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ARが空港で乗客をガイドする - VR Inside

ARが空港で乗客をガイドする

     

AR表示が利用者をガイドする

ARに従えば搭乗口を間違えることもない

VRを積極的に取り入れている業界といえば、医療業界がある。医師や医学生が臓器の動きを学んだり、患者に身体の中で起きていることを説明したり、治療を受けている患者の苦痛を和らげるために使ったりとその活用法は幅広い。

一方でARを積極的に取り入れているのは航空業界だ。医療業界でもARを使って難しい処置をサポートするようなシステムが作られてはいるが、彼らの興味は主にVRに向いているらしい。

それに対して航空業界は、ARを管制塔の業務や客室業務に利用する研究を進めている。さらに、空港内の案内がARで表示できるシステムを導入する空港まで登場した。それがロンドンのガトウィック空港だ。

航空業界でのAR利用

ARディスプレイが導入された管制塔

ロンドン・シティ空港はARディスプレイを管制塔に導入する

今月の半ばから、航空業界でAR(VRも)の採用に向けた研究が進められているというニュースが続けて入っている。

観光・航空とVRの相性は良い。VRヘッドセットを使った360度映像で観光地を紹介するといったサービスは以前から行われている。しかし、最近になってニュースが増えてきたのは航空業界とAR技術の組み合わせだ。

ニュージーランド航空 客室業務にHoloLensを使うシステム

HoloLensを付けた客室乗務員

HoloLensを付けた客室乗務員が乗客に合わせたサービスを提供する

ニュージーランド航空が研究を進めているのが、最新技術を使って客室乗務員のサービスを改善するためのサービスだ。HoloLensを着用した乗務員がサービスを提供する姿は一見すると違和感があるが、将来はこれが飛行機内で見られる普通の光景になるのかもしれない。

HoloLensを付けた客室乗務員の視界には乗客の情報(食事の好み、行き先、会員情報)が表示されるという。これがあればベジタリアンでも機内食で困ることはなくなるだろう。到着地が目的地の乗客と、経由地として別の飛行機に乗り継ぐ乗客で異なるサービスを提供することも考えられる。

外見や音の情報から乗客の感情を推測する機能も付くと言われているので、単純にサービスの質が向上することも期待できそうだ。

ロンドン・シティ空港 管制塔業務にARディスプレイを活用

滑走路の動画とAR表示

滑走路の動画に情報が表示される

ロンドン・シティ空港では、2019年からARディスプレイを使ったリモート管制塔が利用されるという。通常の管制塔は空港内部に設置されており、窓から滑走路が見えるようになっている。しかしこの管制塔は空港から80マイル(約130km)も離れた場所にある。

もちろん窓から滑走路を見ることはできないが、代わりに大きなディスプレイがある。映像と音声が中継されるので、空港内にある管制塔と同様にここから業務を遂行できる。

管制塔で管理しなければならない情報は多い。AR技術を活用することで、管制官が多くの情報を同時に把握できるようになることが期待されている。

ARによるガイド

ARを活用して、ユーザをどこかへ案内するというナビゲーションシステム自体は特別目新しいものではない。GPSを使って現在地を特定するスマートフォンの一般的なナビアプリにもこうしたAR機能を追加することは可能だろう。

あるいは、上の動画にあるPixie Pointのような発信機を使う方法もある。これならば、あらかじめ発信機を取り付けたアイテムを簡単に探し出すことが可能だ。

だが、GPSを使う方法では人工衛星との通信を行うので屋内での利用には難がある。提供される位置情報の精度にも限界があり、誤差を考えると室内向けではない。Pixie Pointのような発信機を使う方法は特別な準備が必要だ。

ガトウィック空港では、ナビゲーションシステムが使用可能な屋内の発信機が2,000台用意されているという。「このシステムが提供する位置情報はGPSによるものよりもはるかに信頼性が高い」と空港側はコメントしている。

ガトウィック空港がシステムを利用したアプリケーションを開発する他、空港を利用する航空会社やサードパーティがこの発信機を利用するアプリケーションを開発することも考えられるという。乗り遅れそうな乗客に通知を送信したり、行くべきゲートを示したりする用途が提案されている。

このシステムが収集する人の密度の情報によって、空港内の利用者の流れを合理化し、混雑を緩和することもできるかもしれない。乗客の移動だけでなく、荷物の運送も効率化されるだろう。

空港側はプライバシーの懸念について、「『どこに人が多いか』といった一般的な情報を利用することはあっても個人情報を収集することはない」と強調している。

 

規模の大きな空港になると複数のゲートがあり、それぞれの構造も似ているので迷ってしまうことがある。特に旅行や出張で訪れた国外の空港であれば不安も大きいだろう。そんなときに手元のスマートフォンで道順を確認できれば、出発直前になって焦ることも少なくなるのではないだろうか。

構内に多くの発信機が必要なので設備投資や維持コストがかかると思われるが、利用者にとってはありがたいサービスだ。評判が良ければ他の空港にも広まるかもしれない。

 

参照元サイト名:Business Traveller
URL:https://www.businesstraveller.com/business-travel/2017/05/26/gatwick-enables-augmented-reality-wayfinding/

参照元サイト名:ガトウィック空港
URL:http://www.gatwickairport.com/

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。