや、多数のスタートアップ企業が思考と機械を繋ごうとしている。

テクノロジー企業はVRを操作するより自然で直感的な方法を探しているため、神経や意識を研究するこの分野とVRが結びついたのは自然な成り行きだ。

神経技術への期待

スマートフォンの限界を拡張する

多くのテクノロジー企業が取り組んでいるスマートフォンや関連機器の開発。Neurableに対して出資を行っているベンチャーキャピタルLoup Venturesの創設者、Doug Clintonは神経科学が次に「来る」技術分野だと考えている。

「スマートフォンの世界で、私たちは可能なことの限界に達しつつあります。こうした企業は次のステップです」

今できること

上の動画では、Neurableのプロトタイプで何ができるのかを見られる。

このプロトタイプでユーザの考えを読み取るために使われているのは、脳波(あるいはEGG)と呼ばれるものだ。これは古くからある、脳の活動を測定するための手段である。

脳波の使用によって、同社はゲームと思考をシンプルに繋ぐことに成功している。

さらに先へ

Neurableのプロトタイプは一定の成功を収めているが、さらに先を目指す企業もある。

彼らは、シンプルなゲーム内の選択だけでなくあらゆるコンピュータ操作を思考だけで実行できるようにしたいと考えている。

思い通りの色で絵を描いたり、頭の中で音をイメージするだけで楽譜を作ったりすることができるようになるかもしれない。

ノイズとの戦い

頭の外側に取り付けたヘッドセットは多くのノイズを拾ってしまうので、処理に時間がかかる。

Neurableでは、Alcaide がミシガン大学の学生だった頃に発表した理論を基礎とするコンピュータアルゴリズムによってノイズを分離している。これにより、通常不可能とされるほどの速度と正確性を両立している。

このアプローチを採る場合、ゲームの前にアルゴリズムにユーザの脳波を覚えさせる時間が必要だ。数分間をかけてユーザの脳波とユーザが考えていることの関連をアルゴリズムに学ばせることで、処理速度と精度を高められる。

 

脳波に頼らない方法

Neurableのプロトタイプは、速度の面でも正確さの面でもほとんど脳波を使う方法の限界に達している。これより先を目指すFacebookが構想するのは、脳の活動を光学的に読み取る方法だ。

彼らは頭蓋骨の外から脳内の化学変化をスキャンし、スマートフォンのキーボードを使うよりも5倍速く入力可能な方法を確立したいと考えている。

この理想は、現在の技術を超えているとされている。多くの神経科学者は、その速度を実現できるのは頭蓋内インプラントだけだと主張する。

頭蓋内インプラント

他の企業では、ノイズへの対処として本当に頭蓋内インプラントを構想しているところまであるという。頭蓋骨の内側に脳の活動を測定可能なハードウェアを配置することでノイズを減らし、高精度で脳の活動をスキャンするのが狙いだ。

ノイズを減らすためにインプラントを使うという理屈は正しいのだが、手術が必要になるユーザの負担やインプラントが原因の感染症などの危険性を考えると健康な人間にインプラントを埋め込むのはあまり現実的な方法ではない。

ただ、ユーザの状態によってはこの方法が現実味を帯びてくる。それは、ユーザが何らかの障害を抱えている場合だ。

スタートアップ企業のParadromicsは、インプラントが失明・難聴・麻痺などのトラブルを抱える患者への治療になるかもしれないと考えている。インプラント手術にはリスクが伴うが、インプラントによって機械を速く、自由に操作できるようになるならばリスクを許容できるという患者もいるのではないだろうか。

 

健康に問題のないVRユーザがインプラントで機械を操作する未来は想像しにくいが、脳波を測定する装置が進化すれば簡単な手続きくらいは考えるだけでできる時代が来るかもしれない。

また、腕が使えないといった理由でキーボードやコントローラーを操作するのが難しいユーザにとって、思考による入力が生活を一変させる技術になる可能性もある。

 

参照元サイト名:The New York Times
URL:https://www.nytimes.com/2017/08/27/technology/thought-control-virtual-reality.html

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