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シンガポールでは幼稚園教諭の養成にVRが使われている

2017/09/04 15:55

海外メディアThe Strait Timesは、シンガポールで幼稚園教諭養成にVRが活用されていることを紹介した。

VRで危険な状況を体験する

教育大国として知られるシンガポールでは、昨年から幼稚園教諭を養成する過程でVRを活用することを導入した。

同国の幼稚園教諭は、2年間の養成期間のうち最後の半年間インターンシップとして、実際に幼稚園の現場に配属される。昨年から導入されたVR養成カリキュラムは、インターンシップを控えた幼稚園教諭研修生がバーチャルな環境で幼稚園の現場を体験できる、というもの。

同カリキュラムにはOculus Riftが使われおり、バーチャルな環境としては幼稚園の運動場と2種類の教室、そして2種類のトイレ(おそらくは男児用と女児用)が用意されている。

実際のVR研修は、5年以上の養成経験をもつ指導教官がVRヘッドセットを着用した研修生に対して、それぞれの環境における危険物への注意を促すという内容で行われる。例えば、バーチャルな教室であれば、幼稚園児のケガにつながるようなモノが放置されていないか、あるいは誤飲の原因になるものはないか、というような幼稚園特有の危機管理意識を養うのだ。

指導教官であるVinothini Mariappan女史は、同VRカリキュラムを活用してみて、以下のようにコメントしている。

今から5年前、わたしは地方の保育センターで教諭の怠慢から発生した事故事例を読みました。

このVRカリキュラムは、研修生が実際にインターンシップで現場に行く前に安全に対する意識を高め、その後優秀な幼稚園教諭になることを手助けしてくれるでしょう。

同女史が言うように、シンガポールでは2013年に幼稚園の教室においてあったコーヒーカップをしまい忘れたことが原因で、9か月の子供がケガをした事故が発生している。

以上のようなVRカリキュラムには、リアルな現場に入る前に「バーチャルな現場体験」を積むことによって、未然に事故を防止する効果が期待できる。同様の効果は、例えば教科書を使った座学では得られないだろう。同VRカリキュラムは、まさに「リアルな」バーチャル体験を可能とするVRの特徴を生かしたものなのだ。

VR研修の導入事例

リアルな状況をバーチャルに体験できるVRを活用した「VR研修」の事例は、本記事の事例のほかにも本メディアでは多数紹介している。

Walmart

アメリカ小売大手Walmartが導入したトレーニング用のVRコンテンツでは、360度の映像が使用される。研修生はこの映像を見ながら店舗で起こり得る様々な出来事を追体験し、随所に挟まれる選択肢を選んでいくことになるようだ。

コンテンツには、顧客サービスに関連するもの、管理業務に関連するもの、季節のイベント(ブラック・フライデーにVRデバイスが多く売れる、夏季休暇のシーズンにアウトドアグッズが多く売れるなど)に結び付けられるものが含まれると言われている。

ただし、こうしたVRによるトレーニングは従来の伝統的な教育方法を置き換えてしまうものではないようだ。一回のVRトレーニングの長さは30秒から5分程度とされており、従来の方法を補うような形で使用されるという。

NFLによる審判のVRトレーニング

NFLの審判

NFLの審判

アメリカン・フットボールリーグであるNFL(ナショナルフットボールリーグ)は、2017年のシーズンに向けた審判のトレーニングから、StriVRのトレーニングツールを導入している。

同リーグでは、以前は審判のトレーニング方法としてビデオを使っていた。実際に審判として試合に参加するのがベストではあるが、リアルな試合の中で審判がトレーニングを積める機会は限られている。それを補うために使われていたのがビデオだったのだ。

しかし、2Dのビデオと本物の試合は違う。ディスプレイに映る範囲は限られているが、試合中は前だけでなくあらゆる方向に注意を払わなければならない。

新たに取り入れられたVRトレーニングは、この点でビデオに勝っている。VRヘッドセットを使うことで、フィールドに居るのと同様に360度で展開される映像を見ることができる。

このVRトレーニングを受けた体験者からの評判は上々で、特に若い世代からは新しいトレーニングを支持する声が上がっているという。

Volkswagen

ドイツに拠点を置く有名な自動車メーカー、フォルクスワーゲン(Volkswagen)グループは、2017年7月VRトレーニングを世界規模で展開していくことを発表した。

同社のVRトレーニングアプリでは、世界中のユーザーがオンラインで同じVR空間に集まり、共同作業することができる。VR上でバーチャルなツールを使って車を組み立てる練習をするときには、HTC Viveのワンドコントローラーが道具の役割を果たす。

ちなみに、同社はARトレーニングの採用についても前向き、とのこと。

以上のようにVRを活用した研修あるいはトレーニングは多様な分野で世界的に採用されている。こうした研修現場におけるビデオ教材からVRコンテンツへの移行は、おそらくは不可避なトレンドではなかろうか。

シンガポールで幼稚園教諭養成にVRが活用されていることを紹介したThe Strait Timesの記事
http://www.straitstimes.com/singapore/education/making-pre-school-spaces-safe-using-vr

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