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ウォルマートが従業員のトレーニングにVRを大規模採用

2017/06/02 15:10

    世界的小売チェーンのウォルマートは、アメリカにある全てのトレーニングセンターでVRを取り入れることを予定している。スタートアップ企業STRIVRのトレーニングコンテンツを利用することが予定されているため、STRIVRに各業界の大企業からの注目が集まっているようだ。

    ウォルマートの看板

    ウォルマートは世界最大規模の小売チェーンだ。この小売業の巨人は、従業員のトレーニングにVRを全面活用する計画を立てている。

    ウォルマートがVRに力を入れていることは、前々から指摘されていた。VRとAIの開発を行うためのインキュベータをシリコンバレーに立ち上げるくらいの企業なので、従業員のトレーニングにVRを利用すること自体に意外性はない。

    だが、その規模は驚きかもしれない。アメリカ国内にある全てのトレーニングセンターにVRを使ったトレーニング設備を整えるという。

    アメリカには、ウォルマートが運営するトレーニングセンター「ウォルマートアカデミー」が200箇所もある。そこで教育を受ける従業員は年間15万人にもなるという。

    ウォルマートのトレーニング

    ウォルマートのロゴ

    毎日大勢の顧客とやり取りする小売業者にとって、重要なのは顧客サービスだ。VRを使ったトレーニングは、顧客サービスの向上にも寄与する可能性がある。

    トレーニングの内容

    ウォルマートは、VRトレーニングのために独自の設備を開発するわけではない。各ウォルマートアカデミーには高性能なゲーミングPCとOculus Riftが用意され、トレーニングコンテンツがインストールされる予定だ。

    独自開発を行う代わりに市販のVRヘッドセットであるOculus Riftを使うことで、設備への投資を抑えることができる。数カ所ではなく200もの施設に導入するので、その差はかなり大きな金額になるだろう。

    トレーニング用のVRコンテンツでは、360度の映像が使用される。研修生はこの映像を見ながら店舗で起こり得る様々な出来事を追体験し、随所に挟まれる選択肢を選んでいくことになるようだ。

    コンテンツには、顧客サービスに関連するもの、管理業務に関連するもの、季節のイベント(ブラック・フライデーにVRデバイスが多く売れる、夏季休暇のシーズンにアウトドアグッズが多く売れるなど)に結び付けられるものが含まれると言われている。

    ただし、こうしたVRによるトレーニングは従来の伝統的な教育方法を置き換えてしまうものではないようだ。一回のVRトレーニングの長さは30秒から5分程度とされており、従来の方法を補うような形で使用されるという。

    店舗での出来事をVRで体験した上で適切な対処を学んだり、対処法を先に学んでから実践としてVRでの体験に挑戦することになるのだろう。

    VRを使ったトレーニング

    ラグビーのトレーニングにもVR

    VRはスポーツのトレーニングにも有効だ

    ウォルマートの従業員が使用するトレーニング用のVRコンテンツを制作するのは、STRIVR研究所だ。STRIVRはウォルマートの他にも企業の研修やスポーツチームのトレーニングに使われるVRコンテンツの制作を行っている。

    スポーツのトレーニングにVR

    従業員の研修を行うのに、VRを使うのが有効であることは予想できる。現実さながらのVRコンテンツを使って事前に練習を行えば、どう行動すべきか悩んでしまうような難しい場面でも適切に振る舞うことができるようになるだろう。

    難しい場面に対処するためのアプリとしては、患者とのコミュニケーションを練習できる医療者向けのアプリケーションなども開発されている。

    スポーツ選手にとっても、VRを使ったトレーニングは有効だ。フリースローのフォームを改善するためにVRを利用したり、試合中の判断スピードを上げるためにVRを利用したりといった例がある。

    実際に、STRIVRのVRトレーニングコンテンツを利用するようになって成績を上げている選手もいる。「素早い意思決定が必要な場面に直面した場合の判断にかかる時間が短くなる」という調査結果も出ているのだ。

    多くのスポーツチームがVRを取り入れ始めている。スポーツにおけるVRの利用は、もはや360度ライブストリーミングだけではない。

    STRIVRとウォルマート

    STRIVRは急成長中のスタートアップ企業だ。ウォルマートとの契約ではまだ一部のトレーニングセンターで試験的にVRトレーニングを取り入れた段階だが、数ヶ月後には同社にとって過去最大の契約が結ばれることになるだろう。

    あのウォルマートがトレーニングに取り入れるVRコンテンツを作る企業ということで、STRIVRは世界中の他の大企業からも注目を集めている。大手自動車メーカーなども顧客になる可能性があるようだ。

    同社のサイトでは小売業だけでなくエネルギー、金融、製造といった業種に向けたコンテンツの提供も可能としており、あらゆる業界にビジネスの場を広げることが考えられる。

    ウォルマートのVRトレーニングが成功すれば、世界の大企業がこぞってVRを研修施設に導入するようになるだろう。STRIVRも、さらに大きく成長しそうだ。

     

    参照元サイト名:Tech Crunch
    URL:https://techcrunch.com/2017/05/31/walmart-is-bringing-vr-instruction-to-all-of-its-u-s-training-centers/

    参照元サイト名:STRIVR Labs
    URL:http://strivrlabs.com/corporate-training/

    ohiwa


    ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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