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VR広告のデファクトスタンダードへ! リアルを拡張する広告を目指すVRizeに迫る [前編]

日本ではエンターテイメントのイメージが強いVRですが、海外ではVR広告などビジネスサイドのVR領域にも注目が集まっています。

既に海外では高い効果が得られたというレポートが公開された話も耳にしますが、日本だと"VR広告"というキーワード自体聞きなれない、そんな状況の中、昨年8月にいち早くVRでの広告ネットワーク事業に参入を表明したのが株式会社VRize

なぜ、このタイミングで参入を決めたのか、またVR広告ネットワーク事業に関する今後の展望などを株式会社VRize 代表取締役 正田 英之氏とアドバイザーとして参画されている彌野 泰弘氏に伺ってきた。

PROFILE

左:VRize代表取締役 正田氏 右:アドバイザー 彌野氏

左:VRize代表取締役 正田氏 右:アドバイザー 彌野氏

代表取締役兼CEO 正田 英之氏

慶應義塾大学在学中に複数のベンチャー企業でインターンシップを経験後、株式会社グローランス創業。

Webサイト制作やマーケティング支援などの事業を立ち上げ、2013年7月、株式会社10sec創業し、累計2億円弱の資金調達を行い、アメリカでInstagramを活用したeコマースサービスを立ち上げる。

2016年2月 株式会社VRizeを創業し、Incubate Camp5th入賞、サイバーエージェント主催スタートアップ版あした会議優勝。

彌野 泰弘氏

P&G社にてブランドマーケティングを、日本・シンガポール・スイスなどで約9年間に渡って担当し、多国籍なチームメンバーと共にマーケティング戦略の策定、および実行の指揮を取る。

2012年1月にDeNAに入社し、執行役員 マーケティング本部 本部長として、主力のモバイルゲーム事業、EC事業、新規事業において、パフォーマンスフォーカスのテレビCM、デジタルマーケティング、戦略PRなどのクロスメディアの360°統合マーケティングを推進。

企業ロゴの変更が伴ったDeNA社のコーポレートブランディングの刷新や、横浜DeNAベイスターズ・DeNAランニングクラブ等のスポーツマーケティングも含め、全社のマーケティング活動を統括。

2015年4月に株式会社Bloom&Co.を設立し、ナショナルクライアントからシードからレイターといったスタートアップ企業まで、マーケティング戦略やブランディング戦略の策定および実行を支援。

KDDI ∞ Labo社外アドバイザー、株式会社VRize アドバイザーも務める。

 

VR時代の広告フォーマット

--- まず、VR市場が立ち上がったばかりの今、なぜVR広告市場に参入を決意されたのか、お教えください。

正田氏:そもそもスマートフォン市場でも、マネタイズの手段は大きく2つで、広告と課金です。現状VR市場は課金しかない状態で、広告がないのはVRでアプリを作るデベロッパーにとって機会損失が大きいと思っており、いち早くもう一つのマネタイズを提供する必要性を感じました。

勿論、VR市場自体がまだ立ち上がったばかりですので、VR広告市場が立ち上がるのはもう少し先だと思います。ただ、将来的には大きな市場になると考えており、例えばスマホアプリで言うとおおよそグローバルで見た時、課金と広告が1:1ぐらいの市場規模になっています。

VR市場が1:1程度の比率になるかは分かりませんが、モバイルVR市場に関しては近い比率になると考えており、2020年頃には国内だけでも数十億後半~数百億円前半程度の市場規模になるのではと予想しています。

だからこそ、先行者優位を取ろうと思い、今の段階で参入を決めました。

 

--- 現在、提供されている広告フォーマットはどのようなものでしょうか。

正田氏:現状はVR空間とは切り離した広告フォーマットであり、例えばゲームをクリアしたタイミングで一面全てに広告が表示されたり、Youtubeのように動画が始まる前に広告が表示されるというものなのですが、まだ違和感のある形式だと感じています。

例えば、ウェブやスマホだとネイティブ広告と言われる、コンテンツに馴染むような広告フォーマットが普及していると思いますが、VRでも空間にいかに馴染ませるかという点が重要になってくると思っており、現在そのような新しい広告フォーマットを開発しています。

 

--- 新しいフォーマットというのは具体的には、どのようなイメージでしょうか?

