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どんな言語でも喋れる「もう一人の自分」、MRを活用した画期的な翻訳技術

英語や中国語などの外国語習得の重要性が話題になっていますが、将来はAI(人工知能)やMR(複合現実)によって、苦労して外国語を学ぶ必要がなくなるかもしれません。

マイクロソフトが先日発表した翻訳技術のデモでは、まるでSF映画を思わせるような光景が披露され、大きな注目を集めました。


AIとMRを活用した翻訳技術、マイクロソフトが発表

2019年7月14日~18日にかけて、マイクロソフトによるパートナー企業向け年次イベント「Inspire 2019」がラスベガスにて開催されました。

同イベントでは、マイクロソフトによる最新のAI(人工知能)を活用した業務効率化や、環境問題への取り組みなどが発表されましたが、中でも特に目を引いたのが、ホログラムを活用した画期的な翻訳技術のデモです。

複合現実を活用した翻訳技術

デモの発表は、マイクロソフトのコーポレートバイスプレジデントであるJulia White氏によって行われ、同氏は最新のMRヘッドセット「HoloLens 2」を携えて登壇しました。

同氏はデモに先立ち、「(それぞれの地域に根差した)ローカルな言語を喋ることは出来ない」と述べた上で、テクノロジーによって世界中のどんな言語でも喋れるようになる可能性を提示します。

実物大のホログラムが外国語を喋る

White氏がデバイスを被って手のひらをかざすと、その上には同氏が「mini-me」と呼ぶ、自身のミニチュアがホログラムとなって現れます。

この時点でホログラムは緑一色ですが、音声で「Japanese keynote. Render keynote」と言うと、HoloLensが音声を認識して、ミニチュアのホログラムが実物大になって現れます。

実物大のホログラムは同氏の姿を精巧に再現しており、流ちょうな日本語でスピーチを行います。

AIによる流ちょうな自然言語生成

ホログラムが喋る日本語はAI(人工知能)によって生成されたもので、音声や翻訳には若干機械っぽい不自然さが残るものの、日本語ネイティブが聴いても流ちょうに聴こえます。

実在のホログラムを見たことがあるかもしれませんが、私(ホログラム)が実際に日本語を話しているのが新しいのです。私は日本語を話しませんが、私の声とホログラムは完璧な日本語で話しています。

ホログラムの日本語音声は、White氏のオリジナル音声の抑揚やトーンを、日本語のそれに巧みに織り込んでいます。また、ホログラムのジェスチャー、口や表情の動作も、実際に日本語を話しているかのように自然な動きです。

この技術には、マイクロソフトが開発した「Neural Text-To-Speech(Neural TTS)」というAI(人工知能)技術が用いられており、話者の特徴を学習して自然な発音の音声を生成します。

また、日本語以外の言語にも対応可能で、日本語からフランス語、ポルトガル語まで話せる、とのことです。



日進月歩で精度向上する機械翻訳

今回発表したデモは、おそらく事前に用意した音声データを翻訳して発話しているもので、White氏の発話をリアルタイムで翻訳している訳ではないようです。

ですが、AI(人工知能)による翻訳技術、通称「機械翻訳」は日進月歩で進化しており、例えば現在のGoogle翻訳では実用レベルの高精度の翻訳が可能です。

今回、マイクロソフトが発表した技術はまだ開発段階ですが、やがて高度な翻訳アルゴリズムが実装されれば、自分が喋った言語を、ホログラムを通して様々な言語でリアルタイムで翻訳するという、まさにSF映画のような光景が実現しそうです。

また、White氏のホログラムは、同社内のMixed Reality Studio内で大掛かりな機材を使ってキャプチャしたものですが、現在Facebookが開発しているように、今後ユーザーの写真数枚のみでリアルなアバターが作成可能になれば、ホログラムを用いた翻訳技術は一般ユーザーにも手が届くようになりそうです。

「言葉と距離の壁」がなくなる?

MRとAI(人工知能)を用いたリアルタイム翻訳は、今後私たちの生活やビジネスシーンに大きな影響を与えそうです。

例えば、数千キロ離れた遠隔地の会議にホログラムとして参加して、ドイツ語や中国語などの様々な言語でのやり取りが可能になりそうです。

この他、様々なカンファレンスやプレゼン、トークセッションにホログラムとして参加できるようになれば、わざわざ現地へ足を運ばなくても済むので、従来は大きな障壁であった「言葉の壁」と「距離の壁」がなくなる日が来るかもしれません。

まとめ

AI(人工知能)とMR技術の進化によって、遠隔地にホログラムとして表れて、どんな言語でも喋れるようになるという魔法のような技術が実現しそうです。

マイクロソフトが先日発表した翻訳技術のデモでは、MRとAI(人工知能)を用いて、自身のホログラムが実際に外国語を喋っているような感覚で様々な言語が翻訳できます。

また、自分の喋った言語をリアルタイムで翻訳するスマートグラス向けのアプリも開発されており、近い将来、世界中の誰とでも母国語で話せるようになるかもしれません。

参考サイト:VRScout









Daisuke


フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

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