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慈善事業への支援を求めて利用されるVR動画

手術を受けられることが決まった少女の笑顔
手術を受けられることが決まった少女の笑顔

慈善団体への支援が笑顔を増やすために使われる

一般の人にとって、12月は忙しい。今年のうちに片付けなければならない書類は少なくないし、来年に向けてやっておきたいこともある。

慈善団体にとっても、この時期は非常に重要だ。その年の利益をまとめることで他者を支援しても良いという気持ちになる人が増えるのか、ホリデーがそうさせるのか、一年の中でも特に寄付が増えるシーズンだからだ。どのような理由であれ、支援を求める慈善団体が特に力を入れたくなる時期であることは間違いない。

団体によっては、通常の2D映像以上に視聴者の共感を高める効果のあるVR映像を使って寄付を募っているところもある。従来の映像に比べて制作が難しくプラットフォームによっては視聴可能なユーザも少ないという欠点はあるが、効果には期待の持てる手法だ。来年には1億7千万人がVRユーザになるとも言われており、対象となる視聴者も増えている。

VRで寄付を促す

象を密猟者から守るレンジャー

知らない世界を身近に感じるために使えるVR動画

VR動画・360度動画の持つ共感を呼び起こす力については否定的な意見も出されている。寄付は本人の善意によって行われるべきであり、無理やり共感を作り出してお金を出させるのはたとえ慈善事業が目的であっても好ましいことではない。

資金を集める新しいメディア

VR映像によって引き起こされる共感についてはまだ研究が必要だが、VR映像にはあって2Dの映像にはない何かの力が存在することは360度動画をVRヘッドセットで体験したことがあれば誰でも知っているはずだ。

遠く離れた国で貧困や紛争に苦しむ人がいることを誰もが知識としては知っている。しかし、彼らを救うために日頃から活動しているという人はほとんどいないだろう。情報だけで実感が伴わないため、あえてお金を出したり、運動に参加したりといった行動には繋がりにくい。

VR映像でその実情を伝えることができれば、彼らの行動を促すことが可能だ。Facebookのレポートによれば、VRでチャリティーコンテンツを視聴したユーザの48%が寄付を行う傾向にあるという。これは、他のメディア(本や2Dのドキュメンタリー映像)に触れた場合よりも高い割合だ。

ニールセンの調査では、VR映像の視聴後に寄付をしようという意向が高まったと答えた被験者48%に対し、VRではない映像の場合は10%ほど少ない37%にとどまったという。

寄付を行う人が2倍に

気持ちだけでなく実際の寄附金額に影響した例としては、ユニセフの会議でも上映されたVR映像を挙げることができる。シリアの難民キャンプに暮らす12歳の少女を取り上げたその作品は、彼らが4,228億円(38億ドル)もの寄付を集める助けとなった。

この映像の視聴者は、6人に1人が寄付を行ったという。ユニセフでは通常12人に1人しか寄付を行わないところ、2倍の寄付率を獲得したのだ。VRをチャリティに活用することで、実際に支援を行う人を増やすことに成功した事例である。

本人の視点を体験する

VR映像ではなく2Dの映像でも、人間は共感することができる。それは、映像を見ることで登場人物の気持ちや感覚を想像する力を持っているからだ。

だが、それはあくまでも想像である。性別、世代、宗教といった要素が異なる人がどう思っているのかを想像するのは難しく、ときには全くの勘違いをしているということもあるかもしれない。

近い距離からの体験

360度映像の優れた特徴は、視聴者がその場にいるような臨場感を与えてくれることだ。自分の意思で見る方向を変えることができるので、ただディスプレイを通して見ているのではなく現場にいるような感覚が得られる。

決められた映像を見せられる2Dのドキュメンタリー番組と比べると、360度映像を使ったドキュメンタリーの方が共感しやすいと感じられるだろう。

ゼロ距離からの体験

VR映像では、さらに距離を詰めてその場にいる本人の視点を体験することが可能になる。「カメラ」の視点ではなく、その場にいる人物の一人になったような感覚で現実と接することができるのだ。

この距離の近さは、自分と異なるバックグラウンドを持つ人の感覚を理解するときに大きな助けとなる。自閉症に伴う感覚の過敏や、特定の色が見えない色覚異常の人がどういった世界を見ているかを想像するのは難しい。VRを使えば、擬似的なものながら彼らの感覚を体験することが可能だ。

自分がその状況に置かれたような体験をすることで、そうした人を支援したいという気持ちは強くなるはずだ。

 

VR映像が人間に与える影響については不明な点も多いが、どういったコンテンツがより共感を集められるのかについての研究も進められている。実際に寄付を行う人が増えるという効果も出ているので、この技術をチャリティに活用する団体はさらに増えていくだろう。

今年のホリデーシーズンには、例年よりも多くの人が寄付を行うことになるかもしれない。

 

参照元サイト:Fortune

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