VIVE Focus3まとめ!HTCのビジネス特化VRゴーグルとは?
2021/10/26 15:31
HTC社のスタンドアロンVRゴーグル「VIVE Focus3」は、高品質なVR体験ができるのが特徴。
ビジネス向けを中心に展開しているため一般敵なVRユーザーにあまり馴染みがありません。
この記事では「VIVE Focus3」とはどんなVRゴーグルなのか、どんなことに使えるのかについて紹介します。
【目 次】
VIVE Focus3とは?
VIVE Focus3はHTC社のスタンドアロンVRゴーグル「VIVE focus」シリーズの最新モデルです。
2021年5月に開催された「VIVECON 2021」においてVIVE Pro2とともに発表されました。
これまで法人向けに展開してきた「VIVE Focus」シリーズと同様に、VIVE Focus3はビジネスに特化したVRゴーグルとして展開しています。
競合するFacebookのOculusQuest2と同じチップセットを利用しているものの、
- ・5K解像度
- ・標準90Hzのリフレッシュレート
- ・装着しやすいデザイン
など性能は大きく上回っています。
VIVEの「Focus」シリーズとは?
画像:VIVE Focus
HTC社初のスタンドアロンVRゴーグルである初代VIVE Focusが登場したのは2017年11月のことです。
当時は一般消費者向けのVRゴーグルとして中国でのみ発売され、翌年には全世界でも発売されるようになりました。
2019年6月には後継機である「VIVE Focus Plus」がビジネス向けに発売されました。
画像:VIVE Focus Plus
そのためFocus Plusは商用利用を強く意識しており、オーソドックスなVRゴーグルだった初代Focusよりも
- ・軽量小型化
- ・高画質化(3K画質)
- ・特定アプリの使用に限定できる「キオスクモード」
など施設やイベントでの利用がしやすくなっています。
VIVE Focus3はビジネス用途の側面をさらに強化し、ボディー素材をプラスチックからマグネシウム合金を採用することでより軽く、頑丈になりました。
さらに、同時期に公開されたビジネス向けVRソリューション「VIVE Business」に最適化されています。
VIVE Focus3の特徴
VIVE Focus3の6つの特徴についてみていきましょう。
特徴1.利用が簡単にできるスタンドアロン型
「VIVE Focus3」の最大の特徴といえばスタンドアロン型VRゴーグルであることです。
VRゴーグル単独でVR体験ができて、PCとケーブルで接続する必要がないので簡単に利用することができます。
また、トラッキング方式も外部センサーではなく本体に搭載されたカメラセンサーを使うインサイドアウト方式なので、VR初心者でもすぐに取り扱うことが可能です。
さらに、頭と体の前後左右上下の動きを追跡する6DoFトラッキングが可能なため、しゃがんだりかがんだり、寝そべるような動きでもVR空間に反映させることができます。
特徴2.VRゴーグル最高レベルの5K解像度の画質
スタンドアロン型のVRゴーグルはPC用VRゴーグルと比べるとどうしても画質がやや落ちてしまいがちです。
ところが、VIVE Focus3は両眼4,896 x 2,448ピクセル (片眼2,448 x 2,448ピクセル )という5K相当の解像度を達成しています。
VIVEシリーズの最高級モデルVIVE Pro2の解像度(両眼4,896 x 2,448 ピクセル)と変わらないものであり、他社製品を含めた全VRゴーグルの中で最高クラスの画質です。
そのため、VRゴーグルを利用する場合にありがちなスクリーンドア現象もなく、ほとんど肉眼に近い見え方でVR世界を体験することができます。
また、リフレッシュレートも初代VIVE Proと同等の90Hzとなっており、滑らかな見え方を実現できるのも特徴です。
特徴3.高性能チップセットの力を最大限引き出す冷却構造
VIVE Focus3の高いグラフィック性能を実現するのはクアルコムのチップセット「Snapdragon XR2」です。
「Snapdragon XR2」ライバルのOculusQuest2にも採用されており、高性能チップセットとして広く知られています。
ただ、「Snapdragon XR2」は発熱しやすいともいわれており、長時間VRをプレイすると熱で動作が鈍くなるのが難点です。
そこで、VIVE Focus3はその性能を最大限引き出すべく強力な冷却ファンを内蔵しました。
VIVE Focus3を長時間駆動させても、発熱によるパフォーマンス低下を抑えることができます。
しかも、電動ファンを動かすときの音も比較的抑えられており、VRへの没入感を削ぐという心配もありません。