正田氏:例を出すと「龍が如く」ってゲームあるじゃないですか?新宿を舞台にしたゲームですが、一部街の看板などが広告になっています。

これはユーザにとっては、特に邪魔には感じないですし、そこでパブリッシャーが広告でマネタイズしても特に気にならないですよね。

同じようにVR空間に馴染む広告が出せれば、ユーザや広告主、ひいてはパブリッシャーにとってもハッピーだと思うので、そういう馴染む広告フォーマットというものを開発中です。

 

テキスト→ビジュアル→動画と来て、次は"VR"の時代

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--- なるほど、ありがとうございます。彌野さんはアドバイザーとしてVRizeに携わっていると思いますが、どのような点に将来性を感じたのでしょうか?

彌野氏:私は元々、テクノロジー業界ではなく消費財メーカーでマーケティングをやっていたので、出所は全く違うのですが、1つは正田くんのエネルギーですね。

初めて話した時は、そもそもプロダクトがあった訳ではなかったので(笑)。最初はプロダクトの将来性よりは正田くんの考えに共感したというのが一つです。

プロダクトが出来てからは、VRがマーケティングの観点から魅力的だと思ったからです。

私はマーケティングをかれこれ15年ほどやっていますが、詰まるところマーケティングの本質とは、エンドユーザが何らかの意識変化を促し、行動を起こしてもらうことです。その時の刺激の伝達形式って何パターンしかなくて、今だとテキスト・ビジュアル・動画の3つに集約されます。この先にあるフォーマットがVRだと思っています。

テキストは内容の理解、ビジュアルは内容理解+世界観の理解を促せる。動画はさらに+αの要素として因果関係や流れが伝えられる。

今まさにこの1~2年で動画がブームになっていますが、その理由は私が思うに "疑似体験ができる" という点だと思っています。

だからこそ、動画がテキストやビジュアルに比べ、コンバージョンが高まりやすく、ブランドを育てる上でも有効だと言われていますが、とは言えまだまだ画面の中。

これがVRになると"リアルな疑似体験"ができるようになるので、圧倒的に理解度が違うと思います。

広告の役割は大きく分けて、「リーチ」「コンバージョン」「ブランディング」の3点になると思いますが、VRはリーチというよりはコンバージョンやブランド理解を目指すものになると思います。

私は様々な企業のマーケティング戦略などのアドバイザリをやらせて頂いていますが、どういうメディアを使うかというのは、一時的に流行っているものを使うべきではなくて、テキスト・ビジュアル・動画それぞれにあったメディアの選択が重要で、今後はここにVRの方がいいという選択肢が入ってくると考えています。

また、別軸でお話すると最近では「モノからコトへ」と消費意識が変わりつつあり、モノがコモディティ化してきている中で、人々が、体験に対してお金を払う傾向にあります。

世の中の大きなトレンドがモノ消費からコト消費に変わっていく中で、「リアルな体験を擬似的に伝える」ことがテクノロジーの進化によってできるようなる。それがまさにVR広告の独自の価値だと考えています。

 

 

--- 確かにVRによって疑似体験をさせられるというのは、ユーザにとっても広告主にとっても大きな価値になるでしょうね。

彌野氏:そうですね。今、VRがPR的に多く使われていますが、それはVR自体が新しく、VRを体験したい層が一定数いるからです。しかし、2~3年後、VR自体はみんな経験済みで、その中のコンテンツがどういうものか?という戦いになってくると思います。

VRのスタートアップというと、時期尚早など皆さん判断が分かれると思いますが、ここ半年でもビジネスとしてのリアリティは随分上がってきていますし、広告サービスは先行者優位が非常に効きやすいと考えています。

そういう意味で言うと、VR市場ができ上がった際にVRizeが先行しているという状況を作りたいと思っています。

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Ryohei Watanabe


2012年よりスマホゲーム専門メディア「アプリ★ゲット」で記事執筆・編集・メディア運用・アライアンスなどを担当。

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