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VR/MRでのミーティングは電話に代わるコミュニケーション手段になるか

2017/09/07 17:59

1995年のVRミーティング
1995年のVRミーティング

1995年に太平洋をまたいで行われたVRミーティング

VRヘッドセットが個人でも購入できるようになったのは最近になってからだが、バーチャルリアリティの研究そのものは21世紀に入るよりも前から行われている。1995年には、既にVR空間で離れたところにいる他のユーザとコミュニケーションする研究も行われていた。

上の画像は、世界で初めて太平洋をまたいでVR空間が共有されたときのものだ。映像のクオリティは現在のVRデバイスと比べ物にならないが、日本風の空間でうちわを使って他のユーザをあおぐこともできたという。

現在のVR会議はより高い画質で現実に近い感覚のコミュニケーションが取れるようになっているので、電話に代わる新たなコミュニケーション手段として普及する日も近いのかもしれない。

進化するVRミーティング

Facebook Spaces

2017年のVRミーティング(Facebook Spaces)

1995年と2017年では、VR技術を取り巻く状況が全く異なっている。

コストの低下

VR技術のコストは特に大きく変化した要素の一つだ。

かつて、VRハードウェアの価格は高かった。1995年当時だとハードウェアのコストは100万ドル(1.1億円)を超えており、通信料金も数日間の実験期間だけで莫大な額になってしまった。

今では、スマートフォンとワンコインのCardboardゴーグルだけでもVRアプリを利用できる。消費者向けデバイスとしては高価なHTC Viveでも600ドルで、VR映像のレンダリングを行うパソコンも10万円程度でそれなりの性能のものが購入できる。

通信料金も月に数千円で24時間使い放題になっており、長時間に及ぶ会議でアプリを利用しても高額な通信費を請求されることはない。

アプリの増加

あれから20年が経った今では、VRを用いた会議は一般的なものになりつつある。Facebook、Sansar、High FidelityなどがVR空間上で他のユーザとコミュニケーションを取るためのアプリケーションを開発しており、個人でも無料でダウンロードすることができる。

Altspace VRは月に3万人が利用するとされており、純粋なコミュニケーションを目的としたアプリ以外にも『Rec Room』や『Big Screen』のようなコミュニケーション要素のあるVRアプリが人気となっている。

1995年に実験されたVRアプリケーションと違って、各社のコミュニケーションアプリには友人と遊べる機能も多数用意されている。

新技術を使ったやりとり

Facebook Spaces

VR会議のメリット

電話やチャットでも、遠く離れた場所のユーザとリアルタイムにやり取りすることが可能だ。グループで利用できるチャットアプリやインターネット電話ならば、複数人での会議にも利用しやすい。

こうしたコミュニケーション手段と比較してVR会議が優れている点として、アバターに様々なジェスチャーをさせられることが挙げられる。音声のみの電話や文字を使ったチャットと異なり、笑いかけたり、握手をしたりといった現実に近いコミュニケーションが可能となるのだ。

初めて「会う」相手ともVRを使う方が親しくなりやすいだろうし、VR空間内に3Dモデルなどの資料を持ち込めば会議も円滑に進めやすいのではないだろうか。

MRで相手と繋がる

会議用の専用スペースとしてVR空間を活用することにもメリットはあるが、現実とバーチャルのオブジェクトを混ぜることのできるMR技術は電話の後継者としてさらに有力かもしれない。

MRで遠隔地の相手と接続すれば、次のようなことができると指摘されている。

  • ・リモートヘルプ
    ベテランが現場の不慣れな作業者に指示を出したり、アドバイスを与えたりできる。
  • ・相手をリアルな空間に招待する
    ホログラムを表示するように、自分が居る空間で相手の姿を見ながら会話できる。
  • ・VRとARを自然に繋ぐ
    MRがつなぎとなり、それぞれの良いところを活用できる。
  • ・互いの視界を共有する
    リモートヘルプに限らず、相手の状況が見えるようになることでコミュニケーションはスムーズになる。

対面して相手の表情を見るのではなく、相手が見ているものを見たいときにはMR技術が有効になるかもしれない。医療現場や各種機器のメンテナンスなど、広い分野に応用できる技術だ。電話で状況を聞きながら対応するよりも、効率的になる。

MRも進化する

MR会議の研究

1998年のMR会議

VRデバイスは消費者向けに販売されているが、HoloLensやWindows Mixed Realityヘッドセットはまだ開発者向けキットの段階だ。MRデバイスの開発はVRデバイスよりも遅れていると言える。