特徴4.疲れなく快適に利用できるデザイン
VIVE Focus3は他のFocusシリーズと比べてスマートな外観になりました。
しかし、デザインで変更されたのは見た目だけではなく、より快適に使えるようになった実用的な変化もあるのが特徴です。
VRゴーグルを長い時間連続して使用していると、VRゴーグルの重さで疲れを感じてしまいます。
そこで、VIVE Focus3はできるだけ疲れを感じさせないデザインを採用しました。
OculusQuestのようなマジックテープ式のヘッドバンドではなく、VIVE Pro2などと同じようなダイヤル固定方式をとっているので、大きく頭を動かしてもズレにくくなっています。
また、ダイヤルが搭載されている後頭部パッドにはバッテリーを収納する役割も果たしています。
スタンドアロンVRゴーグルの重量の多くを占めるバッテリーを後部に配置したことで、頭部にかかる重さが分散されるのが大きなメリットです。
重量が前方に集中しないので装着していて前に引っ張られる感覚がなく、首の負担が大きく軽減されました。
特徴5.使いやすく生まれ変わったコントローラー
「VIVE Focus3」のコントローラーは従来のVIVEコントローラーとは異なり、OculusQuestのTouchコントローラーととよく似たデザインです。
ただし、Touchコントローラーよりも大きくなっていて、本体内蔵のカメラセンサーで手の動きのトラッキングを行う時でも追跡を外れることがなくなりました。
サイズが大きくなったことでしっかり握りやすくなったため、コントローラーを落としたりすっぽ抜けたりといった事故も防ぐことができます。
また、コントローラーの電源が通常の乾電池ではなくUSB Type-Cを使う充電式となりました。
乾電池を大量に用意する必要がなくなり、コスパ良くVR体験をできるようになったのがメリットです。
特徴6.PCと接続してPCVRゴーグルとしても利用可能
VIVE Focus3はスタンドアロン型のVRゴーグルですがPCVR専用コンテンツを楽しむこともできます。
「VIVE Businessストリーミング」という機能を使ってPCと接続することで、OculusQuestの「Oculus Link」と同じようにPCVRゴーグルとして利用することができるからです。
この機能では
- ・USB Type-C 3.0ケーブルを使った有線接続
- ・Wi-Fiルーターを介した無線接続
の2種類で接続することができます。
無線接続の場合には、通常有線接続で体験していたPCVR用コンテンツをケーブルレスでプレイ可能です。
スタンドアロンVRゴーグルの自由度の高さを最大限活かしつつ、よりハイクオリティなVR体験ができるようになります。
VIVE Focus3で出来ること
VIVE Focus3は
- ビジネス
- ゲーム
- ソーシャル体験
- 動画視聴
- アート体験
といった用途で活用することができます。
1.ビジネス
「VIVE Focus3」は、ビジネス分野で活用することを念頭に作られたVRゴーグルです。
そのため、VIVE Focus Plusのように、
- ・特定アプリのみ利用できるキオスクモード
- ・専用プラットフォームから管理できる機能
などレジャー施設や展示会で活用できる機能が搭載されています。
HTCのビジネス向けVRプラットフォーム「VIVE Business」と連携することで、
- ・社員の研修や訓練
- ・ミーティング
- ・会社や施設の見学
- ・製品のデザイン確認
など大規模ビジネスだけでなく、中小規模のビジネスにもVRを簡単に導入することができるようになりました。
また、VR会議向けソーシャルアプリ「VIVE Sync」使えば、アバターを通じて会社の同僚や仕事仲間、クライアントとバーチャル空間でやりとりができます。
自宅にいながらにして会社、オフィスに出勤しているような感覚でリモート会議ができるのが特徴です。
現実の会議と同じように人と顔を合わせる感覚があるため、リモート会議で指摘される「オンライン疲れ」といった問題が起こりにくいというメリットがあります。
2.VRゲーム
VIVE Focus3はビジネス用途が中心ですが、VRゲームも楽しむことができます。
HTCのアプリプラットフォーム「VIVEPORT」が利用できるほか、PCと有線/無線接続して「Steam」のVRゲームをプレイできます。
VIVE Focus3は頭をガッチリホールドし、コントローラーもしっかり握ることができるので、
のような動きの激しいリズムゲームやフィットネスゲームにも向いています。
また、5K相当の高解像度を実現していることから、
・The Blu: Whale Encounter[VIVEPORT]
といった美しい世界観、独特の世界観を表現するVRゲームをより没入感高く楽しむのに最適です。
