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レイ・カーツワイルの著作から考える「VRのある未来」

2017/06/02 16:24

    人工知能の研究者レイ・カーツワイルの著作を元に想像された未来では、VR技術も大きな役割を果たしている。未来がユートピアとは限らないが、技術を正しく利用することで幸せになれる人は増やせるはずだ。

    レイ・カーツワイル

    技術的特異点について語るレイ・カーツワイル

    人工知能やVRのような技術によって、未来はどのように変わっていくのだろうか。近いうちに大きな変化が起きることはない(あるいは、それを望まない人によって変化が阻止される)という考えもあるが、全てが変わってしまうと考える人もいる。

    人工知能の研究者であるレイ・カーツワイルは、人類を超える優れた人工知能(強い人工知能)によって「何でもできる」未来がやってくるかもしれないという。彼の著作を元に想像された未来の世界では、VR技術も当然のものとなっているようだ。

    Inverseでは、素晴らしくも恐ろしい未来の様子がまとめられている。いくつかの項目は、VR技術にも関連しそうだ。

    発展する技術

    人のシルエット

    ユビキタスインターネット

    これは比較的想像しやすいのではないだろうか。現代の日本では、ほとんどあらゆる場所からインターネットに接続することが可能となっている。この状況がさらに拡大する。

    2019年までには、ほとんどの人が地球上のどこからでもインターネットにアクセスできると考えられている。インターネットや情報の持つ意味も大きく変わるだろう。

    宇宙防衛

    地球の歴史で度々起きている生物の大量絶滅。その理由については複数の仮説が出されており、複数の要因が絡み合うことで特に規模の大きな気候変動が引き起こされたという説もある。

    地球の気候に少なからぬ影響を与え、恐竜が絶滅した原因の一つともされているのが巨大隕石の衝突だ。避けようがないと言われてきたが、数十年以内には接近する小惑星を迎撃することも可能になると言われている。

    火星の探索や宇宙飛行士のトレーニング、あるいは兵士の訓練にVRやARが使われる事例も出てきているため、VR技術がこの分野の発展を早めるかもしれない。

    VRを使った在宅勤務

    数十年以内に、一つのオフィスに集まって働くという勤務形態は時代遅れの存在となるだろう。インターネットの普及によって在宅勤務が広がるとされてきたが、その最後のひと押しとなるのがVRの普及だ。

    この時代になるとVRがその場に居るのと変わらないレベルの没入感となっているため、全ての労働者はVRを使って好きな場所で働けるようになる。

    もっとも、その頃の社会には人間が行う仕事が残っていないかもしれない。AIとロボットの発展によって、あらゆる仕事が自動化されているだろう。

    その場合、VRはゲームやエンターテイメントのためのツールとして利用されていると思われる。

    通勤のために居住地を制限されることはなくなり、人口の過密状態も解消されるだろう。結果的に(まだ残っているとすれば)疫病やテロの脅威も低下することになる。

    病気の克服

    レイ・カーツワイルが自著の中で度々言及しているのが病気の克服だ。ほとんどの病気は2020年代に消滅すると考えられている。

    脳のリバースエンジニアリングが進み、その機能が解明されることで現在の医学では治療できないパーキンソン病やアルツハイマー病の治療も可能となる。血管内を移動するナノボットがあらゆる最近やがん細胞を攻撃してくれる。

    ナノボットによって患部を直接叩く以外に、VRを使った精神療法やリハビリも病気の改善に寄与するだろう。

    VRと現実の区別が消える

    2020年代の後半には、VRを現実と区別することができなくなる。その影響は大きい。望むものは何でも、現実と同じレベルのリアルさで体験することが可能な世界になるからだ。

    カーツワイルも性生活の変化を指摘している。VR空間では自分の身体をパートナーの好みに合うものに変えたり、性別を入れ替えることすら可能になる。

    単にVRコンテンツのリアルさが増してより楽しめるようになる…という時代を過ぎると、VR空間におけるユーザ同士のトラブルが増えることも考えられる。VR空間における犯罪は、どのように扱えば良いのだろうか?

    カーツワイルの未来予測は自由なユートピア的未来を見せるものだが、技術によって全ての人が幸せになれるとは限らない。

    コンピュータと人間の区別も消える

    2029年までに、コンピュータがチューリングテストに合格すると言われている。そうなれば、コンピュータと人間を区別することはできない。

    VRゲームで一緒に戦ってくれたフレンドが実はAIだったとしても、ユーザがそれに気づくことはない。見ようによっては恐ろしい世界だが、「AIが人間の代わりになれる」と考えれば人間を楽にしてくれるかもしれない。

    人間の機械化

    2030年代の前半、人間は生身の身体を捨てることができるようになると考えられている。脳をコピーして電子化すれば、従来の「死」が過去のものになる。

    全てのコンピュータ化

    2045年を境にして、地球は全てがコンピュータによって構成されるようになるという。

    AIの成長は指数関数的に成長するので、2099年には惑星サイズのコンピュータが作られることになるだろう。

    技術はどこまで発展する?

    考える女の子

    レイ・カーツワイルの考えに対しては批判も多い。特に人間の機械化やナノボットの利用については技術的に可能かどうかだけでなく倫理的な問題も大きく、彼の想像がそのまま現実になった世界は考えにくい。

    技術の発展はほとんどがAI任せで想像されているため、「人間よりも賢くなったAIが自分より賢いAIを作る」という前提が崩れれば描いた未来の大半が実現しなくなってしまうという弱点も抱えている。

    だが、近い将来の予測については参考になるかもしれない。

    VR/AR技術が当たり前に使われるようになれば、通勤する必要がなくなる仕事は少なくないだろう。学校や病院もVRで利用できるようになり、たまの登校日や手術が必要なときにだけ現地を訪れるようになることは考えられる。

    現に優秀な子供たちが地元を離れずにレベルの高い教育を受けられる学校なども登場しているので、技術の発展に伴ってこうした動きが進むと想像できる。人間が利用法を間違えなければ、技術は世界を良い方向に変えられるはずだ。

     

    参照元サイト名:Inverse
    URL:https://www.inverse.com/article/30913-8-staggering-predictions-ray-kurzweil

    ohiwa


    ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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