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CADデータを3DCG化する「GyroEye(ジャイロアイ)」とグッドデザイン賞も獲得した建築管理アプリ「EOPAN(イオパン)」開発者インタビュー - VR Inside

CADデータを3DCG化する「GyroEye(ジャイロアイ)」とグッドデザイン賞も獲得した建築管理アプリ「EOPAN(イオパン)」開発者インタビュー

        2016/08/31

6月23日の3D&バーチャルリアリティ展でも初日からテレビカメラが入り、ひときわ注目を浴びていた「GyroEye(ジャイロアイ)」と「EOPAN(イオパン)」。

ジャイロアイは、株式会社インフォマティクスの手掛けた現実空間にCGモデルを合成させるAR技術と、没入感を高めるVR技術を両立したMR(Mixed Reality)システム。

CADデータをコンバーターを介してCG化し、スマホアプリにデータを取り込むことで建築物の内見や外観の確認を自在に行うことができます。

イオパンは株式会社インフォマティクス&株式会社イオグランツ共同での開発によるモバイル端末に搭載されたジャイロセンサ(角速度感知)を利用した、iPad/iPhone専用の住宅・建築分野向け360°パノラマ対応の建築管理アプリです。(アンドロイド端末でもジャイロが有効)

実際に体験してみて

ジャイロアイ


ジャイロアイを使って実際に不動産の内見をさせてもらいました。

スマホはカールツァイス製のVRヘッドセット「VR One」に装着して使用しました。こちらはジャイロアイとセットでの販売を検討しているようです。

VR One

操作はiOS用のBluetoothを使って接続するゲーミングコントローラー「SteelSeries Stratus」を使用していました。

SteelSeries Stratus

コントローラーの操作は思った以上にレスポンスがよく快適。見たい方向の変更はVRヘッドセットに装着したスマホのジャイロで行い、ビューポイントの変更をコントローラーで行うような基本操作。

頭に装着した映像の遅延によるカクツキなども気にならず、壁を突き抜けてのズームイン・アウトにはいささか驚いたが、内観・外観を瞬時に切り替え確認できる。

アプリさえあればいつでもどこでも自分の未来の住まいが確認できるのが使い勝手よく、ワイヤレスというのも快適だった。

カスタマイズによるAR機能


またジャイロアイはARエンジンのVuforiaを組み込んだカスタマイズにも対応しており、設計図に端末をかざすと、図面のモデルハウスがCGで登場するというものがある。

ジャイロアイ単体では建物の内観や外観といったセクションごとに確認するのに適していたが、建物の全体像をチェックしたい場合にこの機能は有効そうだ。

イオパン


イオパンは、建物のフロアごとの全体像をチェックするときに便利だった。

静止画のためリアルタイムレンダリングと比べ画像のクオリティが高く、目の前の空間が存在するかのようなリアリティには驚きました。

iPadをかざすだけの操作なのも快適で、VRに慣れていない方でも直感的な操作が可能です。

それだけでなく、フリックするだけで建物完成前の施工途中の段階に写真を通して「過去の状態に戻る」ことができるのが特徴。

1つのグループに、フォトリアルCGや3DCAD「Walk in home」で作ったCGの完成予想図⇒基礎工事時の写真⇒配管工事時の写真⇒完成時の写真といった具合にパノラマ写真をまとめて保存・閲覧することができる。

それだけでなく、パノラマ写真に映っているパーツに関して、取り替えが必要なものに取り替え時期を設定でき、アラートを出す機能もあり驚愕した。

これがあれば部分リフォームや壁面取り付け工事などで壁の中の配管の状態を知りたいときも一目瞭然で工事がスムーズに進み、パーツの交換時期も適切に行えると感じました。

そういったアラート機能やウォークスルー機能も任意に作成可能で、非常に楽しく便利に使えました。

これらのプロダクトに関して株式会社インフォマティクス営業部の金野幸治氏とパートナーの株式会社イオグランツ技術サポート部のアレクサンダー聡美氏にお話をお伺いしました。

ジャイロアイについてのインタビュー

━━ジャイロアイを開発しようと思ったきっかけは何でしょうか?
金野氏:ターゲットとしているハウスメーカーさんが多く使用していたのがiPadでした。

iPadは性能的にも高機能なセンサーが実装されているにも関わらず、イマイチ有効活用できていないという声が強く、iPadで住宅の内見や外観の確認ができたら使われるのではないかと思い開発を始めました。

━━開発期間はどのくらいでしょうか?
金野氏:5年ほどです。

━━こちらはUnityでの開発でしょうか?
金野氏:はい、そうです。

gyairo01

━━苦労した点はどこでしょうか?
金野氏:気持ちよくジャイロを使って動かせるようにするところに時間がかかりました。
当時はジャイロを使った技術についての参考情報があまりなく、手探りでイチから作りあげました。

━━ジャイロアイではCADデータを専用のコンバータで読み込み、表示していますが、CADに新規テクスチャが追加された時の対応はどうされていますか?
金野氏:ジャイロアイ側では特に何もせずとも表示が可能です。

━━CADデータの制作も自社で行っているのでしょうか・
金野氏:いえ、こちらはイオグランツさんと提携して行っております。イオグランツさんはフォトリアルによる加工なども得意としているところでして精度の高いものを提供していただいております。