3.VR SNS
VIVE BusinessにはソーシャルアプリのVIVE Syncがあり、アバターを通じてVR空間でのリモート会議ができます。
それ以外にも、VIVEPORTの「VRChat」を利用すればもっとカジュアルなVRソーシャル体験が可能です。
5K解像度のディスプレイによりVRChatの
- ・アバター
- ・ワールド
が鮮やかに表現され、世界中のユーザーとリアリティと臨場感のある交流ができるようになりました。
4.VR動画
VIVEPORTを通してVRゲームの他にVR動画を楽しむことができます。
「VIVEPORT ビデオ」アプリをダウンロードすれば、パートナーメディアが製作したVR動画を視聴することが可能です。
その他にも、VIVEデバイスを使うクリエイターが撮影、製作したVR動画も配信されています。
世界最大の動画サイトYouTubeもブラウザから利用することが可能です。
YouTubeに投稿された世界中のクリエイターによる360度動画、VR動画を視聴することができます。
5.VRアート
これらの他にVIVE Focus3で体験できるものがVRアートです。
VIVEPORTの「VIVE Arts」では多数のVRアート作品を楽しめます。
VIVE Focus3の展示用コンテンツの一つでもあった、「Mona Lisa: Beyond the Glass」では名画「モナ・リザ」の時代背景や作者レオナルド・ダ・ヴィンチの解説などを学ぶ旅を高精細なVR空間で体験することができます。
また、HTCはVRアートの普及のため、VRアート展示会を開催していく方針を発表しました。
その第1弾として開催されたのが日本人アーティストシューヤマモト氏による「キャットアート」をVR世界で楽しめる「Step into CAT ART」バーチャル展です。
関連記事:猫派の皆さん集まれ!VIVEPORTで「キャットアート」バーチャル展示会が開催!
もちろん、VRアートを鑑賞するだけではなく、自分でもVRアート作品を制作することも可能です。
VIVE Focus3の5K解像度とスタンドアロンならではの自由度の高さを活かして
といったアートアプリで自分の創造性をVR空間で表現することを楽しめます。
VIVE Focus3に必要なものは?
VIVE Focus3を利用するために必要なものや初期設定の手順についてまとめました。
必要なもの
VIVE Focus3でVR体験をするために必要なものは、
- VIVE Focus3
- コントローラー
- スマホ
- VIVEマネージャーアプリ
の4つです。
VIVE Focus3はVRゴーグルさえあればVR体験ができるスタンドアロン型ですが、PCと接続してPCVRゴーグルとして利用することもできます。
ただし、その際には通常のPCではVIVE Focus3を動作させるにはスペック不足なので、グラボを搭載した「VR Ready」認証のある高性能なゲーミングPCやクリエイターPCが必要です。
VIVE Focus3の5K解像度という強みを活かすのであれば、できるだけ新しいPCを買うことをおすすめします。
VIVE Focus3の初期設定方法
VIVE Focus3を個人として設定する際のセットアップの手順をまとめました。
手順①VIVEマネージャーをスマホにインストール
個人でVIVE Focus3を利用するとき、
- ヘッドセットの設定や更新
- VR タイトルの閲覧・購入・管理
ができるVIVEマネージャーアプリを利用するのが最適です。
VIVEマネージャーはアプリストアから入手することができます。
手順②VIVEマネージャーにサインイン
スマホにVIVEマネージャーアプリをインストールしたら、次はアプリにサインインします。
すでにHTCアカウントを持っている場合はそのアカウントでサインイン可能です。
アカウントがない場合には新規アカウントを作成する必要があります。
手順③デバイス・コントローラーの設定
VIVEマネージャーにサインインした後はデバイスの設定です。
アプリ画面の「新規デバイスの設定」をタップ。
アプリにスマホとVIVE Focus3をペアリングするコードが表示されたら、ヘッドセットを装着します。
目の前の画面に同じコードが表示されたら、ヘッドセットボタンを押します。
その後、ヘッドセットを脱いで、アプリがWi-Fiの設定とコントローラのペアリングを行っているかをチェックしましょう。
手順④プレイエリア等の設定
上記が完了したら、もう一度VIVE Focus3を装着します。
画面の指示に従って、
- 音量の調整
- IPD の調整
- プレイエリアの設定
などを完了させていきます。
これで必要な設定は全て終わりました。
他のVIVEシリーズとの違いは?
