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未来のVRはユーザの感情を認識する

テレビCMを見たユーザの反応を調査するため、VRとアイトラッキングや脳波測定の技術を組み合わせるVR On Air Testのプロトタイプが登場した。マーケティングへの利用やコントローラーを使わないVRゲームの操作など、応用範囲の広い技術だ。

ユーザの感情を測定するVR

未来のVRデバイスはユーザの感情に反応する?

人間は誰もが自分の意思で行動を決めているつもりでいるが、行動の背景にどのような理由があり、どういった思考を経てその結論に至ったのかは自分でも分からないことが多いものだ。

プロトタイプの完成が発表されたVR ON AIR TEST(VR OAT)では、VR空間でテレビCMの映像を視聴してもらう。

VR OATでは、視聴時にユーザの身体で起きる反応と視聴後の意見や行動を組み合わせて解釈することで、テレビCMによって視聴者の心がどのように動いているのかを把握することを目指す。

これはマーケティングに活用することを目的とした取り組みだが、VRデバイスがユーザの感情を認識できるようになればコントローラーを使わなくても操作できるVRゲームが作られるようになるかもしれない。

感情を認識する方法

TobiiのTobii Pro VR

TobiiがリリースしたアイトラッキングキットTobii Pro VR

VR体験中のユーザから反応を取得する方法として考えられているのは、視線のトラッキングや脳波測定だ。他にも、古典的な方法として体温、心拍といったバイタルサインの計測がある。

アイトラッキング

ユーザのVR体験を妨げにくく、有望な方法がアイトラッキングだ。

VR OATでは、本体にアイトラッキング機能が内蔵されているVRヘッドセット、FOVE 0が採用されていた。

アイトラッキング技術を持つテクノロジー企業のTobiiも、6月にはViveにアイトラッキング機能を追加する開発者用のキットをリリースしている。

現行のメジャーなVRヘッドセットはアイトラッキング機能を標準搭載していないが、次世代機ではポピュラーな機能になるかもしれない。

FOVE 0とは

FOVE 0は今年の1月に日本でも販売が開始されたVRヘッドセットで、最大の特徴はユーザの目の動きをトラッキングする機能を搭載していることだ。

視線によってバーチャルなキャラクターとインタラクトできることはもちろん、ユーザが見ている部分だけを高解像度でレンダリングすることでレンダリング処理の負荷を大きく下げることが可能だという。

人間の目がはっきりと捉えられるのは視野の中心のみなので、気づかれない場所の解像度を落とすことで処理を軽量化できるのだ。

脳波測定

アイトラッキング技術を使えば、ユーザは目を動かすだけでVRコンテンツを操作できる。

脳波を測定すれば、考えるだけでデバイスが意思を汲み取ってくれるようになる。

難点はあまり安価とは思えない専用のデバイスが追加で必要になることだが、2018年には脳波コントロール可能なVRアーケードゲームが登場する可能性もある。

体温・心拍数

体温や心拍数はユーザが意識的にコントロールしているわけではないので、本当の感情を読み取る材料として使えるデータだ。

テレビCMへの反応を測定することはもちろん、怖がり方に合わせて演出を変えられるホラーゲームなども作ることができるだろう。

フィットネスコンテンツとは特に相性が良さそうだ。

VRを使うメリット

コカ・コーラのVR広告

AdobeもVR広告を研究する

VR広告に限らず、広告を出すのは視聴者に商品やブランドを知ってもらう、興味を持ってもらう、そして可能ならば利用してもらうためだ。

視聴者の印象に残らない広告では意味がないが、良くない印象を与えてしまっては逆効果となる。そのため、視聴者が広告をどう感じたかを知りたいという要望が出てくるのだ。

過去の調査方法

広告に対する視聴者の反応を知るための一般的な方法は、アンケートだ。

対象者に実際に広告を見てもらうか、広告を見たことがあるという消費者を対象にアンケートを行う。

「CMを見て商品を利用したいと思ったか」「商品を購入したいという気持ちは高まったか」「CMの中で印象に残っている要素はどこか」といった質問をするものだ。

だが、購買行動に関わる意思決定の根拠を消費者自身が理解しているとは限らない。

技術を使った調査

そこで、自己申告のアンケートではなく身体の反応を調べる方法が登場する。

アイトラッキングによって視聴者が注目している場所を調べるのは、VR以外の2D映像でも利用されている方法だ。

しかし、2D映像ではユーザとディスプレイの間に距離があるのでトラッキングの精度が低くなってしまう。

また、ノイズもある。

ユーザが部屋に置かれた家具を見てしまったり、身体を動かしたことで脳波にノイズが入ったりといった例が考えられる。

VRを使った調査

VRを使う調査の場合、ユーザの視界を覆うことができるのでそうしたノイズが小さくなると考えられる。

特にアイトラッキングに関してはディスプレイと目の距離が小さいこともあり、非常に高い精度でのトラッキングが可能だ。

「映像の右下に視線が集まっている」といったレベルではなく、「この文字を読んでいる」というところまで分析できるという。

外部の刺激を遮断できるので、脳波も安定したものになるはずだ。

 

視線や脳波を測定することでユーザの感情を認識するデバイスは、マーケティングにもゲームにも幅広く使える。

かつては夢物語に過ぎなかった感情を理解する機械も、もうすぐ実現しそうだ。

 

参照元サイト名:VR Insight
URL:https://www.vr-insight.com/oat.html

参照元サイト名:The Drum
URL:http://www.thedrum.com/news/2017/08/10/vr-insight-launches-virtual-reality-prototype-determines-users-emotions

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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