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危険な状況もVRで疑似体験!フィンランドの原発がVRトレーニングを導入

VRは様々な産業で実用化が進んでいますが、主に従業員のトレーニングを目的として活用されています。

現在では医師のトレーニングスーパーの従業員研修などの多くの分野でVRが導入されていますが、フィンランドでは原発作業員向けのトレーニング手段としてVRを取り入れています。


起き得る状況をVRで疑似体験!フィンランドの原発

VRトレーニングのメリットとして、現実世界では再現の難しい危険な状況を、VRでは安全かつリアリスティックに再現できることが挙げられます。

この特性を活かして、フィンランドの原発運営企業であるFortumでは、同社の原発作業員向けにVRトレーニングを提供しています。

危険な状況をVRで体験して、現実での事故を防ぐ

今回VRトレーニングを導入したのは、フィンランドの南部ロビーサにある原子力発電所です。

同施設に努める従業員はVRヘッドセットを着け、施設内のコントロールルームで発生し得る様々なシチュエーションを、VRで疑似的に経験します。

作業員の業務全般をVRで再現

このVRトレーニングで体験できるのは、モニターの監視などの通常業務から、原発事故につながる危険な状況まで様々です。

原発での作業には高い正確さが求められ、ミスが発生すると大事故になる可能性もあり、このためVRで様々な状況を事前に体験することで、現実世界での対処スキルを体験的に学習します。

同プログラムの責任者であるJoakim Bergroth氏はTechHQでのインタビューにて、

安全性が最優先の環境や加工産業などでは、ヒューマンエラーが重大な事故になったり、生産ロスを招くこともあります。

と述べており、従業員により充実したトレーニングを施す必要性について言及しています。

低コストで運用可能、効率化を図れるVRトレーニング

ですが、従来の専用施設などを用いたトレーニングは往々にして非効率的で、例えばシミュレーターが予約で一杯で、このため従業員が得られるトレーニング時間が限られる、などの課題があります。

こうした課題の解決策としてVRが活用されており、従業員はHMDを着けるだけでトレーニングを行えるので、専用施設も必要なく、かつ低コストで運営できます。

この他にも、従業員一人当たりにかかるトレーニング時間が短縮されるので、追加のトレーニングやディスカッションなどを行い易くなり、より高いスキル習得を効率的に行えます。



高解像度VRヘッドセットを使用

ちなみに、Fortumが導入したVRデバイスは、同じフィンランドのVR企業のVarjoが開発した「VR-1」です。

VR-1は、現行では最高レベルの解像度を実現したVRデバイスで、市販の一般的なVRデバイスと比べて解像度が20倍も高い映像表示が可能です。

HTC Vive Proとの比較

Bergroth氏によると、VR-1は従来のどのVRデバイスでも不可能だったハイレベルのVR体験が可能との理由で、同デバイスの導入を決めたとのことです。

(VR-1の)VRシミュレーションでは、マニュアルを読んだり、コントロールルーム内のディスプレイに表示された数字なども正確に認識できます。

と述べており、その性能の高さについて述べています。

最新のディスプレイ表示技術を採用

VR-1の高解像度を実現するカギになる技術が、最新のVRディスプレイ技術である「フォービエイテッド・レンダリング(Foveated Rendering)」です。

同デバイスはPC接続して使用しますが、PCへの負荷を最小限に抑えた上で、かつ人間の視覚レベルの映像を表示することが可能です。

VR-1には、ユーザーの視線を追跡するアイトラッキング機能を搭載しており、これによってデバイスがユーザーの視線の位置を把握して、視線が当たる部分だけに高解像度の映像を表示します。

そして、視線が当たっていない部分のディスプレイにはぼやけた映像を表示します。人間の視覚は、焦点が当たっている部分だけがハッキリ見えますが、この視覚メカニズムをVR映像表示に応用したものです。

解像度を上げるディスプレイ領域を抑えることで、映像表示にかかる処理を減らすことが可能になり、ゆえにVR-1は市販のVR-ReadyのPCでも使用できます。

普及進むVRトレーニング

ロビーサの原発では、既に従業員の90%がVRトレーニングを経験済みとのことです。

効率化やコスト削減などの様々なメリットがあるVRトレーニングは、今後も更に多くの分野や企業で活用が進みそうです。

まとめ

フィンランドの原発で、従業員のトレーニングにVRが活用されています。

使用しているのは高解像度VRデバイスのVR-1で、従来はぼやけて表示されがちだったマニュアルや数字などもクッキリと表示されるとのことです。

これによって、原発で起き得る様々な状況をVRで手軽に経験することが可能になり、トレーニングも低コストで行えます。

産業面ではVRは重要なトレーニングツールとして注目されており、今後も様々な効果やメリットが発見されそうですね。

【関連リンク】
VRScout









Daisuke


フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

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