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イギリスの消防隊がトレーニングにVRアプリケーションの活用を検討

2017/09/15 16:41

火災現場をVRでシミュレーション
火災現場をVRでシミュレーション

VR技術で火災現場のシミュレーションも可能になる

あらゆる状況をシミュレーションし、安全に体験することのできるVRの特性は様々な業界でトレーニングに利用されている。

飲食店のオペレーションを覚えるためのビデオがVR映像に置き換えられたり、野球などのプロスポーツ選手が判断力や身体のコントロールを磨くために使用したりといった例もある。あるいは、医師が手術のシミュレーションに利用したり、軍隊で敵の襲撃から身を守るトレーニングに使われたりとその用途は幅広い。

イギリスの消防隊でも、こうしたVRシミュレーションがトレーニングのために利用されることになるという。彼らにVRコンテンツを提供するのは、イギリスのVR会社RiVRだ。同社のVRコンテンツにより、消防隊員たちは安全な環境で実際の現場に近い環境を再現したリアルなトレーニングができるようになる。

RiVRのVRトレーニング

リアルなトレーニング

VRトレーニングの魅力は、実際に現場を再現して行うトレーニングに比べて安全かつ低コストで実施できることだ。臨場感も高いため、同僚とのロールプレイや要救助者役のマネキンを使ったトレーニングに比べて隊員たちのマインドを鍛えることにも繋がるだろう。危険な現場では技術や知識だけでなく、経験がもたらしてくれる冷静さが重要となる。

消防士たちがトレーニングに利用するリアルな環境をVRアプリケーション内に構築するために、RiVRは写真測量技術を利用しているという。本物のように感じられなければせっかくのVRトレーニングも効果が薄れてしまうので、より現実らしくすることは彼らがこだわったポイントだ。

RiVRでは、現実の環境を撮影するために手で持ち運ぶカメラだけでなくドローンに搭載するタイプのカメラも活用している。複数の視点から現場を見ることで、バーチャルな世界にも奥行きを作ることができる。

HTC Viveの没入感

市民に火災の恐ろしさを伝え、火事の予防に注意を払うように訴えるだけならば360度映像でも十分効果的だ。360度映像は通常の2D映像以上にその場に居る感覚が強く、より強い印象を残すことができる。

しかし、RiVRは消防士が訓練に使えるVRプログラムを開発するためにHTC Viveを使用した。HTC Viveのワンドコントローラーを使ってVR空間にユーザが関わることができるようになり、眺めるだけのVR映像以上に臨場感・没入感が高まったと言えるだろう。

もちろん、ViveのようなPCベースのヘッドセットは単純に解像度が高いことも没入感を高める一因となる。

さらに、HTC Viveには外部アクセサリを追加することもできる。RiVRが注目しているのは、あらゆるものをトラッキング可能にしてしまうVive Trackerだ。Vive Trackerを使えば、消防士が現場で使う本物の器具をトラッキングしてアプリで利用することができる。

HTC公式のアクセサリであるVive Trackerだけでなく、サードパーティのデバイスを利用することも考えられているようだ。高品質な手指のトラッキングを可能とする手袋型デバイスを開発するManus VRと協力しており、将来のソフトウェアではManus VRのグローブを使った操作が可能になるかもしれない。

便利なトレーニング

VRを使ってトレーニングを行うもう一つのメリットは、訓練を指導する側が状況を把握しやすいことだ。RiVRのトレーニングアプリでは、トレーナーがiPadを使ってVR空間内の研修生とやり取りすることができるという。

実際に火災現場を再現したトレーニングで研修生の行動を逐一把握するのは難しいが、VRならば彼らの行動を全て記録することもできる。

VRトレーニングの現状

プロトタイプの展示が予定されている

プロトタイプの展示が予定されている

試作段階

RiVRの消防隊用VRトレーニングアプリはまだ完成していないが、プロトタイプは作られている。

まずは2種類のデモが示される予定となっているようだ。一つは焼けた室内や本物の消防設備をVRで見ることができるもので、もう一つはVive Trackerを取り付けた本物の消防ホースを使うものになるという。

来年実用化へ

RiVRはアプリケーションの実用化について、来年中に利用できるようになるとみている。さらに、他の部門に対象を拡大するべく交渉も行っているようだ。

警察や特殊部隊のトレーニング用にオーダーメイドのVRプログラムを制作することも考えられており、逆に多くの人が利用できる応急処置法を学べるようなプログラムのアイデアもあるようだ。

 

VR空間でトレーニングを行えるアプリケーションを開発する企業はいくつかあるが、RiVRはVive TrackerやManus VRグローブといった周辺機器を積極的に利用しようとしているのが特徴だ。ただHTC Vive本体に付属するハンドトラッキングコントローラーを使う場合よりも、細かな動作や特別な道具を使った動作を練習できるようになる。

これらのアクセサリを使うことで、トレーニングアプリが対応できる分野はさらに広くなるだろう。

 

参照元サイト名:VR Focus
URL:https://www.vrfocus.com/2017/09/uk-fire-service-and-rivr-collaborate-on-vr-training-programme/

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