だが、MR技術もVR技術同様に古くから研究されている。

1998年のミーティングアプリ

上の画像は、1998年から研究されていたAR会議アプリの様子だ。ユーザはヘッドセットを使って、離れた場所にいる相手の顔を見ながら会話することができる。

機能はカメラが撮影した相手の映像を現実の空間に重ねて会話するだけだが、VRアプリに比べて社会的な感覚をユーザに与えることができるという。

空間上のオーディオ効果

インターネット通話ソフトを使ったグループ通話でしばしば起きるのが、「誰が喋っているのか分からない」「何を言っているのか聞き取れない」状態だ。

複数のユーザが同時に話し始めてしまうと、誰が何を言っているのかを聞き取るのが難しくなってしまう。そこで、音が聞こえてくる方向という手がかりを利用する方法が採用された。

発言者によって音の方向を変えることで、誰が話しているのか(また、何を言っているのか)を聞き分けることが容易になったという。

人物を3Dに

2002年のMRアプリ

相手ユーザを3Dで表示する

上のアプリの場合、ユーザの映像は1台のカメラによって撮影されたものだ。表示される他のユーザは2Dであり、真横から見れば見えなくなってしまう。

2002年には、複数のカメラによってユーザを撮影することで3D映像を相手に送信することが可能となった。平面の映像ではなく立体感のあるユーザとやり取りができるようになることで、本当に相手と話しているように感じることができる。

人物が3Dであれば右下の画像のようにそのままVR空間に入り込んでも違和感が少なく、ARとVRを繋ぐこともできるようになった。

遠隔会議システムで使用する場合、VRよりもMRで空間を共有した方が直接顔を合わせる感覚に近いのではないかと思われる。

現在のMR会議

こうして進化を続けるMR会議は、既にここまで来ている。上の動画は、マイクロソフトが公開したHoloLens版Skypeを使用する動画だ。

現在の技術でできること

現実の空間上で好きな場所に相手の姿を映したウィンドウを表示し、相手と視界を共有したり、空中にメモを書いてメッセージを伝えたりとイメージされていたことはほとんどできるようになっている。

アドバイスを受けながら作業をしなければならないときにHoloLensを使えば、作業する側にとっても指示する側にとってもストレスが少なくなるだろう。

Holoportation

Skypeでのやり取りでは、相手ユーザが平面で表示されているという点が1998年のアプリと同じになってしまっている。複数のカメラが不要なので扱いやすくはあるが、3Dで相手の姿が表示される場合に比べるとリアルさはなくなってしまう。

マイクロソフトが研究を進めるHoloportationプロジェクトでは、Skypeと違って相手の姿を3Dで表示することが可能だ。奥行きを検知できるカメラを複数使用する必要はあるが、2D映像を表示する場合と違ってその場に相手がいるようなコミュニケーションが可能になる。

Mimesysのようにこの分野でアプリケーションの開発を行っているスタートアップ企業もあるが、公開されている動画では表示されるユーザの画質が低かったり、表示が乱れていたりといったシーンが見受けられる。

同社は現行のHoloLensを使ってアプリを開発しているので、ハードウェアや通信回線が進歩すればより高品質な映像の表示が可能となるだろう。

期待される研究

海外の公衆電話

電話は過去のツールになるかもしれない

電話を過去のものにしてしまうかもしれないVRやMRを使った会議アプリ。こうしたアプリの開発に当たって注目されている技術があるという。

通信の高速化

ネットワーク経由でコミュニケーションをする上で常にネックとなるのが、通信速度の問題だ。通信速度が遅ければ映像が乱れたり、途切れたりとユーザエクスペリエンスを低下させる原因になる。

通信技術が進歩することで、これまで以上に多くのデータを送ることができるようになる。テレビ電話の品質が高くなれば、多くの人が音声通話よりも映像を使った通話を選ぶようになるだろう。

結果的に、通信の高速化がコミュニケーションをより自然なものにしてくれる。

キャプチャ技術の発展

電話で相手に送ることができるのは音声だけだったが、カメラがあれば映像を送信できる。

ユーザが入力に使える機器が増えれば、送信できる情報の種類や量も増えていく。

ユーザを理解するコンピュータ

入力機器が進化すれば、その情報をコンピュータが解析することも可能になる。アイトラッキング技術によって感情の変化を認識してアバターの表情に反映したり、脳波を使って考えるだけで簡単な操作を実行したりといったこともできるようになるだろう。

不自然に大げさなジェスチャーを入力しなくても、ユーザのちょっとした動作を汲み取ってくれるようになる。

 

離れた場所にいる相手とやり取りする手段は手紙や電報から電話へ、さらに固定電話から携帯電話やメールへと変化してきた。今では固定電話がないという家庭も珍しくない。

各種技術が発展したことでVRやMRを使ったコミュニケーションの下地も整いつつある。数年後には、ヘッドセットを使って相手の姿を目の前に見ながら会話するのも日常の風景になっているのかもしれない。

 

参照元サイト名:Medium
URL:https://medium.com/super-ventures-blog/will-mixed-reality-replace-phone-calls-29b1feb2c62a

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