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VRを教育に取り入れるシンガポールの取り組み

2017/05/26 10:43

シンガポール政府が主導するプロジェクトは、VRを学校教育や医療教育機関に取り入れようとするものだ。VRやARが学校教育に取り入れられるとき、子供たちは何を、どう学ぶことができるのだろうか。

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VRは教育にどんな進化をもたらすのか。

シンガポールでは学校教育にVRを取り入れることによって、従来の教育方法では得ることのできなかった効果を生み出そうとしている。

5月23日から25日にかけてシンガポールで開催されたInfocom Media Business Exchangeにおいて、シンガポール情報通信大臣であるYaacob Ibrahim氏は、現在シンガポールが教育に関して取り組んでいるパイロットプログラムーVRを教育に取り入れるそれーを紹介した。

プログラムは現地の小学校と医療教育機関に試験的に導入される。

VRを取り入れた教育システムにはどんな可能性があり、子供達にどんな未来を与えるのだろうか。

学校教育での活用例

シンガポールメディア開発庁は現在、同国の教育庁ならびにVRコンテンツ制作会社であるBeach House Picturesと協働しており、国内の計5つの小学校で行われる社会科の授業で使用するVRコンテンツの開発に取り組んでいる。

授業で使用される専用アプリは「バーチャル空間上のクラスルーム」をコンセプトにし、生徒がカリキュラム通りに学習を進められるように、教師が生徒をよりサポートしやすくなることを目指すものだという。

授業において生徒はヘッドセットを装着し、シンガポール国内にある様々な史跡、例えばセントラルシーク寺院、チャイニーズ・ガーデン、Geylang Serai Marketなどをバーチャル空間の中で訪問することができる。

また他の授業において、生徒はバーチャル空間の中で酪農場や有機野菜農場、沖合養殖場などを訪れることが出来、最新技術を取り入れた農業システムについて学ぶことができるという。

Yaacob Ibrahim氏は今回の取り組みに関して、次のように語っている。

今回、VRを試験的に教育に取り入れるという試みによって、小学4年生と5年生を対象にした約400人の生徒たちが、ハイテク農業をはじめ、デザイン、建築工法について学びを得ました。

感性の鋭い子供にとって、直感に働きかけるバーチャル空間での教育は刺激的であり、従来の教育に比べて学習内容の吸収率の向上を期待することができそうだ。

医療教育での活用例

シンガポールでは医療教育機関にもVRを取り入れようとしている。

Tan Tock Seng Hospitalで行われているこの取り組みにおいて、VRは従来の医療教育を補完するものとして注目されている。

顧問医師達やその他医療従事者は現在、コンテンツプロダクション会社であるSideFX Studiosと協働しており、医療における訓練、ならびに教育において、VR空間で没入感の高い訓練環境を構築すべくVRテクノロジーを活用しようとしている。

Yaacob氏は次の通りに語る。

従来の医療教育は膨大なリソースとコストが必要になり、そこには実際の現場で通用しない要素も含まれています。今回、ここにVRが加わることによって、基本的な手術技術や、命に危険を及ぼすような複雑な気道の管理方法をバーチャル環境でシミュレーションできるようになります。

国内では他にも様々な医療機関が医師訓練のためにVRを活用しようとしており、シンガポール政府も積極的な支援をするとのことだ。

日本でも試みられているVR/AR教育

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VR/ARを教育や医療に取り入れる試みは世界中で行われており、日本も例外ではない。

最近ではN高の入学式に生徒全員がHoloLensをつけてバーチャル入学式を行ったのが話題になった。

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自宅学習やネットを活用した教育など斬新な取り組みで注目を集めるN高の授業では、ARを活用した授業の取り組みが行われており、生徒達は教室内でARやホログラムを通して、化学式などのモデルを3Dデータとして共有しながら学習を進める。

従来はコスト的な面で導入の難しかった立体模型も、デジタルデータであればデバイスにデータを読み込むだけで実施することが可能になり、それによってリアルタイムで遠隔地から講義する教師のホログラムをAR内で共有することが可能になり、かつその模様は後から追体験することができる。

教室という実空間と通信教育を併せることによって、対面教育と通信教育のメリットを融合した新しい教育の形が生み出されるといわれており、このシステムは今後、まずはN高校の通学コースの遠隔授業で活用されるとのこと。

従来の、時間的、空間的にも制約の大きかった学校教育がVR/ARによって変わることによって、生徒達が学校で学ぶ内容も当然のこと、学習内容の定着度も大きく伸びるだろう。

授業が退屈で億劫なものから、楽しくてワクワクするものへと変わった未来において、子供はどんな幼少時代を送り、どんな大人になるのだろうか。

参照元:VRFocus

daisuke


ライター兼翻訳家。2016年12月にプレイステーションVRを体験したことをきっかけにVRに関心を持つ。ARやドローン、AIなどの先端テクノロジー全般に興味があり、SF化する世の中にワクワクしています。

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