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Oculus Riftはなぜ新型MacOSに非対応なのか?

2018/09/11 12:06

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    海外メディアRoad to VRは、Oculus RiftがMacOSのサポート外であることの理由をさぐる考察記事を掲載した。




    Apple、ついにMacOSを「VR Ready」に

    2017年6月5日から9日に開催されているApple主催の開発者会議「WWDC」では、本メディアでも報じたように、ついにMacOSが「VR Ready」となることが発表された。

    その発表をおさらいすると、以下のようになる。

    • VIVEとOculus Riftの両VRヘッドセットに実装されているVRシステムSteam VRのMacOS版をリリース
    • 新MacOS「High Sierra」に最新グラフィック機能「Metal 2」が実装されることにより、VRコンテンツの開発が可能
    • ゲームエンジン・メーカーのUnityとEpic GamesがそれぞれMac対応VRコンテンツ開発環境を提供
    • 新型iMac ProがMac史上初の「VR Ready PC」としてリリースされる。ちなみに価格は$4,999(約55万円)。

    同イベントでは、Macを使ったVIVEのデモンストレーションも行われた。ちなみに、デモで披露されたVRコンテンツは映画「スター・ウォーズ」シリーズの特殊効果を制制作しているILM社がUnrealエンジンで開発したスター・ウォーズ関連コンテンツだ(下の動画参照)。

    Oculus RiftとMacのこれまで

    だがしかし、同イベントではMacのVIVE対応は発表されても、Oculus Riftの対応は発表されなかった。

    実のところ、Oculus Riftは開発版バージョン1およびバージョン2(DK1とDK2と呼ばれる)においてはMacOS(当時の呼び方はMAC OS X)に対応していたのだ。

    ところが、Oculus Rift製品版(CV1)がリリースされる前年の2015年、同VRヘッドセットを開発するOculus社はMac(とLinux)への対応を一時停止した。この決定を下した理由は、Macが同VRヘッドセットを動かすためのミニマムスペック要件を満たしていなかったから、とのことだった。

    もっとも、将来的なMac対応に関しては否定しておらず、「いつかMac(とLinux)に対応する予定はあるが、それがいつかは決めていない」と述べていた。



    Oculus RiftとMacのこれから

    WWDC 2017以前は、VIVEとOculus RiftはともにWindows PCのみに対応していた。だが今ではVIVEはMacでも使えるようになった。Oculus RiftもMac対応になっても不思議はないはずである。では、なぜ対応しないのか。その背景を探ってみよう。

    新型MacOSはOculusミニマムスペック要件をクリアしている?

    まずはじめに浮かぶ疑問が、「新型MacはOculus Riftのミニマムスペック要件を満たしているのか」というものである。

    この疑問に対しては、「新型MacでOculus Riftは動くはずだ」と答えることができる。というのも、Mac版Steam VRが存在すること、グラフィック機能が強化されたこと、何よりほぼ同スペックのライバル・デバイスのVIVEが新型Macで動作することから、技術的には何の障害がないと推測できるのだ。

    海外メディアRoadtoVRは、この疑問を直接Oculus社に問い合わせてみた。すると、以下のような「ノーコメント」に等しいコメントを得た。

    私たちは、可能限り多くのユーザーにPCでのVR体験をお約束していたいと思っております。

    しかし、MacOSをサポートするかどうかに関しては、現時点ではお伝えできることはありません

    「Mac」使いのVRユーザーは最大でもPCユーザーの7.4%

    技術的な障害がないとすれば、ほかに理由があるはずだ。

    そうした理由として考えられるのは、「市場スケール上のメリットに乏しい」ことだ。MacはPC市場全体のわずか7.4%を占めているに過ぎない。こうした「超マイノリティ」に対応することはあまりメリットがない、と判断されても不思議ではない。

    とはいうものも、潜在的な「Mac VRユーザー」は飛びぬけた「マイノリティ」でもある。MacでVR体験をする場合には、VR ReadyなWindows PCに比べて超高額なハードウェアを入手しなければならない。またMacを使ってVRコンテンツを開発しようとするユーザーは、高額な開発環境を完備しているうえに、既存アプリ市場であるiOSアプリ開発において成功しているハイスキルかつリッチな「プレミアム」ユーザーに該当する可能性が高い。

    こうしたプレミアムユーザーをVIVEに総取りされるのは、Oculus陣営にとって無視できない損失のはずである。

    FacebookはAppleとの全面戦争勃発を回避か?

    技術的な障害がないにもかかわらずMacに対応しないのは、AppleとOculusの双方にとって「賢い判断」とは思われない。

    しかしながら、VR市場だけではなくAR市場にも目を向けた場合、AppleとOculus社を所有するFacebookとの対立という図式が浮かび上がってくる。

    本メディアでも報じたように、AppleはiOS対応AR機能開発キット「ARKit」を発表したことによって、モバイルAR市場においてFacebookとライバル関係となった。また、同社はARグラスを開発中のはもちろんのこと、VRヘッドセットに関しても何らかのプロジェクトを進めているという噂が絶えない。

    仮にAppleがOculus RiftのMac対応を実行した場合、同社とFacebookはモバイルAR市場に加えて、ハイエンドVRヘッドセット市場においても潜在的なライバル関係になることが考えられる。

    こうした事情から、おそらくはFacebookが現在のモバイルAR市場と将来的なハイエンドVRヘッドセット市場におけるAppleとの二正面戦争を避ける思惑から、Oculus RiftがMac非サポートになった、という推測が成立するのだ。こうした推測が成立するのは、もしも(現実とは反対に)FacebookがAppleに対して友好的であれば、すぐにでもOculus RiftのMac対応が実現するだろう、と考えられるからだ。

    以上の推測は考えすぎで、近日中にもOculus RiftのMac対応が発表される可能性は大いにある。だが、AppleのVR市場参入はインパクトの大きい出来事であるだけに、同市場の既存キープレイヤーが同社を警戒したとしても、何ら不可解な点はないだろう。

    Oculus RiftがMacOSのサポート外であることの理由をさぐるRoadtoVRの考察記事
    http://www.roadtovr.com/oculus-mum-rift-support-macos-wake-apples-vr-announcements/










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