VR Inside

VR/AR/MRの未来を創るビジネスニュースメディア

屋内ナビゲーションがARのキラーアプリになる?

2017/10/09 12:20

ARで空港内をナビゲーション
ARで空港内をナビゲーション

ARアプリがあれば空港で慌てることもなくなる?

スマートフォンに搭載されたGPSとマップアプリのおかげで、知らない土地を歩くのは以前よりもずいぶん簡単になった。全く知らない場所でも、GPSが正常に働いていればナビゲーション機能を使って目的地を目指すことができる。

しかし、マップアプリには苦手な場所もある。人工衛星を使って端末の位置を測定するGPSを利用しているので、地下や高い建物の影になる場所、あるいは屋内では現在地を特定できなくなったり、大きな誤差が生まれたりしてしまう。

GPSが使えない屋内でこれまでに利用されてきたナビゲーションシステムには開発コストが大きいという弱点があったが、AppleのARKitはこの問題を解消してくれるかもしれない。

屋内ナビゲーション

屋内ナビゲーションアプリの需要

広い屋外と違って、狭い場所ならば迷うことが少ないのでナビゲーションアプリは必要ない。屋内と屋外、どちらでよりナビゲーションアプリが必要になるかと言えば後者だ。

だが、建物の中であっても広い施設では迷ってしまうこともある。複数の搭乗口があって構造が似ている空港や、丸一日遊べる大型ショッピングモールなどがその例だ。何度も利用していれば地図を覚えることもできるが、初めて行く空港で飛行機の時間がギリギリであれば慌てて自分が向かうゲートを探すことになるだろう。

もちろん施設内の案内板を利用したり案内所の人に道を教えてもらうこともできるが、地図を見るのが苦手な人や道を尋ねるのが恥ずかしいという利用者もいるはずだ。屋内で使用できるナビゲーションアプリがあれば、案内図を見間違えて目的地にたどり着けないこともなくなるだろう。

ARアプリを導入した空港

この需要に応えて、スマートフォンアプリを使ってARで道案内をしてくれるシステムを導入した例も存在する。イギリスで最も利用者が多い空港の一つ、ロンドンのガトウィック空港では専用ARアプリと2,000個のBluetoothビーコンによって屋内でのナビゲーションが可能となっている。

構内のいたるところに設置されたBluetoothビーコンの電波を使って端末の位置を特定する仕組みだ。空港側のコメントによれば、GPSよりもはるかに信頼性の高い位置情報が得られるという。

ARによる道案内はもちろん、このシステムによって混雑している場所を把握することで利用者の流れを改善できるかもしれない。

屋内ナビゲーションの問題

AppleのARKit

ARKitが低コストのナビゲーションアプリ開発を可能にする

屋内でユーザを案内してくれるアプリは、方向音痴な旅行者や頻繁に初めての土地を訪れるビジネスマンにとってありがたい存在だ。ガトウィック空港だけでなく世界中の空港でARナビゲーションアプリが利用できるようになれば、フライト間際になって空港内を走ることも少なくなるだろう。

だが、こうした屋内ナビゲーションアプリにはある問題がつきまとう。

高額な開発・運用コスト

既に導入している施設が存在することから分かるように、現在の技術で屋内ナビゲーションアプリの開発は可能だ。だが、ガトウィック空港のナビゲーションシステムを開発したPointr LabsのCMOは屋内ナビゲーションがすぐに一般化する可能性は低いとしている。

Axel Katalanが指摘するのは、構築に非常に大きなコストがかかる点だ。

3Dのエキスパートが必要

Katalanによれば、こうしたナビゲーションアプリを開発するためには3Dに関する専門的な知識を持つデベロッパーが必要だ。彼らはMayaやBlenderといった3Dソフトウェアに精通していることが望ましい。

こうしたスキルの習得は困難であるだけでなく、需要も高い。3Dのエキスパートは、VRやARを含む3Dゲームの開発にも必要となるからだ。

ゲーム開発の方がお金になるのであれば、彼らはゲームを作るだろう。貴重な人材を獲得するには、それに見合った報酬を用意しなければならない。

設備投資が必要

ソフトウェアのデベロッパーに支払う報酬だけでなく、システムの導入と維持にも資金が必要だ。ガトウィック空港のシステムでは数千ものBluetoothビーコンが稼働しており、これらのメンテナンスが必要になる。

一つ一つは安価でも、一千個単位で用意するとなると無視できない金額になる。

ARKitの登場

この状況を変えるかもしれない技術として期待されているのが、AppleのARプラットフォームであるARKitだ。

これまでの屋内ナビゲーションシステムではスマートフォンのBluetooth機能を使ってビーコンとのやり取りを行っていたが、ARKitを使えばスマートフォンのカメラを使って周囲の環境を把握することが可能となる。さらにAR表示を作るのも従来より簡単になり、高度な知識が不要になる。

3Dの専門知識を持つエキスパートを雇わなくてもアプリの開発ができ、ビーコンを減らすこともできそうだ。

さらに、再利用しやすいこともポイントとなる。一度ARKitを使ったナビゲーションシステムを構築してしまえば、一部をカスタマイズして他の施設に流用しやすい。この特徴は、開発コストのさらなる削減に繋がるだろう。

 

ARKitはiOS端末でしか利用できないARプラットフォームだが、iPhoneは最も多く使われているスマートフォンの一つだ。また、Androidでは同様のARプラットフォームとしてARCoreが開発されている。

ARKitやARCoreの登場によって、屋内ナビゲーションが利用できる施設が増加するかもしれない。

 

参照元サイト:The Next Web


VR・AR・MRからVTuberまでXRに関連した最新情報を配信します。

最新ニュースを読む