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メタバースで「認知症の人」の世界観が体験できる!静岡大学らが共同開発

株式会社アルファコードは静岡大学 情報学部 情報科学科の石川翔吾講師と共同で、メタバース内で認知症の人の世界観を再現するプラットフォームを開発し、介護職や医療職に向けた体験会を石川県加賀市にて開催したことを発表しました。



認知症の人の世界観をメタバース内に再現!

アルファコード社は、XR等の技術を用い高精細な実写や3DCGとの高度な融合により再現された仮想空間で、実際に体験しているかのような「イマーシブ・エクスペリエンス(没入型体験)」ができる未来を目指し、「技術」と「アイディア」をいくつも結びつけ、まだ世の中にない新しいサービスの創出に取り組んでいる企業です。

今回、同社と国立大学法人静岡大学 情報学部情報科学科 石川翔吾講師が共同開発したプラットフォームは、メタバース内に『認知症の人の世界観』を再現しており、介護職や医療職に従事する人が、”認知症患者が感じているであろう感覚の一部”を体験することができる仕様となっています。

開発の背景

日本において認知症患者の人口は、2025年には約700万人に上り、高齢者の5人に1人は認知症になるという予測が厚生労働省から発表されています。

実際の介護の現場において

認知症患者:「虫がいるからスープが飲めない」「汚いから飲めない」

介護従事者:「虫なんていないから飲んで」「汚くないから飲んで」

といったやり取りが日常的に交わされています。

これは、認知症を発症したことで現れる『心身機能障害』によるものと思われますが、介護者にとって言葉では理解しているものの、『いつもできていることが何故できなくなるのかわからない』という状況を生み出していました。

そこで、アルファコード社では、さまざまな認知症の心身機能障害のうち「色々なものが人の顔に見える」「形や大きさを正しく認識できない」「聞こえないはずの音が聞こえる」という、『PX(Patient eXperience)体験』がメタバース内で可能となるプラットフォームの開発に着手しました。

『PX体験』プラットフォームの概要

本プラットフォームはメタバースソリューション「VRider COMMS(ブイライダーコムズ)」を基に開発されているため、『インターネット回線が不要』でありながら『通信遅延が最低限に抑えられている』という特徴を備えています。

また、『同時に30人以上が接続することができる』だけでなく、ユーザーは『VRゴーグルを着けるだけでメタバース内で活動することができる』という仕様に仕上がっています。

さらに、ガイド役には”言葉”や”身振り”で体験者とコミュニケーションをとりつつ、任意のタイミングで『心身機能障害により発生する体験』をおこす機能が実装されています。

『PX (Patient eXperience)体験』で更なるケアの質向上を目指す

今回開発したプラットフォームを活用した『PX体験』の体験会が今月15日、石川県加賀市役所で開催されました。

この体験会には、24名の”介護職”や”医療職”の方が参加し、6人での同時体験を1セッションとし合計4セッションが実施され、認知症の心身機能障害のうち「色々なものが人の顔に見える」「形や大きさを正しく認識できない」「聞こえないはずの音が聞こえる」という現象をメタバース内の一室で体験しました。

その結果、参加者からは

・あんな風にしっかり見えているとすると(スープの上に虫)、やっぱり食べられないですよね

・あの方は実はこういう見え方をしているから、そういう行動をするのかも

・言葉では知っていてもVRで体験することはこれまでなかったので人材育成にもつながる

といった感想が寄せられています。

また、共同開発した石川講師からは以下のコメントが発表されています。

「言葉だけでは理解したつもりに陥りやすいさまざまな認知症の方の認知体験を体験することで、認知症の方を深く知ることに繋がると思います。

今後の介護教育の未来が拓かれたように感じました。」




今後の展開

アルファコード社では今回の体験会を経て、PX体験プラットフォームで再現できる「認知症の心身機能障害」と「メタバース内の生活空間」を拡充することで、介護職、医療職に限らず多くの人に『認知症をもつ人への理解とケア』について学んでもらえるよう努めたいとしています。

まとめ

認知症という病により引き起こされるさまざまな『心身機能障害』のうちのいくつかを、メタバース内に再現し「PX体験」することができるプラットフォームをアルファコード社と静岡大学が共同開発しています。

介護職や医療職の人がこのプラットフォームを活用することで、さらなるケアの質向上に寄与することが期待されています。

その人の立場に立って想像すると一口に言っても視覚や聴覚は想像することが難しい分野の一つだと思いますが、メタバースの世界であればその人になりきって体験することができるなんて、研修などの新しい様式になりそうだと感じるニュースですね。

ソース:プレスリリース[PR TIMES]









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