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認知症を体験できるVRアプリ!高齢化が加速する日本で無視してはいられない

2017/11/05 11:30

VRやARといった最新技術をも取り込んで、医療は進歩を続けている。

進歩することで、これまで直らなかった病気やケガが治療可能になったり、これまで治療できていた病気やケガでも、より安価により負担なく治療できるようになったりしている。

結果、人類はこれまで以上の長生きが可能になりそうだ。

しかし、長生きできるということが、必ずしもメリットばかり生むわけではない。

高齢化が生む問題のひとつが、認知症だ。

しかし、問題は問題のままになっているわけではない。

認知症への対策や研究は進んでおり、そこにはVR技術も使われているのだ。

この記事では、認知症に活用されるVR技術について紹介したい

 

そもそも認知症とは!?

認知症
そもそも認知症とは何かというと、脳の細胞が死んだり、働きが悪くなったりしたことで起こるさまざまな症状のことを言う。

具体的な病名ではなく、さまざまな症状の集合体である症候群だ。

したがって、「認知症」の時点では、原因が明確に特定されてはいない状態と言える。

それでは「さまざまな症状」にどんな症状があるのかというと、「徘徊」「暴力・暴言」「幻覚・錯覚」「睡眠障害」「妄想」「記憶障害」…などといったものが含まれている。

認知症=記憶障害や、認知症=徘徊という固定的なイメージを抱いている人も多いと思うが、必ずしもそうではないのだ。

 

認知症をVRによって体験し理解を深める「VR認知症体験プロジェクト」

こうした認知症に対して、体験することで理解を深めてもらおうという試みがシルバーウッドによる「VR認知症体験プロジェクト」だ。

「VR認知症体験プロジェクト」は、VR動画によって、認知症の症状を体験してもらおうというもの。

認知症の症状は、「中核症状」「周辺症状」に分けられる。

「中核症状」は脳の細胞が死ぬことによって発生する症状で、記憶障害や、時間・場所などがわからなくなる見当識障害、理解力や判断力の低下などといったもの。

「周辺症状」は、脳の障害によって引き起こされる行動や精神状態のことで、暴力・暴言や徘徊、妄想といったものはこちらに含まれる。

認知症の問題として描かれることが多いのは「周辺症状」の方だ。

しかし、「VR認知症体験プロジェクト」では「中核症状」の方を描こうとしている

これは、「中核症状」を理解することが、認知症の理解を助けてくれるからだ。

この記事を読んでいる人の中に、「認知症」になった経験を持つ人は少ないだろうが、記憶をなくすほど泥酔してしまった…という人は多少いるのではないだろうか。

もしお酒で記憶をなくしたことがあるなら、想像してほしい。

いきなり見も知らぬ場所にいて、軽くケガしていたり、見たことないものを持っていたら、どんな心理状況になるか?

ものすごく乱暴にいってしまえば、記憶障害とはこの状態に近い。

つまり、誰しも同じ状況になれば、どんな不安な気持ちになるのか、パニックになるとどんな行動を取ってしまうかが理解できる。

とはいえ、単なる映像や体験談では、臨場感を持って同じ状況を追体験するのは難しい。

そこで、臨場感を得意とするVR技術の出番というわけだ。

VR技術の臨場感をもって「中核症状」を体験することで、認知症患者の方がどんな心理状況におかれているかどうしてそんな行動をとってしまうのか、理解する手助けとなる。

理解することができれば、サポートするにしても認知症の方の気持ちを考えた適切なサポートができるし、まったく関係のない立場で認知症の方を見かけたとしても、何故そんな行動をとっているのか把握した上での接し方・心の持ち方ができる。

認知症の直接的な治療にはならないものの、認知症に対する社会的な理解が進めば、認知症患者の方も、その家族の方も、今以上に生きやすい世の中になるだろう。

「VR認知症体験プロジェクト」のサンプル動画がYoutubeにアップロードされているので、是非スマホVRゴーグルで体験してみてほしい。

 

VRコンテンツで認知症を早期発見!「Sea Hero Quest VR」

続いては、VRを使って認知症の早期発見を目指すプロジェクト「Sea Hero Quest VR」をご紹介したい。

「Sea Hero Quest VR」は、仮想世界を冒険する…というゲームライクなVRコンテンツ。

これがどのように認知症の早期発見に役立つのか…というと、ゲーム内でプレイヤーの匿名データを収集することによって…だ。

プレイヤーのVRコンテンツ内で行動データを神経科学者や認知心理学者が分析、「未知の環境でどちらに移動するか」という判断を行うナビゲーション能力の研究に活用する。

このナビゲーション能力の研究を進めることで、VRコンテンツを使って認知症を早期に発見するような診断テストが開発できる可能性があるという。

 

若くても他人事ではない!認知症の理解を深めておこう

総務省が今年9月17日に発表した人口推計によると、90歳以上の人口は9月15日時点で206万人

全人口に占める高齢者の割合は年々増えており、今後ますます高齢化が進行していくことは間違いない。

このため、すべての人にとって認知症は他人事ではない問題だ。

自分自身に認知症の症状が現れ、がある日いきなり、知らない場所に立っていることに気づいたら…?

あるいは、自分の親やパートナーに認知症の症状が現れたら…?

こうしたことがいずれ自分の身に起きた時、冷静に対処するためにも、認知症の理解は深めておきたいところだ。

kazuhiro_tanaka


ゲーム作りからゲームレビューまで、ゲーム何でも大好きなゲーム作家。子どものころから夢見ていたVR技術の実現に歓喜!ホラーとオカルトが大好きなので、バーチャル世界でたくさんのゾンビや亡霊に何度も殺されたい!!

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