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VRで弱視の回復を目指すVivid Visionが家庭で使える製品を発表

家庭用のVivid Vision Home

家庭用のVivid Vision Homeは消費者向けVRデバイスに対応する

Vivid Visionは、両目を協調させて立体的にものを見るのが難しい成人の斜視・弱視患者をVRで治療することを目指す企業だ。

2015年以来提供されている同社の製品は眼科医院向けのものしか存在していなかったが、ここに来て在宅で同様の治療を受けられるソフトウェアが発表された。この製品を使うことで、病院が遠くて頻繁に通うのが難しいという患者も繰り返し同社のVRコンテンツを活用しやすくなるだろう。

『Vivid Vision Home』はHTC Vive、Oculus Rift、Gear VRに対応する。現時点ではアプリストアから個人で購入できるアプリではなく、利用には同社と提携しているクリニックで処方してもらう必要がある。

Vivid Visionの取り組み

Vivid Visionの製品

Vivid Vision(旧社名Diplopia)が設立されたのは、2013年だ。その後社名を現在のVivid Visionに変更し、2015年から眼科医院に向けて製品を提供している。

同社の製品は、"lazy eye"と呼ばれる弱視状態を改善するためのVRアプリケーションだ。左右の目に違う映像を見せるというVRデバイスの特徴を利用し、左右の目が上手く協調して働くことができないために弱視となっている患者の視力を改善させるとされている。

VRをこうした視力障害の治療に取り入れるというアプローチは新しいが、治療の仕組みそのものはこれまでに同疾患の治療として行われてきたものと同様だ。

患者がどちらか一方の目に頼ってしまっていると、もう一方の目が「怠けている」状態が普通になってしまう。そこで、患者が普段使っていない方の目を使うように訓練することで両目の協調動作を助けるという。

従来は片目を眼帯で隠したり、目薬によってわざと見えにくい状態にすることでトレーニングを行っていた。VRヘッドセットは左右の目に異なる映像を見せることで立体感を作り出しているので、この目的のために最適なデバイスとなる。

病院専用から家庭用へ

これまでVivid Visionの製品が使われてきたのは、病院だ。同社によれば、既に100以上の施設でVRヘッドセットとVivid Vision製品を使った目のトレーニングを受けることが可能だという。

病院で治療を受けることにはメリットもある。Vivid Visionの製品はあらゆる目の異常に効果があるものではないので、専門家のアドバイスを受けて改善が期待できる場合に使用するのが望ましい。トレーニングを続けていくうちに変化が起きた場合にも専門家の指導を受けていればすぐに変化に気づくことができるだろう。

だが、難点もある。まだ数が少ないVivid Vision製品を導入している病院が近くになければ、遠く離れた施設を訪れなくてはならない。治療のために何度も通うのは、患者の負担になってしまう。

今回発表されたVivid Vision Homeならば、普段は自宅でVRヘッドセットを使ってVivid Vision製品を使用しながら定期的に病院を訪れることもできる。

VRで視力を伸ばす

視力回復を目指すVRアプリ

視力回復を目指すVRアプリ

VRデバイスで視聴・プレイできるコンテンツのジャンルはエンターテイメントから学習まで幅広いが、中には健康のために利用することを想定されたVRコンテンツも存在する。痛みを和らげストレスを解消するとされる瞑想用コンテンツや、恐怖症の治療に使われるコンテンツなどがその代表例だ。

目から近い位置にあるディスプレイを見続けるVRデバイスは目に良くないと考えられることもあるが、利用法によってはむしろ視力を回復させることに繋がるかもしれない。

疲れ目の解消

特に立体視に問題があるユーザでなくても、パソコンやスマートフォンを長時間使う生活をしていると目が疲れてしまうものだ。定期的に遠くのものを見たり目を動かしたりすることで改善されるとされているが、仕事やゲームに夢中になるとつい時間を忘れてしまう。

ユーザが目を動かすように設計されたVRコンテンツであれば、エクササイズに使うことができるかもしれない。VRヘッドセットにアイトラッキング機能が搭載されるようになれば、その効果はさらに高まるはずだ。

また、VR空間では異なる方向を見るために頭を回すことになる。固定されたディスプレイを覗き続ける場合と違って首を動かすことになるため、肩や首の凝りをほぐす効果も期待できそうだ。凝り固まった筋肉がほぐれて頭部への血行が良くなれば、目にも良い影響があるだろう。

目を働かせる

Vivid Visionの製品の場合は、単に目や首を動かすことによる効果だけでなくきちんと働いていない目を働かせる効果も期待できる。同社の製品を効果的に使うためには左右どちらの目が自分の利き目なのかを知らなくてはならないし、目の使い方の偏り具合によっても設定を調整する必要があるだろう。

個人に合わせた設定が必要だからこそ、一度病院に行って治療として製品を処方してもらうシステムとなっている。さらに、医師は遠隔で患者のトレーニング進行状況を確認することも可能だ。

現在は治療法としてVivid Vision製品を取り入れている施設がまだ少ないので不便だが、施設数が増えれば視力を回復させるためのスタンダードなツールになっていくかもしれない。

 

参照元サイト:Road To VR
参照元サイト:Vivid Vision

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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