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VR技術は未来の社員研修ツールとなる

2017/09/18 14:21

配送業者のUPSでは、今月からドライバーのためのVRトレーニングが行われる。小売チェーンのウォルマートは今年中に全てのトレーニングセンターにVRトレーニングを拡大する。VRは従業員のトレーニングに有効だと考えられており、こうした利用例はさらに増えていきそうだ。

VRで運転を練習

VRで運転を練習

VR技術は幅広い分野で利用されるポテンシャルを持っている。将来的にはさらにその用途が拡大していくはずだが、現時点で採用が進んでいる利用法としてはバーチャル空間でのシミュレーションを使った業務トレーニングが挙げられる。

自動車の運転、顧客や患者との会話、大型設備のコントロールまで、VR技術を使うことでリアルな環境でのトレーニングが低コストで行える。VRがより一般的な存在になれば、新しい仕事を始めるときにはまずバーチャル空間で練習してから、というのが当たり前になるかもしれない。

VRでトレーニング

VRを使ったトレーニングはまだどこの職場でも見られるほど普及していないが、既にこの技術を従業員の研修に取り入れ始めている企業は多い。

大企業であれば研修を受けさせる従業員の数が多いのでVRを使うことで削減できるコストも大きくなり、VRコンテンツを開発するのに必要なコストを回収するのが用意になる。一方で、規模の小さな企業では指導役を務められる従業員の少なさを補える。それぞれのスケールによって仕組みは異なるが、VRの採用によって何らかのメリットが得られるのだ。

配送ドライバーのトレーニング

宅配業者のUPSでは今月、ドライバーの教育のためにVR技術の利用を始めるという。道路上の危険を発見・識別する能力を養うために9つのトレーニングセンターでVRトレーニングが採用される。

UPSでは、HTC Viveを使ったVRトレーニングモジュールを開発した。ユーザはVR上で、歩行者や路上に駐車された自動車、対向車といった潜在的な危険を見つけ出さなくてはならない。

これまでにもビデオや教本を使って同様のトレーニングは行われてきたが、知識として危険の兆候を教えるのとVR空間で危険を体験させるのでは全く臨場感の強さが異なる。とてもリアルなグラフィックによって、現実に近い環境でのトレーニングが行える。

このトレーニングは従来のトレーニングを置き換えるようなものではないが、それを補完する存在になる。道路上で出会うことがある危険について学んだ後でVRを使って体験すれば、理解を深めることに繋がるはずだ。

小売店店員のトレーニング

道路で自動車を運転する場合と違って危険はないが、顧客と直接やり取りする方法を学ぶには相手が必要だ。同僚や研修会社の教師を相手にしたロールプレイよりもリアルな環境で対応を学ぶ方法として、VRは有効だと考えられている。

この分野でVRの採用を決めている企業としては、大手小売チェーンのウォルマートが挙げられる。ウォルマートは6月時点で30箇所のトレーニングセンターにVR設備を導入していたが、年末までには200箇所全てのトレーニングセンターでVRトレーニングを受けられるようにする予定だ。

ウォルマートのVRトレーニングもこれまでの研修に代わるものではなく、むしろそれをサポートするものとして位置づけられている。一つ一つのVR体験は短く、各シーンごとにどういった対応をすべきかを選んでいくようなシステムだという。

VR環境で体験しておけば、業務中に自分が取った行動がどういった影響を持つのかを知ることができる。

現場に慣れるトレーニング

サンフランシスコの建設会社Bechtelでも、従業員のトレーニングにVRを取り入れているという。同社はウェアラブルテクノロジー企業のHuman Condition Safety(HCS)と提携しており、現場の安全性を高めて事故を防ぎ、より楽しいトレーニングプログラムを作ることに努めている。

HCSのCOO、Chris Bunkによれば既に4つのVRコンテンツが作られている。さらに、今後も一月半に1本程度のペースで新しいVRコンテンツを追加していく予定だ。トレーニングの内容は、現場での危険に気づくためのもの、高所作業に慣れるためのもの、フォークリフトの運転を体験するものなどがあるという。

初めて高所で梁の上に乗ると想像以上の高さを感じるものだが、VRで事前にトレーニングをすることで高さに慣れる時間を与えられるという。VRならば安全に鉄骨渡りを体験することもできるので、練習しておけばいざというときに役に立つかもしれない。

下水道の整備を行う企業でも、過酷な下水管の環境を新入社員に伝えるためにVRが使われているという。特殊な環境で働かなければならないときには、事前の心構えのためにVRが有効になるようだ。

体験の価値

牧場

自然の中の牧場

知識や情報は自宅から出なくても得られるが、体験するためにはその場に行かなくてはならない。休暇を利用して自然のある地域を訪れる人は多いし、伝統工芸の体験教室なども人気のアクティビティとなっている。

企業のメリット

業務についてもその場に行って実際に体験するのが一番だが、業務内容や現場によっては危険だったり、コストが大きかったりする。そうした事業を行う企業にとって、VRを使ったトレーニングや体験は低コストで従業員に現場を知ってもらえる方法になるはずだ。

下水道の整備を行うLanes Utilitiesの場合、まず社員の研修を行ってから実際の現場に彼らを連れて行くという方法を取っていた。何の研修も受けていない社員を連れて行っても役に立たないどころか、周囲の作業を邪魔してしまうことすら考えられるからだ。

だが、せっかくトレーニングを受けさせても現場に行くと仕事が嫌になってしまう社員も多かったという。事前にVR技術を使って現場の過酷さを伝えることができれば、合わない社員をあらかじめ減らせるだろう。

従業員のメリット

これは従業員にとっても良いことだ。

通常は業務内容を判断して自分に合いそうな企業に就職することになるが、実際にその企業の人々が働いている現場を事前に体験するのは難しい。一般の商業施設や病院ならば顧客・患者として入ることも可能だが、裏側は見られない。下水道や発電所のような施設であれば、個人が入れる機会はほとんどないだろう。

VRでの体験は、そうした環境が自分に耐えられそうかどうかを判断する参考になる。VRで再現しにくい要素(臭いや温度)もあるが、それでも没入感の高い映像は役に立つはずだ。

 

事前に危険を見つけ、対処する練習をしておかないと運転や機械の操作で自分や周囲の人を危険に晒してしまう可能性がある。一般の人が入れないような現場で働く職業も数多い。

VRならば安全に機械の操作を練習し、立入禁止の場所を体験できる。職業の選択や運転の練習といった分野では、今後VRの採用がさらに進むだろう。

 

参照元サイト名:Biz Tech
URL:https://biztechmagazine.com/article/2017/09/vr-future-employee-training

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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