テクスチャの追加はCADソフト側で行うので、イオグランツさんが随時対応してくれています。

アレクサンダー氏:弊社はCADカスタマイズ販売を本業としていることもあり、データ制作は得意としております。

テクスチャは1万5000点ほど、CAD部材は7000点ほど作成しており、こちらは日々増えていっております。

特にパナソニック製品には強く、住宅建材の登録数が非常に豊富です。

CADを販売する傍ら、40年の歴史を持つ手描きの建築パーススクールを運営、そのノウハウを活かしてプロのCG制作会社としても活動しております。

━━ジャイロアイで工夫された点はどこでしょうか?
金野氏:単純なエンドユーザ様向けの確認アプリではなく、壁の中を伝う配管などの確認もできるようにしていますので建設業などプロのお客様などにも便利なものとしてご活用いただけます。

━━こちら販売価格を教えてください。
金野氏:はい、ジャイロアイのアプリはApp Storeで無料配信しておりまして、PC側に導入するコンバーターなどは2016年秋に売切36万円(保守費は別途)で販売予定でございます。

こちらにはVRヘッドセットとなる「VR One」も弊社が販売店となり同梱販売します。

━━月額制ではなく売切にした理由はなんでしょうか?
金野氏:今回ターゲットが中小のハウスメーカー様と位置付けておりますので、売切のほうが使いやすい形態ではないかと思い、そのようにしております。

━━今後、Androidへの対応はございますでしょうか?
金野氏:今のところは予定はありません。エンドユーザ様向けのツールとして必要かどうかと検討したいと思います。

━━ジャイロアイを使うメリットを教えてください。
金野氏:VR空間で実際に住宅を確認できることで建物のスペックを決定する上での打ちあわせ回数が減るかと思います。

また、住宅のミニチュア模型を作る必要もなくなります。

━━今後のバージョンアップは何かお考えでしょうか?
金野氏:こちらは検討中の事項でして、ポジショントラッキングの対応可能性の調査をしております。

イオパンについてのインタビュー

━━インフォマティクスとイオグランツの共同開発とのことですが、開発の経緯を教えてください。
アレクサンダー氏:2013年に全天球写真が簡単に何枚でも撮れる画期的なカメラ「RICOH THETA」を知ったことが大きな転機でした。

このカメラがあったからこそ、開発を決意したといっても過言ではありません。

住宅をリフォームする際の「新生活提案」をするツールとして、改修前のお部屋の360°写真と改修後の写真をフォトリアルで作成し、ビフォー&アフターを提示することで成約率は大幅に伸びるのではないかと思い、こちらの開発をインフォマティクス様に提案しました。

また、「建築工程を遡りたい」という思いもありまして、住宅の管理が施工主しか分からないと後々改修する際に不都合が生じるケースが多い問題がありました。

それらの問題を解消すべく、工事段階のお部屋の360°写真を記録して保存することで施工主以外の誰もが住宅の構造を知れるようにしたいと取り組みました。

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━━なるほどですね!工夫された点はどこでしょうか?
アレクサンダー氏:工事担当者のみに役立つものではなく、実際にお住まいになるお客様がメンテナンスをしやすいように、写真内にメモを書き込める機能を取り入れました。

また、時間軸を考慮した「消耗品交換時期の通知機能」「住宅設備耐用年数のアラート表示」なども出すことが可能です。こちらは「EOPAN Creator」という別契約が必要な機能です。

━━こちらはおいくらでしょうか?
アレクサンダー氏:アプリ本体が600円(買い切り)でEOPAN Creatorは12万8000円となっております。

その結果、本アプリは「2014年度グッドデザイン賞ベスト100」「グッドデザイン・未来づくりデザイン賞」「2016年中小企業優秀新技術・新製品賞ソフトウエア部門優秀賞(最上位賞)」を受賞することができました。
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━━すごいですね!その後、インストール数は伸びましたでしょうか?
アレクサンダー氏:App Storeの有料アプリランキングで月間トップ5に入りました。最高ランクは2位までいきまして、インストール数の伸びは体感しました。

━━こちら開発期間はどのくらいでしょうか?
金野氏:初期版は半年です。その後、バージョンアップをしていきました。

━━どのような機能を追加されたのでしょうか?
金野氏:縦フリックで画像の切り替えができるようにしたり、YouTube動画などのiframeタグが埋め込めるようにしたりしました。

━━苦労した点はどこでしょうか?
金野氏:レンダリングが課題でしたね。快適に使えるようにカクツキなどが出ないように調整をしました。

━━Android端末専用アプリはないのでしょうか?
アレクサンダー氏:アンドロイドの方はアプリではなく、イオパンクラウドでのご利用が可能です。

WEBGLを利用することで、iOSとAndroidの区別無くイオパンクラウドを介してイオパンアプリが無くても360°全天球画像を閲覧し、感動を共有できることが出来ることがポイントです。

━━ありがとうございました。

GyroEye AR/VRシステム
http://www.informatix-inc.com/gyroeye/index.html

EOPAN
http://eopan.com/

株式会社インフォマティクス
http://www.informatix-inc.com/

株式会社イオグランツ
http://www.eog.co.jp

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トモ

Writer: 何十年も前からあるVRがようやく一般で広まりつつあるなか、課題は「ハード」と「体験」の2軸と思っています。これからリリースされる新しいVR機器を余すことなく紹介すること、そして体験したVRの良さを少しでも伝えることでVR市場の成長に貢献します。