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HTC Viveにアイトラッキングを追加するモジュールが来月発売

2017/04/28 11:17

Vive用アイトラッキングモジュール

HTC Viveに取り付けて使うアイトラッキングモジュール

アイトラッキング機能は、VRヘッドセットを装着したユーザが意識している場所をVRシステムに伝えてくれる。これにより、VRゲームの操作を行ったり、レンダリングに必要なスペックの要件を引き下げることが望めたりと有望なテクノロジーだ。

だが、これまでのアイトラッキング機能はヘッドセットそのものに組み込む必要があった。追加機能の組み込みを行えば、その分ヘッドセット本体の価格が上昇してしまうことになる。

HTCはビルトインではなく、着脱可能なモジュールの形でHTC Viveをアイトラッキング対応ヘッドセットにしようと考えているようだ。

7invensunのaGlass

中国のスタートアップ企業7invensunは、来月末にHTC Vive用の着脱可能なアイトラッキングモジュールを発売することを発表した。

来月発売されるaGlassは開発者用キット(DK2)で、まだ限定予約販売の段階だという。

7invensunの公式サイトからは予約購入が行えそうに見えるが、実際に進めていくとComingsoonになっていて商品詳細画面に戻されてしまった。予約の受付は開始されていないようだ。

HTCによれば、aGlassの価格は約220ドル(2.4万円)だという。中国で来月リリースされ、今年の第3四半期にかけてヨーロッパやアメリカにも展開されていくとのことだ。

aGlassの特徴

aGlassの最大の特徴は、着脱可能なモジュール式のデバイスでアイトラッキングを実現していることだろう。

従来のアイトラッキングソリューションでは、メーカーがあらかじめヘッドセットにシステムを組み込まなければならなかった。この方式には、ヘッドセット本体の価格が高くなる、アイトラッキング技術が進歩しても機能の更新が難しいといった欠点がある。

その点、aGlassならばViveのオーナーが220ドルを追加出費することで既存のViveにアイトラッキング機能を追加できる。VRヘッドセット購入に必要な初期費用が上がることはなく、将来的にaGlassのみを更新することも可能だ。

7invensunによれば、この薄型のモジュールはViveの内側に手で取り付けて使うことができるという。

aGlassとViveの間はUSBによって優先接続される。二股に別れたケーブルを左右のaGlassそれぞれに接続し、このシステム全体でVive本体のUSBポート一つを専有する。

デバイスには瞼と目のトラッキングが可能になるセンサーが搭載されており、ユーザの目に合わせてカスタマイズされたレンズの使用も可能とされている。詳細は明らかになっていないが、視力に問題があるユーザに向けた特殊なレンズも用意されるようだ。

Foveatedレンダリングへの期待

Foveatedレンダリングのイメージ

視野の中心のみを高解像度でレンダリングする

aGlassのようなアイトラッキングシステムによって、VRコンテンツの操作を行うことも可能になるだろう。これまでのように顔の向きを変える動きで振り向くことに加えて、視線の細かな動きを利用したキャラクターとのコミュニケーションなどもできるようになるはずだ。

だが、それ以上に期待されているのがFoveatedレンダリングである。Foveatedレンダリングは、これまでよりもグラフィック性能の低い、安価なPCやパーツでVRコンテンツを動かせるようにしてくれるかもしれない。

Foveatedレンダリングとは

Foveatedレンダリングは、ユーザに画質の低下を感じさせずにレンダリングの負荷を軽減するシステムだ。これには、人間の目の仕組みが利用されている。

気になるものが目に入ると、人間はそこに視線を向ける。目の構造上、視界の中心が最も高い解像度で世界を認識できるようになっているからだ。

一方で、見えている範囲の端になると解像度が低く、おまけに色も正しく認識できていないようだ。日常生活で視界の端が白黒に見えることはないが、それは脳が視覚情報を補っているからだという。

人間の視線の動きが分かれば、ユーザに注目されているものだけを高解像度で描画し、それ以外のレンダリング品質を下げることも可能になる。これにより、比較的低いグラフィック性能でもVR映像のレンダリングに対応できる。

少々視界の端で映像が乱れていたとしても、ユーザのVR体験を大きく損なうようなことはない。

aGlassには設定用のソフトウェアが付属するため、Foveatedレンダリングのレベルを手動で変更できる。ユーザの視覚特性やVR用に使用するマシンのスペックに合わせて設定すれば、今以上に快適なVR体験が実現するだろう。

設定によっては、HTCが提示する動作要件に満たないPCでもViveが利用できるかもしれない。

7invensunの立場

7invensunは、第2期のVive XアクセラレータプログラムでHTCから資金提供を受けたスタートアップ企業だ。

Vive Xアクセラレータプログラムからはこれまでに、Viveのワイヤレス化モジュールを開発しているTPCastなどが資金の提供を受けている。

しかし、HTCは資金提供の見返りとして7invensunに何らかの制限をかけたことはないと強調している。

aGlassはVive専用のモジュールとしてリリースされるが、これは技術的な理由のようだ。将来的には、7invensunがVive以外のヘッドセットに対応したaGlassのようなモジュールを開発することもあるかもしれない。

 

参照元サイト名:Upload VR
URL:https://uploadvr.com/7invensun-eye-tracker-for-vive/

参照元サイト名:7invensun
URL:http://www.7invensun.com/

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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