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事故現場をVRで疑似体験!救急隊用VRトレーニングアプリの開発が進む

自然災害や交通事故が起きた際、真っ先に現場に駆け付けるのは救急隊員です。

臨機応変な判断が求められる救急隊員のトレーニングに、VRを活用する取り組みが登場しました。

実際の事故現場の状況をVRで疑似体験することで、実際の状況への対応力をより直感的に、効率的に学ぶことができます。


事故現場をVRで体験!救急隊員向けのトレーニング用アプリ

VRを医療分野で活用する取り組みはこれまでも数多く登場しており、たとえば実際の手術の状況をVRで再現したトレーニングアプリなどはすでに実用化もされています。

しかし、こうしたアプリの多くは病院内、つまり医師や看護師、もしくは医学生向けに開発されたもので、事故現場で活動する救急隊員向けのVRアプリはありませんでした。

自然災害やテロなど、多くの人が被害者となる集団災害では現場での高い対応力が求められます。

こうした救急隊員に必要となるスキルや知識を、VRで効率的に学習できる取り組みが行われています。

集団災害の現場をVRで再現

オーストラリアのエディスコーワン大学は、VR企業のVirtual Guestと共同で救急隊員向けのVRトレーニングアプリを開発しています。

これは多くの被害者が発生した事故現場をVRで再現するというもので、VRを使うことによってより実際の現場に近い環境を疑似体験できます。

より実践的なトレーニングが低コストで可能に

救急隊員が事故現場への対処を学ぶ方法としては、これまで主に教室内での座学と、実際のシミュレーションの2つが用いられていました。

ですが、これらの方法はいずれも不十分であると、エディスコーワン大学Medical and Health Sciencesの研究者であるDr. Brennen Millsはブログで指摘しています。

教室の中で行う座学では、実際の事故現場に対処する状況をリアルに体験することはできません。一方でシミュレーションではより実践的な学習を行えますが、そのためには多大なリソースを要します。たとえば役者を何人も使ったり、様々な状況を設定したり、(怪我などのメイクアップを施した)被害者のモデルなど、学習者個人に応じた多くのコーディネートが必要になります。

座学では十分なスキルを得られず、またシミュレーションを行うと準備や費用において多額のコストがかかります。

しかし、シミュレーションで行うような実践的な体験をVRで行うことができれば、これまで必要だった準備やコストを削減して、ヘッドセットを被るだけで実践的なトレーニングができます。




実際の状況にいるかのような臨場感のある体験が可能に

VRでは、まるで自分が本当にその場にいるかのような臨場感のある体験が可能ですが、こうしたVRの特質はトレーニングにおいても効果があります。

アプリはHTC Viveを使って体験しますが、デバイスを被ると360度全方位の環境に事故現場を模した状況が再現されます。

実際の役者によって演じられた被害者がVR空間の中にいて、その上に今やるべきタスクが表示されるという、ゲーム感覚を取り入れた内容です。

被害者への対応や、事故現場との様々なインタラクトはコントローラーを使って行います。

実際の事故現場の状況をVRで体験することで様々なタスクを学べるので、より直感的に、体験を通して学ぶことが可能です。

訓練生に均等な訓練が施せる

また、VRをトレーニングに取り入れるメリットとして、訓練生に均等な訓練を施すことができると、Virtual GuestのCEOであるBrandon D'Silva氏は述べています。

(従来の)シミュレーションでは、たとえば役者のパフォーマンスなど、コントロールし切れない要素がありました。ですがVRを使えば、訓練生に均等な訓練を提供することができます。

VRを使用する訓練生全員が同じ内容のコンテンツを体験するので、訓練生によって受けるトレーニングの質に差が出ることがありません。

こうしたVRを用いた学習プログラムと実際のシミュレーションを交互に行えば、予想外の事態が発生する事故現場への対応力を、より効率的に学べますね。

VR/ARは医療においても様々な活用が見込まれており、たとえば手術中に必要なデータをAR表示したり、歯医者で治療する子どものストレスを軽減したり、肩こり・腰痛治療にVRを導入する取り組みもあります。

まとめ

事故が発生した時、一番最初に対応するのは現場へ向かう救急隊員たちです。

事故現場ではパニック状態の怪我人や、麻痺した交通、その時の天候など、予測できない要素が沢山あるので、救急隊員には高い対応力が求められます。

VRを取り入れることで、こうした実際の現場により近い環境を手軽に体験することができます。

トレーニングに比べてスペースを取らず、またコストを抑えられるので、何度でも体験できるメリットもあります。

VRを活用することで、学習者の習熟度をより効率的に上げることができそうですね。医療分野でのVR活用は様々な方法が登場しており、今後も注目の分野です。

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フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

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