VRショッピング事例まとめ!買い物もVRでする時代到来!?
バーチャル空間に再現された仮想店舗で、現実と同じように商品を購入することができるVRショッピング。
これまでVRといえばゲームや動画などが中心でしたが、新型コロナ禍によって医療やビジネス分野などVRの新しい活用方法にもスポットライトが当たるようになっています。
そうした新しいVR活用法の代表例の一つがVRショッピングです。
ここではVRショッピングの事例を中心に紹介していきます。
進むVRショッピング!新しい買い物のあり方とは?
そもそもVRショピングとは、VR上の店舗で現実の買い物のように商品を手にとって質感や使用感を確かめながらショッピングを楽しむことができるものです。
VRヘッドセットを装着してショッピングスペースへ移動できるので、いつでもどこででも誰でも自由に買い物ができるというメリットがあります。
例えば、自宅にいながらにして実際に行くことは難しい海外の店舗に行ったり、体が不自由な人でも自由に買い物が可能です。
店員さんや他のお客さんもいないので、人目を気にせずにお気に入りの商品を見つけるために何度でも商品を試すこともできます。
店舗に出向かず店員と接触する機会を持たずにショッピングができるので、withコロナ時代にピッタリな新しいショッピングといわれています。
店舗側にもメリットが多いVRショッピング
このように消費者側にとってメリットが多いVRショッピングですが、それ以上に店舗側にとってもメリットが多いのも特徴です。
第一に、実店舗が必要ないため在庫を確保しておく必要がなく、賃料や光熱費、人件費などの固定費がかからずに店舗を運用することができます。
バーチャル空間に店舗を置くため物理的・地理的な制約からも自由となり、国内のみならず国外からも集客が見込めます。
また、同じくオンラインで運営するECサイトとは異なり、VR空間上で商品を一度使ってもらうため、購入意欲が喚起しやすいのも大きなメリットです。
さらに、店舗での買い物と同じような予期しない商品との出会いもしてもらえるので、より大きな売り上げが期待できます。
VRショッピング事例10選!
以上のように、VRショッピングは買い物客と店舗の両方にとってメリットが多いため、国内外のショッピングサービスでVRを活用する例が増えています。
多数の事例から特に代表的な10例についてまとめました。
1.パルコがVR PARCOを期間限定オープン
国内のVRショッピングの先駆けと言えるのがパルコがVR空間上にオープンした「VR PARCO」です。
パルコと株式会社VOYAGE GROUPが2017年の3月22日から4月9日の期間限定で行った「VR PARCO」では、実際のパルコと同じように再現された館内を歩き回り買物をすることができるものでした。
VRとはいえブラウザベースなので、VRデバイスのほかPCやスマホからでも入館して利用できます。
テスト運用だったため、利用できるのは
「journal standard Furniture」
「ピローヌ by プチコキャン」
「マンハッタンポーテージ」
の3店舗のみでした。
気に入った商品があればVR PARCOから「カエルパルコ」へ移動して購入することができます。
PARCOは利用客からのフィードバックをもとに高級的なサービスにするかを検討するとしており、今後の展開が期待されるVRショッピングサービスの一つです。
2.VR界の最大イベント「バーチャルマーケット」
株式会社HIKKYが毎年開催している「バーチャルマーケット」は、VR空間上のスペースでアバター用の3DアイテムやファッションやPCなどのリアル商品を購入できるVR物販イベントです。
来場者はVRデバイスの他PCからもログインでき、開催期間中は24時間オープンしていることから世界中から参加者が集まる世界最大級のバーチャルイベントとして知られてきました。
ショッピングだけでなく他の来場者とアバターを通じて交流を楽しむこともでき、バーチャル空間上の国際交流イベントともなっているのが特徴です。
また、知名度が上がるにつれて出展者もアニメ・ゲーム関連からファッションや自動車、百貨店まで幅広くなっています。
2020年末から2021年初めにかけて開催される第5回目は、「VIRTUAL MARKET」と英字表記のより世界に向けたイベントとして行われる予定です。
関連記事:5回目のバーチャルマーケットが12月に開催へ!出展企業も受付開始
3.VRコミケ!「ComicVket1」開催!
