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鉱業分野で使用されるバーチャルリアリティ技術 - VR Inside

鉱業分野で使用されるバーチャルリアリティ技術

        2017/08/31

MRでマイニングデータを可視化する

MRでマイニングデータを可視化する

VR、AR、そしてMRまで含めたバーチャルリアリティ関連技術は、製造業、医療、小売業、教育と幅広い業界で業務の効率化に貢献している。

鉱業もこうした技術の恩恵を受ける業界の一つであり、3Dイメージを頭の中で組み立てる難しい作業を不要とすることで問題の共有が容易になる、機器の操作をトレーニングしやすくなるといったメリットが得られるようだ。

この分野におけるバーチャルリアリティ技術の採用は、既に始まっている。

最新技術の利用

VRで山の地形を伝える

VRで山の地形を伝える

鉱業の世界では、利害関係者に採掘の影響や範囲を説明しなければならない場面がある。

投資家に採掘によって得られる利益の見込みをプレゼンテーションして資金を獲得するときや、現地住民に採掘の範囲を説明するときがそれだ。マイニングエンジニアや地質学者は、社内で採掘計画を立てるために状況を整理しなければならないことも多い。

現場の状況を伝える3Dモデル

通常、こうしたプレゼンの場で使われるのは紙に印刷したレジュメであったり、パワーポイントのスライドや動画といったプレゼンテーションツールであったりする。

だが、採掘や探査は三次元的に行われるもので、2D映像や図で情報を伝えるには限界がある。専門家ばかりの社内会議であれば資料から各人が頭の中でイメージを組み上げることも可能だが、一般の住民や自治体に対してそれを求めるのは酷だ。

こうした場面で、VR/AR技術が活躍する。

VRヘッドセットを使って事前調査の様子を見せれば、どこでどのように調査が行われたのかを簡単に伝えることができる。

ARを使って3Dモデルを表示しながら説明すれば、採掘を進める計画を説明するのも容易になる。

作業者を支えるAR技術

現場の作業者に、AR技術を使って情報を伝えることも可能になるはずだ。

消防士向けのARヘルメットのようにガスを感知して警告を表示したり、両手を空けたまま作業計画を確認したりとAR技術の使用法は幅広い。

採掘に使う機器にトラブルが起きたときも、簡単な処置であればARで指示を受けながら現場で解決することができるだろう。

壊れた機器を地上に持ち帰ってエンジニアが修理する、あるいはエンジニアが地下深くまで潜って修理するよりも低コストだ。

デバイスのコスト

鉱業の分野でこうした視覚化技術を活用するアイデアは、最近出てきたものではない。

1968年には初めてのヘッドマウントディスプレイシステム「Sword Of Damocles」が開発されていたが、これは処理速度が遅すぎて実用的ではなかった。

また、現在のように360度映像を撮影できるカメラやスキャナが発達していなかったというのもある。

ヘッドセットの初登場から50年が経ってもデバイスの大きさやVR酔いといった難点が残されており、まだ洗練されたとは言い難い。

しかし、急速に進歩していることも事実だ。

デバイスのコストもVRならば数万円から10万円程度(ただしOculus RiftやHTC ViveにはハイエンドPCが必要になる)、ARまたは「MR」ならば30万円程度(Microsoft HoloLensの場合)と現実的な金額になっている。

価格の低下も続いているため、数年後には現在よりも高性能のデバイスが安価に利用できるようになっていそうだ。

トレーニングへの利用

VRで潜水艦の操作をトレーニング

潜水艦乗組員の訓練にも使われるVR

Immerseは、潜水艦の乗組員を訓練するためのVRコンテンツを作成している。

安全なトレーニング

災害救助から軍事・防衛関連まで様々な業界でVRを使った訓練が取り入れられる理由の一つが、その安全性だ。

VRトレーニングならば、実際に危険に身を晒すことなく緊急事態への対応を学ぶことができる。しかも教本を使った講義と違って臨場感があるため、実際に学んだ知識が必要になる場面でも慌てずに動くことができるだろう。

鉱業の世界でも、VRトレーニングの安全性は大きな利点となる。

実際の鉱山では、人体に有害なガスや可燃性のガスが溜まっていることもある。掘り進めていくうちに落盤事故が起きることもある。

VRトレーニングならば、安全な場所でそうした危険への対処を学ぶことが可能だ。

自由なシミュレーション

VRを使ったシミュレーションでは様々なパラメータを自由に設定することができる。

そのため、自分が向かう予定の現場に合わせたトレーニングが可能だ。

硬い岩石が中心のエリアなのか、それとも崩れやすい砂がメインなのだろうか。地下水脈が近くにあれば、水への対策も必要になる。

採掘の計画を立てるときや新たな現場に移動するときには、このシミュレーションが役に立つはずだ。

 

バーチャルリアリティの技術はまだ発展途上にあるが、鉱業の世界では既に採用が始まっている。

デバイスの進化も続くはずなので、業界では今後10年から数十年という長いスパンでこの技術の効果を確かめていくことになりそうだ。

 

参照元サイト名:Canadian Mining Journal
URL:http://www.canadianminingjournal.com/features/miners-game-virtual-reality/

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。