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AppleのARアイテムはAppleウォッチのようにニッチな製品になってしまう? - VR Inside

AppleのARアイテムはAppleウォッチのようにニッチな製品になってしまう?

     

ARで車が透ける

ARはVRのようにヘッドセットを必要としない点で優れている…?

AppleがVRやARに興味を持っているという噂は前々からあり、ARメガネを作っている(ただし発売はかなり先らしい)とも言われている。ARはポケモンGOで盛り上がったアツい技術であり、「あのアップルがApple Glassを作るとしたら売れないはずがない…!」と注目が集まるのも当然だ。

だが、そういった見方を否定する意見も出されている。『Humans 3.0: The Upgrading of the Species』の著者でテクノロジーライターのPeter NowakもARに否定的な一人だ。彼によれば、「実際ARは買いかぶられている」という。

ARが期待される理由

ARが期待されるべき理由がないわけではない。

VRとの違い

AppleのCEO、ティム・クックはARとVRの違いを指摘した。

VR体験のために、ユーザはヘッドセットを着用しなければならない。ヘッドセットによって外の世界と切り離すことで仮想現実にどっぷりと浸ることが可能になるが、それは欠点でもある。

一方で、ARはユーザを現実から切り離さない。現実、現地に居るユーザに情報を与えることができるのがARの強みだ。

ポケモンGO現象

昨年の夏に世界的な現象となったポケモンGOの人気も、ARへの期待を高めている。現実の世界を歩き回ってゲームのキャラクターを捕まえるこのアプリは、先月も10億ドル(1,110億円)もの売上を計上しているという。

人気キャラクターを使っているとはいえ、基本プレイ無料のアプリでこの売上は驚くべき数字だ。

 

このような背景があるので、アナリストたちが強気なのも不思議な事ではない。複数の調査会社がARの市場は拡大を続けると予想しており、それぞれに市場規模の予測を出している。

Global Market Insightsの予測によれば、世界のAR市場は2024年に1,650億ドル(18兆円)になるという。

ARが普及しない理由

Peter Nowak

上記のような予測は、Nowakによれば「控えめに言っても楽観的」だ。

現在、VRは徐々に普及しつつある。しかし、ARの受容にはVR以上の障害があるとNowakは指摘する。

Google Glassはなぜ失敗したのか?

当時の技術でできることを詰め込んだ未来的なガジェットだったにもかかわらず、Google Glassは上手く行かなかった。

Nowakはその理由を四つのポイントから指摘する。すなわち、価格、デザイン、プライバシー、そして「使いみちがないこと」だ。

価格

第一に価格の問題がある。Google Glassは1,500ドルで販売された。価格の高さは新製品の普及を妨げるハードルとなり得るし、1,500ドルという値段は勢いで購入しようというユーザを考え直させるには十分すぎる。

ただ、この点は技術革新によって改善されそうだ。数年前に構想されたARグラスは1,500ドルだったが、現在ならば同等の機能を持つデバイスをもっと安く販売することも可能だろう。

デザイン

Google Glassのデザインは多くの人にとって魅力的とは言い難いものだった。SF作品に登場する悪役のようなその外見を我慢するほどの便利な機能を持っていなかったため、ユーザはGlassを付けるのをやめてしまった。

デザインもパーツの小型・軽量化が進んだことによって改善の見込みが出てきた。少しゴツいサングラス程度の外観を保ったスマートグラスのプロトタイプも登場しており、見た目にもスマートなARグラスは近いうちに実現しそうだ。

プライバシー

Google Glassはカメラを搭載していたため、多くの人が隠し撮りの不安を覚えた。これによって公共の場でGoogle Glassを着用することは歓迎されず、バーやレストランはGlassの使用を禁止した。

昨年Snapがカメラ付きのサングラスを発売したが、これにはカメラを使っている間点灯するライトが付いた。だが、これで問題が解決するとは考えにくい。

悪意あるユーザが改造してライトを付かないようにすることもできる。盗撮に対する不安は今後もカメラを搭載したスマートグラスに付いて回る問題となるだろう。

用途

多くの人は、目の前にいろいろなものがあることを好まない。そしてスマートグラスは、まさに人の目の前に情報を表示するデバイスだ。

機械を扱うエンジニアや、手術に臨む外科医にとってその情報は重要かもしれない。そういった人々にとっては、不快感よりもARの有用性が上になるだろう。しかし、一般の消費者にとってはそうではない。

ハンズフリーのナビゲーションが運転に役立つ可能性はある。だが、ポケモンGOのようなゲームをARグラスでプレイしたところで、さほどメリットはない。既存のARアプリはスマートフォンで十分に使えているのに、ARグラスでそれをする必要があるのだろうか?

ARグラスの使いみちがないことは、普及を阻む最大の壁かもしれない。業務用としてはともかく、個人でARグラスを必要とする場面はあまり多くなさそうだ。まだ誰も想像していないような便利アプリが登場しない限り、この認識は変わらないだろう。

考えられるARアイテム

NowakはARグラスに対して否定的だが、何もARそのものが未来のない技術だと主張しているわけではない。ただ、もしもAppleがARグラスを作っているならばAppleウォッチのようなニッチなアイテムになるだろうと繰り返す。

ARの有効な利用法の例として、自動車のフロントガラスに組み込まれたナビゲーションシステムや新しい髪型をARで試せる鏡が挙げられている。

メガネに情報を表示するという形から離れて、他のものにAR機能を組み込めば活用できる場面は多そうだ。どんな場面でもメガネでテキストメッセージを確認できるSFのような未来よりも、運転中に道路情報が表示されたり、身支度をするついでに天気予報やスケジュールが見られる未来の方が想像しやすい。

技術的に可能だから実行するのではなく、ユーザが必要とするものを考えればメジャーになるARプロダクトのアイデアが浮かぶだろうか?

 

参照元サイト名:The National
URL:http://www.thenational.ae/business/technology/peter-nowak-the-reality-behind-augmented-reality-is-that-its-overhyped

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。