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中国の学校で最大50人の生徒が同時にHTC Viveを使える「VR教室」が作られる

2018/09/20 15:47

HTC Viveが使える教室
HTC Viveが使える教室

これが未来の視聴覚室?

HTC ViveやOculus RiftといったハイエンドVRヘッドセットを購入するのは、VRゲームを遊ぶ個人やVRシミュレーションで従業員のトレーニングを行いたい企業ばかりではない。中にはこうしたデバイスを教育目的で導入する学校もある。

導入されたVRデバイスの用途は幅広い。最近ではパソコンの基本操作に留まらずプログラミングや3DCGを教える学校も増えているので、3Dゲームプログラミングの学習にVRヘッドセットを利用することもできるだろう。VRデバイスで視聴できる科学や歴史の学習用コンテンツも作られているので、他の教科を学ぶために使うことも可能だ。

同時に大勢の生徒が利用するために多数のデバイスを導入しようと思うとデバイスのコストが問題になるが、各メーカーは学校や企業向けのパッケージ販売も行っている。

学校教育へのVR導入が研究されている中国の学校では、最大で50人もの生徒が同時にHTC Viveを利用できる「VR教室」が登場したという。

VRで行われる教育

Google Expeditions

Google Expeditionsで世界を学ぶ

VRデバイスは、エンターテイメントコンテンツの視聴だけでなく学習に利用できるような知識・教養系コンテンツの視聴にも利用できる。その一例がGoogleの開発した『Expeditions』だ。

Google Expeditions

Expeditionsは、Googleが2016年に公開した学校向けの教育用VRプラットフォームだ。世界中の歴史的建造物や自然の造形を360度映像で訪れることができるので、地理や歴史を学ぶときの導入にもってこいのツールである。

高価な専用のVRデバイスを用意しなくても、一般的なスマートフォンで利用できるGoogle Cardboardプラットフォームに対応することもこのプラットフォームの強みとなっている。特に学校では生徒の人数に合わせて複数のVRデバイスを用意しなければならないため、導入コストが問題になりがちだ。その点、Cardboardであれば低コストで利用を始められる。

タブレット端末を使って複数のスマートフォンで動作するExpeditionsを管理することもできるので、教師にとっても扱いやすいアプリだ。

さらに、今年の8月にはExpeditionsにソロモードが追加された。ソロモードならば、自宅で自由に360度コンテンツを楽しむことが可能だ。自宅学習に使用することはもちろん、学生以外が趣味の学びにVRアプリを使うこともできる。

Veative VR Learn

教育用に作られたVRコンテンツだけでなく、教育専用に作られたVRヘッドセットも存在する。

Veative VR Learn」はパソコンやスマートフォンを使わない独立型のVRヘッドセットでありながら250ドル(28,000円)と価格が安く、コンテンツの操作に使えるリモコンまで付属している。同様のコンテンツを利用できるゴーグルタイプのデバイス(スマートフォンが必要)も販売されており、そちらはリモコン付きで20ドル(2,250円)とさらに安い。

コンテンツも充実しており、生物、物理、科学や数学の学習に利用できるコンテンツが多数公開されている。今年の末に1,100本を目指し、現在もその数は増え続けている。

シンプルな360度映像だけでなく、リモコンを使ってVR空間での科学実験が行えるインタラクティブコンテンツなども存在している。学校での教育にも、自宅での学習にも利用可能なプラットフォームだ。

VR教室の事例

教室でViveを使う(イメージ)

HTCは中国で教育機関向けのパッケージも販売する

大規模VR教室

今回HTC Vive部門のAlvin Wang Graylinが明らかにしたVR教室は、HTCと中国寧夏省にある複数の学校とのコラボレーションによるものだという。

彼らは各部屋で最大50人がHTC Viveを利用できる環境を作り上げたという。

干渉の防止

一見すると単に広い教室に多数のHTC Viveを導入しただけに見えるかもしれないが、Viveの特徴の一つはLighthouse技術を使用したベースステーションによってもたらされる広いトラッキングエリアだ。

家庭でVRゲームを遊ぶ場合にはOculus Riftに比べてルームスケールVRで対応できる範囲が広いという強みになるが、VRアトラクションやイベントなどで複数のベースステーションを設置する場合には互いに干渉してしまうこともある。

Graylinによれば、チームが制作したグレーの箱にベースステーションが入っており、金属製の箱が物理的なシールドとして働くことで干渉を防止するという。この干渉防止技術は、教育現場だけでなくイベント会場などで活用されることになるかもしれない。

教育用パッケージ

この教室には50台のHTC Viveがあるが、もしこれを単品購入で集めたとすればViveが値下げされた現在でも5,488元(93,000円)×50台で約465万円+税金が必要になる。

しかし、アジア地域でのVive普及に力を入れるHTCは今年の3月に中国の教育機関に向けてVive Group Edition Bundleを発表している。このパッケージには10台のVive本体と2台のベースステーションが含まれており、価格は49,999元(85万円)だ。

5セット購入しても約425万円となり、40万円ほどイニシャルコストが抑えられる計算となる。

ただし、3月の発表によればこのパッケージにはViveのコントローラーが付属していない。写真では生徒たちがコントローラーを持っているので、オプションを合わせて購入しているようだ。生徒一人あたりコントローラーが一つしか割り当てられていないのは、ゲーム用ではないからだろうか。

 

これほど大規模にVRデバイスを導入するとなると、教育機関向けのパッケージを利用しても大きなコストがかかる。だが、VRデバイスを導入する施設はその数を増やしている。

VRや3DCGを扱うスキルを持つプログラマはゲーム業界に縛られることなく活躍の場が拡大しており、そうした人材を育成する教育機関の需要は高い。情報系以外でも、VRコンテンツは生徒の学習意欲を高めるきっかけになるだろう。

まずは情報系の学校から、そして学校設備に力を入れる一般の学校へとVR教室を持つ学校が増えていきそうだ。

 

参照元サイト:VR Focus
参照元サイト:VR Room


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