「ComicVket1」は、「バーチャルマーケット」を運営するHIKKYが開催するバーチャル同人誌即売会です。
テストイベントの「ComicVlet0」を経て、新型コロナ禍の状況下で開催された「ComicVlet1」では、秋葉原の街がVR空間上に「バーチャル秋葉原」で再現されたことで話題になりました。
現実のコミケと同じような会場に、「バーチャルマーケット」と同じようにVRデバイス以外にもPCなどから参加することができます。
出展される作品は
・電子書籍
・紙媒体
の2つの形式から選ぶことができ、見本をイベント会場で確認して販売サイトへ飛ぶことで入手可能です。
コミケ会場の外の「バーチャル秋葉原」では、秋葉原で実際に営業している店で各種イベントやウィンドウショッピングを体験することができます。
関連記事:今度のVRコミケの舞台はバーチャル秋葉原!「ComicVket1」8/13~16に開催
4.VRショッピング「STYLY」
「STYLY」はPsychic VR Lab社が開発したファッション・アパレルに特化した次世代オンラインショッピングプラットフォームです。
独自の高精細の3D技術を用いて、服やアクセサリーなどのファッションアイテムをスキャンし、VR空間上で再現し、限りなく実物に近い状態でブランドの製品をチェックできます。
しかも、「STYLY」は直感的に独自のVR空間をデザインすることができ、「ブランドの世界観」が愛されているブランドがその世界観を空間としてデザインできるのも特徴です。
そのため、ユーザーは空間全体でブランドの世界観を体験することができるので、よりブランドへの共感を持ちながら買物をするという体験ができるようになります。
こうしたノウハウを元に「STYLY」は、誰でも自由にVRコンテンツを作るクリエイタープラットフォームとしても開放されています。
そのため、「STYLY」というとクリエイター向けのサービスを連想する人が現在では多くなっているかもしれませんね。
5.ハコスコ「VR for EC」
ダンボールのVRゴーグルやVRコンテンツの制作で知られるハコスコ社はCNS社とマーケティングパートナーシップを結び、様々な業種向けにVR活用のサポートを行うようになりました。
先駆けとして開始した「VR for EC」は、「なりたい自分」をVR空間上で実現してから買物を購入できるシステムです。
理想を叶えた世界を自分ごととして体験できるため、より強い購買意欲を喚起することができます。
サービスの開始に際して、日本のファッションブランド「Room no.8」と協力し、VRを活用したインターネットショッピングを実現しました。
デザイナーの小島直子氏やモデルが登場する動画などを通じてブランドの世界観に入り込み、Room no.8の全てのアイテムをその場で購入できるVRコンテンツが提供されています。
6.S-cubismの「EC-Orenge VR」
S-cubismが株式会社タッグ、共同印刷株式会社と共同開発した「EC-Orange VR」は、店舗がVRショッピングを導入するためのパッケージシステムです。
もともとECサイトを始めるためのパッケージとしてS-cubismが提供していた「EC-Orange」をよりリアルなショッピング体験にバージョンアップするためにVRコマース機能を導入しました。
VRコマースサービスは
・実店舗をベースにVR空間上に店舗を再現する
・ECサイトをVR化し理想の店舗をVR空間常に構築する
といった使い方ができ、すでに「セブン&アイ・ホールディングス」や子供向けアパレルブランド「ファミリア」が実際にVR店舗を作り上げています。
今後の方針としてS-cubismは、バーチャルであることを活かした動画配信やクーポン配信などの機能を充実させたいとのことです。
7.アリババの「BUY+」
2016年9月、中国のアリババグループが運営するECプラットフォーム「タオバオ(淘宝)」にVRショッピングサービス「BUY+」が導入されました。
バーチャル空間上の「自室」から行きたい店舗を選び、バーチャル店舗に移動して買い物をすることが可能です。
「手で触れるバーチャルショッピング」を目指しており、店内を歩き回り気に入った作品を見つければ手にとって詳しく見ることもできます。
使用感がリアルにわかるため、より現実に近い未来のVRショッピングの新しい形として話題となりました。
8.ebay「VR百貨店」
ECサービス大手のebayはオーストラリア最大の小売業者であるマイヤー社と連携し、世界初となる「VR百貨店」をオープンしました。
VR百貨店ではマイヤーの店舗で販売する1万2千点以上のアイテムを3D画像で見ることができ、さらに価格や仕様、在庫状況などの商品情報もチェックすることができます。
ユーザーはVR百貨店専用に設計されたVRヘッドセット「ショップティカル」を通して、頭を動かしたり詳細を知りたい商品を見つめることで操作を行います。
気になる商品があればカートに追加し、ebayアプリを通じて購入を完了させることができるというシステムです。
9.Amazon VRショッピング
ネット通販業界の巨人Amazonも当然のようにVRショッピングに関心を示しています。
2018年の「Amazonプライムデー」に合わせてVRショッピング空間をオープンさせました。
このショッピング空間は、インドにある10か所のショッピングモールに設置されたOculusRiftから利用するものです。
気球に乗った状態からショッピング空間に入り込むと、商品の外観を360度回転させて確認したり、服をマネキンに着せながら商品を選ぶことができます。
「Amazonプライムデー」のプロモーションであると同時にVRショッピングサービスの検証でもあり、Amazonはユーザーからのフィードバックを見ながらサービスの継続を検討したいとのことです。
10.worldpayのVR決済サービス
巨大な決済サービスを展開するイギリスのworldpayもVRに注目する企業の一つです。
VRユーザーがショッピングをするときに、いちいちVR空間から抜け出る必要なく買い物ができるようにするための決済システムの研究を行っています。
クレジットカードをVR空間でも再現するためにモバイル決済サービスなどで利用されるシステムを採用することで現実と変わらない買い物体験を実現するものです。
仮想クレジットカードを仮想カード読み取り機に読み取らせることで決済を行います。
VRショッピングで問題となる決済の問題を解決するものとして大きな期待を集めているようです。
まとめ
VRショッピングは自宅にいながらにしてバーチャル空間の店舗で現実と同じように買物を楽しめます。
同じオンラインショッピングであるECサイトでの買い物よりも、商品の良さや使用感をダイレクトに伝えることができる革新的なショッピング体験として開発が進められていました。
特に新型コロナウィルスの感染拡大によって、人との接触を最小限に抑える新しい生活様式が進む中、VRショッピングはさらなる普及が期待されるVR用途のひとつです。
国内外で一般的に普及するには、決済方法など解決しなければならない課題がいまだに残っています。
ただ、実店舗で苦戦していたブランドがECサイトによって息を吹き返した例もあるように、VRショッピングの普及が進めば実店舗、ECサイトとの相乗効果も見込めます。
その意味では消費者にとっても販売側にとってもメリットが多い技術なので、今後の展開が期待される技術ですね。
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