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VRコンテンツで斜視の大人が視力を回復できる? - VR Inside

VRコンテンツで斜視の大人が視力を回復できる?

     

視力を回復させるVRコンテンツ

視力を回復させるVRコンテンツ?

長時間パソコンやゲーム機の画面を見続けることは視力の低下に繋がると言われていた。最近ではそれを否定する研究結果もあるが、疲れ目の原因になるのは間違いない。

VRと視力に関する研究はまだまだ進んでいないが、こちらも子供の視力に悪影響を与えるかもしれないという意見がある。

しかし、ある研究では斜視のある成人にVR技術を使った処置が有効かもしれないという結果も出ているという。

VRは視力を高める?

目を検査する様子

目を検査する様子

ゲームと視力

テレビゲームとともに育った世代であれば、「ゲームをしすぎると目が悪くなる」という話を聞いたことがあるだろう。ゲームは1日1時間といった制限をされた経験があるゲーマーも多いかもしれない。

最近の研究ではテレビゲームよりも遺伝やその他の要因が視力の低下に強く関わっているとされているが、画面を見続けることで瞬きが減ってドライアイになったり、目が疲れて一時的に視力が低下することは起こりうる。

大人でもハマってしまうようにデザインされたゲームを、子供が自分の意思でやめるのは難しい。

眼精疲労を防ぐ意味では、ゲームの時間を限定することにも意味がある。また、長時間ゲームをすることで他のこと(外で友達と遊ぶ、本を読むなど)に使う時間が失われるのを防ぐことにもなる。

成人の視力がテレビゲームでいきなり落ちることはないだろうが、長時間のプレイによる眼精疲労には注意が必要だ。

VRと子供の視力

VRも2Dのテレビゲームと同じく、子供が視聴すると視力に悪影響があるかもしれないと疑いの目を向けられている。

頭のサイズが小さすぎて成人用に設計されたヘッドセットを付けられない、利用中の事故が不安といった理由もあるが、VRアトラクションを利用できる年齢に下限を定めている施設も多い。

逆にVRを利用した子供の視力が向上したとする実験結果もあるものの、規模が小さすぎてまだ何とも言えないというのが正直なところだ。

調査対象の人数が少なくアプリを利用した時間も60分と短いため、目の一時的な疲労や検査への慣れに由来する誤差が拡大されてしまっている可能性も高い。

子供がVRを利用することの是非を考えるには、被験者の数を増やすとともに長期間に渡ってVRアプリを使った場合の視力の長期的な変化を追跡する必要があるだろう。

短時間のVR利用であれば良い目の運動になっているように受け取れるが、以前の記事で指摘されているように実験で使われたアプリが比較的落ち着いたものであることも考慮しなければならない。

自由に使えるVRデバイスを与えられた子供たちの多くは、『Tilt Brush』や『Google Earth』よりも明滅の激しいアクションゲームを遊ぶだろう。

そうなれば、目を動かすことによるエクササイズ効果よりも画面を見続けることによる悪影響が大きくなるかもしれない。

斜視の治療にVR

誰でもVRで目を良くできるわけではないが、左右の目に異なる映像を見せて立体感を与えるというVRの特徴を活かして斜視の治療に役立てようとしている企業がある。

Vivid Vision

2013年に設立されたVivid Vision(Diplopiaから社名変更)がそうだ。

かつて複視(ものが二重に見えてしまうこと)を意味するDiplopiaという社名だったVivid Visionは、5月に220万ドル(2.4億円)の資金を集めてVRを使った治療を95のアイクリニックに拡大している。

設立者のJames Blahaは、自分自身の目の状態を治療するためにVRゲームを開発し、その後Vivid Visionを立ち上げたという。

彼には効果があったようだが、他の人にも同社のアプリは有効なのだろうか?

研究結果

17人の被験者を対象とする予備的な研究ではあるが、被験者の一部は両目で本が読みやすくなり、ものを立体的に捉えることができるようになったという。

Vivid Visionによれば、17人の中で実験前に両目での立体視ができたのは半数以下だった。しかし、実験後には9割が奥行きを知覚できるようになっていたという。

アプリの仕組み

人には利き手があるのと同様に利き目があり、どちらかの目を中心に使って世界を見ている。

左右の目を協調させるのが苦手な斜視の場合には利き目とそうでない目の差が大きく、そのために視力も低くなってしまっている。

VRでは左右の目に異なる映像を見せるのが一般的なので、Vivid Visionはその特長を治療に応用しているのだ。

患者にとって利き目となる側への刺激を徐々に少なくし、普段はあまり使っていない目を積極的に使うように患者を訓練する。

VR以外でも片目を隠したり、片目の視界をぼやけさせることで他方の目を使わせる治療が行われているので、これらの発展系と言えそうだ。

Vivid VisionはVRゲームとこうした治療の方法を組み合わせたことで、患者が治療に対するモチベーションを維持する助けとしている。

 

誰にでも効果があるわけではない(元々斜視・弱視ではない患者には意味がない)が、VRゲームを使った治療によって視力を回復させる可能性を感じさせる研究結果だ。

個人で購入できるアプリではなく提供するクリニックで治療を受ける必要があるので日本ではすぐに利用できないが、こうしたVRを使った治療を取り入れるクリニックも増えるかもしれない。

 

参照元サイト名:Road To VR
URL:https://www.roadtovr.com/vivid-vision-amblyopia-vr-treatment-efficacy-study/

参照元サイト名:Vivid Vision
URL:https://www.seevividly.com/

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。