VIVE Focus3をVIVEシリーズの中で際立たせているポイントは、なんと言ってもスタンドアロン型であるという点です。
現在VIVE Focus3と並んでシリーズの主力であるVIVE Pro2とVIVE Cosmosの2モデルはトラッキング方式の違いはあっても両方ともPCと接続して利用します。
そんな中にあってVIVE Focus3は、PCと接続しなくても最高峰クラスのVIVE Pro2と変わらない解像度という高いパフォーマンスを実現しました。
ここで、VIVEシリーズの各モデルの価格を比べてみると
- ・VIVE Focus3:130,900円(税込)
- ・VIVE Pro2(フルキット):178,990円(税込)
- ・VIVE Cosmos:98,870円(税込)
となっていて、大きな差がないように思われるかもしれません。
しかし、VIVE Focus3以外の2つはこの価格に高性能PCを用意するための予算がさらに必要になります。
そのため、PC不要のVIVE Focus3が最も安価にVR環境を用意できるということになるので、初めてVRに挑戦するという場合にはVIVE Focus3がおすすめです。
VIVE Focus3はどこで買える?
VIVE Focus3を購入する方法は
- ネット通販
- 実店舗
の2つがあります。
それぞれについてみていきましょう。
ネット通販の場合
ネット通販を利用する場合には、
から購入することができます。
実店舗の場合
実店舗ではVIVE Focus3の実機を確認できるのがメリットです。
VRゴーグルの着け心地やコントローラーの握り具合などを実際に触ってチェックすることができます。
- ・ヨドバシカメラ
- ・ビックカメラ
など正規販売店にて販売されています。
VIVE Foucs3概要
- ・ディスプレイ:デュアル2.88インチLCDパネル
- ・解像度:5K(両眼4896 x 2448ピクセル、片眼 2448 x 2448 ピクセル)
- ・リフレッシュレート:90Hz
- ・視野角:最大120度
- ・オーディオ:エコーキャンセル用デュアルマイク、特許取得済みの指向性スピーカー、プライバシーモード、Hi-Res認証済み3.5mmオーディオジャック
- ・入力:内蔵デュアルマイク、ヘッドセットボタン
- ・プロセッサー:Qualcomm® Snapdragon XR2
- ・ストレージ&メモリ:128 GB / 8 GB 最大2TBのmicroSDをサポート
- ・インターフェース:USB 3.2 Gen-1 Type-C ペリフェラルポート、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 + BLE
- ・センサー:トラッキングカメラ(4台)、Gセンサー、ジャイロスコープ、近接センサー
- ・IPD(瞳孔間距離):57mmから72mmに調整可能
- ・バッテリー:26.6Whバッテリー(取り外し・交換可能)
- ・トラッキング:VIVEインサイドアウトトラッキング(プレイエリア推奨最大10x10m)
- ・価格:130,900円(税込)
- ・WEB:VIVE公式サイト
コントローラー
- ・センサー:トリガーとグリップボタンに磁気センサー搭載、トリガー、ジョイスティック、サムレストエリアに静電センサー搭載、Gセンサー、ジャイロセンサー
- ・入力:エルゴノミックグリップボタン、アナログトリガーボタン、AB / XYボタン、システム / メニューボタン、ジョイスティック
- ・バッテリー:最大15時間のバッテリー寿命、内蔵リチャージャブルバッテリー(USB-Cにより充電)
まとめ
HTC社の「VIVE Focus3」は
- 5K解像度
- 視野角120度
- 標準90Hzのリフレッシュレート
という表現力を持ったスタンドアロンVRゴーグルです。
スタンドアロン型はもとより、PCVRゴーグルを含めてもトップレベルの性能を誇ります。
ビジネス向けVRゴーグルとして展開されているため、一般向け・個人向けのVRゴーグルとしては高級すぎる13万円という価格です。
ただし、高性能PCを用意することなく最高クラスのVR体験ができるという意味では、「コスパが良い」VRゴーグルと考えることも十分できます。
より上質のスタンドアロンVR体験を追求するVRユーザーには有力な選択肢となるはずです。
筋トレとVRを愛するライター。VRでマッスルを実現できないか現在思案中。